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りーだー

1 名前:@@@ 投稿日:2001/10/20(土) 20:21
真っ白い病室。真っ白なベッドに、透き通るような白い顔があった。
長い髪が陽にあたってきらきらと輝いていた。しかし、目を閉じたその
顔には生気が感じられなかった。「飯田圭織」−−−ベッドのそばにかけ
られた名札の名前が、何だかとてつもなく異様な物に思えた。

______「圭織が倒れた?」メンバーが知らせを聞いたのは、二日
前。テレビ収録もプロモ撮影も、スケジュールがおした中での知らせ。
「過労だと思うんですが、、少し様子を見なくちゃいけないんで、飯田は
しばらく休みます。」マネージャーが言う。

知らせを聞いたなつみに一瞬こみあげた感情は、ちょっとした怒りだった。
(こんなに忙しいのに。1人でも抜けるといろいろスケジュール変わって
大変なんだから・・・)
 それは他のメンバーも同じだったかも知れない。正直、圭織が倒れるなんて
珍しいことではなかったのだ。少し体が弱いらしく、忙しい毎日が続くとよく
ふらっと倒れることがあった。また、いつものそれだろうと思っていた。

そのあと、なつみと圭はマネージャーに呼び出された。
「え・・・・?」
マネージャーが言うことが理解できず、二人は動揺した。
「圭織が、精神病ってことですか?」
圭がいう。その直接的な言葉にマネージャーは困惑の表情を見せた。
「精神病・・ってワケじゃないけど、ちょっとここんとこいそがしすぎるし、
新メンも増えて飯田けっこうしんどい時だから、疲れちゃったんだよ。
少し、まともじゃなくなってるんだけど・・すぐ元に戻るから。大丈夫
。だから、年長組、ちょっと飯田の分も頑張って。」

(まともじゃないってどういうこと?圭織はどうなったの?)
やっと、圭織がいつもの倒れかたではないということに気づいたなつみ
は、さきほどよぎった怒りを忘れて、不安、そして心配が心にめぐっていた。
 
「ねえ圭ちゃん、かおり、どうしちゃったんだろうね?」なつみは隣で
険しい表情をしている圭に聞く。
 「さあ・・ちょっとわかんないけど・・でもかおり、最近ほんといろいろ
疲れてたみたいだから・・・。」
いろいろ疲れてた。そうなのだ。中澤がいなくなり、新リーダーに就任してから
の圭織は、妙に頑張りすぎているようだった。リーダーということを意識してか、はしゃぎ
まわることもなくなったし、口数も減った。頑張って頑張って、頑張りすぎて、
息づまっているようにも見えた。『苦しい・・』どことなくそんな叫びが聞こえて
きそうな圭織だったが、年長メンバーとして自分達も大変だったから、助けてやることも
できなかった。重苦しい空気がまわりをとりめく。

「今度休みがあるときに、圭織の様子みにいこ。どうなってんのか見てみないと
わかんないって」そんな空気をとりはらうかの様に、少し明るい声で圭が言った。




156 名前:@@@ 投稿日:2002/05/12(日) 15:32
なつみが、隣に座った。

「カオリはね」
圭織は窓の外に目をやりながら話した。

「カオリは、卒業しなきゃいけないんだろうね・・」
「カオリ・・・・・・・・・」

「こんなに休んじゃって、みんなにいろいろ迷惑かけたし」
「カオリ、それは・・・・」

「どっちにしてもさ、カオリはもう、そういう時期なんだよ」
何だろう、自分の言葉が、自分の心に染み込んでいくようで。妙に切ないな。





157 名前:@@@ 投稿日:2002/05/12(日) 15:47
きっとなつみも同じような気分になっているのだろう。きゅっと唇を
噛み締めている。

圭織の頭の中に、「卒業」していったメンバーの顔が浮かんだ。
「今まで卒業してった皆はさぁ、、それぞれ、自分で何かを決意してさ、
卒業してったんだよね。」

「みんな・・・・なんか自分のそういう時期をさ・・・感じて・・・」

なっちが喋らないから、カオリの一人語りみたいじゃん。
まあ、でも今はそういう気分だし・・。下手な言葉で邪魔されたくない。
なっちはわかってんのかな。さすがなっちだな。


「カオリも、早く、気づいておくべきだったなぁ。こんな風になる前に。」




158 名前:@@@ 投稿日:2002/05/12(日) 15:55
あ、でも、こんな風になって、改めてカオリはみんなに支えられてる
ってことに気づいたんだよね。まあ逆に言うとこんな風になるまで気づかなかった
んだけどさ。いっつも一人で抱えこんで、悩んじゃってさぁ。

「カオリ、皆のこと大好きだよ。ほんとに。だから皆と別れんのは
寂しいけどね、やっぱ、出会いがあれば必ず別れはくるし、始まり
があれば終わりもあるんだよね。そう、今、カオリ、終わらせなきゃ
いけないんだよね」

終わらないものなんて、ない。カオリは今終わりを迎えようとしてる。



159 名前:@@@ 投稿日:2002/05/12(日) 16:10


「終わりなんてないよ」
その声は、小さかったけれど、力強い響きだった。
 
圭織は、ちょっとどきんとして、なつみのほうを振り返った。
なつみの光を持った瞳が、圭織の視界に飛び込んでくる。

「カオリ、終わりじゃない、終わりなんてないの。終わりは始まりなの。」

なつみの瞳から目をそらせなくて、カオリはじっとしていた。

「明日香だって彩っぺだって、さやかだって裕ちゃんだって、何も
終わりを感じて卒業したわけじゃない。終わらせたくて卒業したわけじゃない。
次のスタートを切る決意をして、卒業したんだよ。」

「なっち・・・・・」

「カオリだって、終わりなんかじゃない。今、次のスタートを切るための
転機なんだよ」




160 名前:@@@ 投稿日:2002/05/12(日) 16:21
次のスタートへの、転機。だったら。

「だったら・・・・カオリに次のスタートなんてあるの・・?
カオリに確実な未来なんて無いじゃない」
拳に力が入る。

「確実な未来なんて誰にもないよ。自分で作っていくんだよ」

なっちが、眩しい。

「思い出してよ。うちらが愛の種の手売りしてたときに、確実な未来
なんてなかったよ。でも、頑張ったじゃない」

そう、あの頃は、あの頃は、確かなものなんてなくても、未来を信じ
てた。いや、未来を手に入れるために、がむしゃらに頑張ってた。
ぶつかり合っても、傷ついても、立ち上がって、歩いてきた。



161 名前:@@@ 投稿日:2002/05/12(日) 16:27
あの頃は、今のモーニングみたいな立場に憧れて、眩しくて。
でも今は、あの頃のあたし達が、眩しい。






----------------------どうしてそんなに、あの頃と同じ瞳をしているの?
----------------------カオリもあの頃、そんな瞳をしていたの?

ねえなっち。


162 名前:@@@ 投稿日:2002/05/12(日) 20:46
「カオリとは、最初っからずっと一緒に頑張ってきたよね」

うん。ずっと一緒だったね。カオリにとって、一番近い存在だった。
ライバルで、友達で、家族で。

「カオリは、あたしと出会ったこと、運命だって」
「あたしのこと、かけがえのない人だって」

うん。

「言ってくれたよね?」

なっちは、笑顔で言った。カオリは、なっちのその笑顔が羨ましかった。
愛くるしくって魅力的で、みんながなっちのことをかわいいって言ったね。
カオリは、怖い顔とか、いっつも怒ってるとか言われてたから、なっちが
そう言われるたびに、羨ましくて。なっちはステージの上でも、中心
に立って歌ってたね。カオリは、羨ましくて。悔しくて。


163 名前:@@@ 投稿日:2002/05/12(日) 20:51
喧嘩もいっぱいあった。ぎくしゃくしてた時もあった。
だけど。

かけがえのない人だ。苦しいときも嬉しいときも、一緒だった人だ。
運命の人だ。それは信じてる。

「いろんなことが、変わっていくけどね」

うん。

「変わらないものもあるんだよ」

・・・・・・・・

「なっちにとっても、カオリはかけがえの無い存在だよ。なっちは
カオリをいつまでも大切に思ってる。それはずっと変わらないよ」

・・・・・・・・

「ずーっと、ずーっとだよぉ」

・・・・・・・・


164 名前:@@@ 投稿日:2002/05/12(日) 20:55
圭織は俯いた。




___________神様。信じてもいいですか。

終わらないものがあると。永遠があると。

未来があると。光があると。

信じてもいいですか。あの頃のように。

かみさま。


165 名前:@@@ 投稿日:2002/05/13(月) 19:25
-----------------------------------------------------------
病室から出たとたん、なつみはその場に崩れた。
ぽたっ、ぽたっ、と、瞳から落ちる雫が廊下を濡らす。

出会った頃からの圭織の姿が走馬灯のように駆け巡っていく。

とうとう、この時がきたんだね。
今までいろんなことがあったね。
えらそうなこと言ってごめんね。あんなこと言えるほど、ほんとは
なっちは強くない。今だってほら、こんなに、涙が。

カオリは言ったんだ。昔と変わらない笑顔で。


『次のスタートを切ることにするよ』


166 名前:@@@ 投稿日:2002/05/13(月) 19:28
頑張れカオリ。はばたいてけ。なっちはもう少し、ここで頑張ってみるよ。



167 名前:名無し娘。 投稿日:2002/05/14(火) 10:58
おわっ…ちゃうの?
飯田も安倍も頑張れ、そんで作者さんも頑張れっ。


168 名前:@@@ 投稿日:2002/05/14(火) 20:11
>名無し娘。さん
何だかクライマックスもなにもない話ですが・・・。
そろそろ、終わりに近づいてます。
応援してくれてほんとにありがとうございます。
皆さんの応援レスが無かったらほんと放置になってたと思う。。



169 名前:名無し娘。 投稿日:2002/05/14(火) 23:13
初カキコします。読んでますよ。頑張ってください。


170 名前:名無し娘。 投稿日:2002/05/17(金) 17:36
大量更新に乗り遅れてしまった----!
ほんとイイです。
みんなに明るい未来をお願いします!!


171 名前:@@@ 投稿日:2002/05/17(金) 20:03
なんか妙なペースで進んでってしまって・・。
自分でも読み返してみてわけわからんくなってるんですが。
もうすぐ、ラストなんで、最後まで頑張りますね。
ほんとにありがとうございます


172 名前:@@@ 投稿日:2002/05/19(日) 19:35
目が覚めると、空気が湿っぽい。ざぁざぁと雨の降る音がしていた。

雨か・・・・・。

あたしは、雨の日が嫌い。心の中まで暗くさせてしまうから。


不安定な精神状態、それからくる体の不調もやっと落ち着き、
あたしは今日、この病院を退院する。ほんとはもっと早く退院できても
良かったんじゃないかと思うんだけど、こんなに長く病院に入れられて
いたのは、そっちのほうが都合が良かったからかも知れないな。

圭織はふっと笑って、鏡に映る自分を覗いた。

顔色、だいぶよくなった。吐いたり、発作に襲われたりしたせいで、
ちょっと痩せちゃったけど。髪の毛がのびて、染める前の黒い髪に
戻ってきている。今日、美容院行って、髪の毛ちゃんとしてこないと。
だって明日、久しぶりにテレビに出るんだから。



173 名前:@@@ 投稿日:2002/05/19(日) 19:46
そう、明日は、あたしの復帰会見。
そしてあたしの、卒業会見。

ラストコンサートはやらない。体力的にも、都合的にも、無理があるしね。
だから、明日が、あたしのモーニング娘。としての最後の仕事。
・・こんな形で卒業することになって、ファンの人にも、メンバーにも、
皆に悪いと思ってる。あたしの卒業が決定してから、メンバーの皆に
まだ会ってないし。ああ、皆ごめんね。

マネージャーが迎えに来る。荷物をまとめておかなくちゃ。




174 名前:@@@ 投稿日:2002/05/19(日) 19:56
昼近くなって、圭織が身支度を整え荷物もすべてまとめてしまうと、
ドアをノックする音が聞こえた。

マネージャーが迎えに来たんだ。

「どうぞ」
圭織が言っても、ドアが開く気配がない。


不思議に思って、圭織がドアに近づいていくと、ドアが急にかちゃりと
開いた。


「いいださん・・・・・・・・・・・・・・!!!!」

ドアの外から、急に抱きつかれた。
懐かしいその感覚に、思わず涙がこみあげてきそうになった。

「つじ・・・・・・・・・・・」

病室に飛び込んできた辻希美は、圭織の身体をしっかりと抱きしめ、
顔を押し付けて泣いていた。



175 名前:@@@ 投稿日:2002/05/19(日) 20:07
「いいださん、いいださん、いいださん、、、」

「辻、来てくれたんだ。ありがとうね」
少し大きくなった希美の頭を撫でながら、ドアのほうを見やる。

「みんな・・・・・・!」
そこには、メンバーの皆が揃って立っていた。

「カオリ」
「飯田さん」
「カオリ」

みんな、涙を流していた。哀しい顔、やさしい顔、温かな顔をして、
それぞれが圭織を取り囲んだ。

「みんな・・・・・裕ちゃんも・・・・・来てくれたんだ・・・・・」

久しぶりの皆の顔。やっぱりみんな、髪が伸びたり、髪の色が変わったり、
変わっている。でも、圭織を見つめる瞳は、変わっていなかった。

「カオリぃ」
矢口が、涙でくしゃくしゃの顔をして抱きついてくる。
そしたらみんな次々にカオリに抱きついてきた。

皆の温かい体温が、圭織に伝わってくる。

ああ、あたしの仲間。



176 名前:@@@ 投稿日:2002/05/19(日) 20:21
圭織はみんなを抱き返したあと、ちょっと離れて、みんなに向き合った。

「みんな、こんな風に卒業することになってごめんね。えっと、いっぱい
迷惑かけてごめんなさい。最後まで頼りないリーダーで、ごめんね。」

「もう、ごめんねなんて言わないでよぉ・・・っ」
圭織の言葉に、真里が首を振りながら言った。

「わた、私たちだってもっと、飯田さんの助けに、なってあげられてれば・・」

「石川・・・。」

「加護だって、飯田さんにいっぱい迷惑かけてごめんなさい」

そうやって石川や加護が泣くから、みんなが口々に「ごめん」「ごめん」
と言って泣いてしまった。




177 名前:名無し娘。 投稿日:2002/05/21(火) 15:07
ひょんなことからここを見つけました とてもよいです(少し泣きました)
作者様 頑張ってください 最後まで読みます 


178 名前:@@@ 投稿日:2002/05/21(火) 19:54
ひょんなことから見つけてもらって嬉しいです

ご期待に添えるかどうかわかりませんが良かったら付き合ってやって
ください(^^)


179 名前:@@@ 投稿日:2002/05/21(火) 20:08
この涙は、みんながあたしのために流してくれてる涙で。
なんてあったかいんだろう。この温かさに、もっと早く気づいてれば
良かった。あんな風に、一人で思いつめる前に。

ぐっときてしまって、思わずよろけそうになったあたしを、圭ちゃんが
優しく抱きとめてくれた。

あたしはそのまま、圭ちゃんに身体を預けた。
周りには、まだみんながまとわっていて。

あたしはこうやって皆に支えられていたんだ。




180 名前:@@@ 投稿日:2002/05/21(火) 20:23
「ぁのね・・・・・・」

圭織は、圭の肩に顔をうずめたまま、小さな声で言った。

「カオリ、弱いんだ、すごく」


「でも、それ、認めないように、頑張ろう頑張ろうってしてた」
圭が、ぽんぽんと圭織の頭を撫でる。
真希は涙が零れないように上を向いて、圭織の言葉を聞いていた。

「だけどさあ、違うんだよね、、弱い分、皆で支えあっていけば
いいんだよね、何も、一人だけで、頑張ってくこと、ないんだよね。
そのこと、カオリ、ちゃんとわかってなかったのかも。」

圭織は、顔を上げて、へへっと笑って言った。
「今更気づくのも、おかしいんだけどさっ」
その顔は、涙で濡れていた。






181 名前:@@@ 投稿日:2002/05/21(火) 20:34
その顔を見て、皆、笑ったり、泣いたり。

「いや、みんな全体の問題やなあ。そういう、皆で支えあっていける
環境を作れなかったんやからなあ」

ちょっと後ろで、みんなを包み込むようにして立っていた中澤が言った。

「でも、これからは、ね」
ひとみが言うと、みんながこくんと頷いた。



「・・・・・・・・・・・・・・・みんなで、ささえあっていけるようにしますから、
だから、だから、・・・・・安心してください、いいださん」

ずっとカオリに抱きついて泣いていた辻が、やっぱり泣きながらそう
言ったとき、カオリは思わず辻をぎゅっと抱きしめていた。

「あんたがそういう風に言えるなんて、成長したなぁ辻ぃ」
カオリが泣き笑いの顔で何度も辻を抱きしめると、辻は声をあげて
泣き出してしまった。頑張れ辻。あたしはあんたをずっと見守ってる。
だから。

「カオリも、頑張る。だからみんな、見てて」





182 名前:@@@ 投稿日:2002/05/21(火) 20:43
カオリは、これから、新しい世界に向かって歩き出すことにしました。
そこには何が待ち受けているかわからないけれど、頑張るから、見ていて
ください。カオリを、愛していてください。それだけでカオリは、きっと
強くなれるんだ。

圭織の瞳は、まっすぐな光を燈していた。どれくらいぶりかわからない、
まっすぐな、まっすぐな光を。



183 名前:@@@ 投稿日:2002/05/21(火) 20:57
そんな圭織の瞳を、みんな見とれるように見ていた。

「何か歌おうか、カオ」
いつも盛り上げ役の真里。

「卒業式みたいだなあ」
「卒業式、だよ」

「何歌う?」





「・・・・・・・・愛の種、歌おうかカオ」
なつみが、圭織の目の前に立って言った。
それを聞いて、真里もみんなも黙ってしまった。

「愛の種・・・・・歌おうよ」





184 名前:@@@ 投稿日:2002/05/21(火) 21:03
中澤が、なつみと圭織の手を引いた。
みんな、周りを取り囲んだ。

「歌お、カオ・・・うちらの、歌だよ」
----愛の種。あたしたちの、スタート地点。あんまりに、思い出が
つまりすぎている歌。

「いいださん、つじも、歌いたいです」

涙が、笑顔が、計り知れないほどの思い出がつまった歌。

「・・・ごめん、辻。この歌は、特別なんだ」
圭織の言葉に、希美はちょっと寂しそうな顔をして、頷いた。

大切な歌なの。この歌があるから、今のカオリがいるの。
あたしたちがいるの。モーニング娘。が。



185 名前:名無し娘。 投稿日:2002/05/22(水) 09:26
更新お疲れ様です。ずっと読ませていただいていました。
毎回、つい涙目になっちゃいます。
いよいよラストに進んでいくのですね。終わってしまうのは寂しいですが、
飯田さんや仲間たちにとって希望に満ちた幸せなラストであれば納得です。
ラストまで頑張ってください。


186 名前:@@@ 投稿日:2002/05/22(水) 17:47
感謝です。。。。。。。。


187 名前:@@@ 投稿日:2002/05/22(水) 17:56

  「さぁ出かけよう」

圭織となつみの手をぎゅっと握って、中澤が歌いかけた。

  「きっと届くから」

そしてなつみも。


     「・・・髪を切って、夢をみがく」

圭織も、口を開いた。

     『好きな空を目指すために』

3人の姿を、皆、取り囲むようにして見ていた。真里が、圭に寄りかかって
泣いている。圭の瞳からも、涙が次々と溢れていて。本当は、この3人の
輪に入りたい。でも、この歌は、3人と、ここにはいない二人の歌。その
5人の結晶なのだ。




188 名前:@@@ 投稿日:2002/05/22(水) 18:00
    ねえ風にのり  もっと輝いて
    愛の種をまきちらしたい

    いつのまに  涙はかわいた
    何かを残して

    何度でも笑顔になれるよ
    地球が 回るから

    予感を超え
    始まるから
    新しい季節は
    少しいぢわる

    指先に  思い出をつめて
    マニキュア塗るから


189 名前:@@@ 投稿日:2002/05/22(水) 18:06

    ほら 気づいてよ
    うんと 光る街
    靴を選び かけ出したら
    不安はもう、解けてるから

    もし迷っても そう進もうよ
    自分の道 さぐりだすから

・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・
    


190 名前:@@@ 投稿日:2002/05/22(水) 18:34
「こわれそうな」
「瞳の中」
「ふるわせてた想い」

・・・・・・・・・・
なつみと中澤の声だけが、響いていた。
外に降る雨は、やわらかな音を立てていた。

圭織はうずくまって肩を震わせていた。


---------今日がお天気じゃなくって良かったと思うんだ。
今だって、こんなに胸がいっぱいで、立ってもいられないくらいだから。
青空の下でこの歌をうたうなんて、あんまりにも。

この歌を、5万人の人に手売りできたら、モーニング娘。になれて。
あたしたちは、夢を手にするために、がんばって、がんばって。
そしてやっと、あたしたちのデビューが決定した時、青い青い空の
下で、あたしたちのために来てくれたみんなの前で、この歌を歌ったん
だよ。


嬉しかったよね。
あんなに最高だったことないよね。


どうしてこんなに、あのときの青空が、胸に広がってくるの。
あのときのお客さんの姿が浮かんでくるの。

なっちと、祐ちゃんと、明日香と、彩っぺと、カオリで、みんなで
歌った、あの日のことが、鮮やかにカオリを満たしていくの。



191 名前:@@@ 投稿日:2002/05/22(水) 18:42
あのとき、あの青空の下で、これからずっと5人で道を切り開いて
行くんだって、期待と不安と喜びでいっぱいになってたんだ。

ねえ、あの5人が、こぉんなおっきなグループになっちゃうなんて、
あの時誰が想像できた?
どんな風になっても、どんなに時が経っても、これが、あたしたちの。


「これがあたしたちの原点だからね」
なつみが、みんなのほうをまっすぐ見て言った。
みんな、大きく頷いた。

なっちの言葉が嬉しくて、カオリもみんなのほうを見て、頷いた。

 




192 名前:@@@ 投稿日:2002/05/22(水) 18:47
「ほらカオリ」
「うん・・」

  さあ出かけよう きっと届くから
  髪を切って、夢をみがく 好きな空を、めざすために


ありがとうみんな。今までいっぱい愛してくれてありがとう。
両手に抱えきれないくらい、いっぱい、いっぱいの思い出をありがとう。
愛してるよ。みんなみんな、愛してるよ。

-------------さあ、出かけよう。


193 名前:@@@ 投稿日:2002/05/22(水) 18:56

 あのあと、みんなでたくさんたくさん歌をうたって、圭織の卒業式
は終わった。

 次の日、ひさびさのカメラの前で、圭織は堂々とした姿で卒業会見を
した。やっぱりその会見で、みんな涙してしまったけれど、圭織にも、
みんなにも、輝きがあった。その輝きは、周りにも伝わったらしく、
新聞でもニュースでも大きく取り上げられていた。
圭織は、モーニング娘。としての最後の仕事を、見事にこなしたの
だった。
 


194 名前:@@@ 投稿日:2002/05/22(水) 19:26
------------------------------------------------------------
圭織が卒業してから、一ヶ月が経った。
この一ヶ月、これからの圭織の活動の方針を決めていくためと、ソロ
活動するための充電期間として、圭織は表に出ていない。


「そろそろ出番だよ、行かなくちゃ」
皆が次々と楽屋を出て行く中、机の上に置かれた携帯の着信音が鳴り、
一人、踏みとどまった。

 『Eメール受信あり』
---カオリのソロのデビュー曲発売が決定しました。
  明日から、本格的な活動開始!

「カオリ・・・・・・」
頑張っているカオリの姿が目に浮かぶようだ。口元がほころぶ。

「あたしも頑張らなきゃ、な」



行かなくちゃ。仲間が待っている。

「なっちぃ!早く!」
「はーい」

仲間がいれば、永遠に光を見つづけることができる。どんな道を歩んで
行っても、旅立って行っても、あなたが仲間で居続けることには
変わりないよ。あなたを見てる。あたしを見ていてね。

ずっと、終わりない光を目指していけるように。




                           終わり


195 名前:@@@ 投稿日:2002/05/22(水) 19:27
-------------------------


196 名前:@@@ 投稿日:2002/05/22(水) 19:37
ええと、これで、「りーだー」は終わりです。
この話を書き始めたのは、何となく弱った飯田さんが書いてみたく
なったからなので、先のことも何も考えていなくて、正直ちゃんと
終わらせられるとも思っていませんでした。だからあんま人気のない
板にコソコソ書こうと思ったわけで。

でもこんなめちゃくちゃな話に応援レスを下さったり、読んでくださったり
する人がいてくれたおかげで、なんとか最後までたどりつきました。

先に言った通り書き始めた当初「先のことは何も考えてなかった」ので、
かなり苦戦しながら書き進めていって、見苦しいところばかりですが、
それにおつきあいしていただいて本当に感謝してますです。

ラストも皆さんのご期待にそえるようなものに上がらなかったし、
自分の力の無さにため息です。本当に、読者さんには感謝しています。
長いことありがとうございました。





197 名前:177 投稿日:2002/05/22(水) 22:36
完結おめでとうございます 足かけ7ヶ月間お疲れ様でした
一言、よかったです!
偶然にもこの小説に出会えたこと、感謝しています




198 名前:名無し娘。 投稿日:2002/05/23(木) 13:00
おめでとうございます。
どうやって、ここを見つけたのか忘れちゃったけど、
ホント感動させてもらいました。いい小説でした。

また、始めるときはここで知らせて頂けるとうれしいです。


199 名前:@@@ 投稿日:2002/05/23(木) 19:15
ありがとうございます。。。
自分もどうやってこの板を見つけたのか忘れましたが(爆)
偶然にもこの板を見つけて書き始め、偶然に見つけてくれた方に読んでいただけて、
その偶然に感謝。 

また、どこかで小説を書くかもしれません。その時は今よりかは上手くなってたら
いいなと思います。その時はここでお知らせしますね。てか多分ここで書きそうですね


200 名前:名無し娘。 投稿日:2002/06/01(土) 11:46
今更ですが、御脱稿おめでとうございました。
紹介系のスレで知ったとき以来、
毎回胃の痛くなるおもいがありつつ、
更新を楽しませていただきました。
次作も期待(プレッシャーにならない程度に)してますので、
どうぞ思案をめぐらせてください。


201 名前:中澤 投稿日:2002/06/02(日) 01:22
念のため言うとくけど
うちの名前は裕子やでぇ。


202 名前:@@@ 投稿日:2002/06/02(日) 08:19
久々に来て見ればレスが増えている(嬉)

>200
胃の痛くなるようなところは自分が完全に自分の世界に入って酔ってた
とこですね(笑)次はまたいつか書くと思います。何にも考えてないですが
ふといきなり書きたい衝動にかられて書くかも知れないです。
あ、カップリング小説とかでもいいなぁ。。。。。。

>201
う、うんごめんね・・・わかってるんだけどいっぺん間違って苗字で
表記しちゃったからそのままつらつらとさぁ・・。ほんとは皆名前で
統一しようと思ってたんだけどさぁ・・・。ごっごめんねほんと・・



203 名前:n 投稿日:2002/06/05(水) 18:29
aa


204 名前:名無し娘。 投稿日:2002/06/21(金) 18:03
そろそろ、新作の構想はできましたでしょうか?
と言ってみたりして・・


名前: E-mail(省略可)

read.cgi ver4.13 (2001/7/2)