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りーだー

1 名前:@@@ 投稿日:2001/10/20(土) 20:21
真っ白い病室。真っ白なベッドに、透き通るような白い顔があった。
長い髪が陽にあたってきらきらと輝いていた。しかし、目を閉じたその
顔には生気が感じられなかった。「飯田圭織」−−−ベッドのそばにかけ
られた名札の名前が、何だかとてつもなく異様な物に思えた。

______「圭織が倒れた?」メンバーが知らせを聞いたのは、二日
前。テレビ収録もプロモ撮影も、スケジュールがおした中での知らせ。
「過労だと思うんですが、、少し様子を見なくちゃいけないんで、飯田は
しばらく休みます。」マネージャーが言う。

知らせを聞いたなつみに一瞬こみあげた感情は、ちょっとした怒りだった。
(こんなに忙しいのに。1人でも抜けるといろいろスケジュール変わって
大変なんだから・・・)
 それは他のメンバーも同じだったかも知れない。正直、圭織が倒れるなんて
珍しいことではなかったのだ。少し体が弱いらしく、忙しい毎日が続くとよく
ふらっと倒れることがあった。また、いつものそれだろうと思っていた。

そのあと、なつみと圭はマネージャーに呼び出された。
「え・・・・?」
マネージャーが言うことが理解できず、二人は動揺した。
「圭織が、精神病ってことですか?」
圭がいう。その直接的な言葉にマネージャーは困惑の表情を見せた。
「精神病・・ってワケじゃないけど、ちょっとここんとこいそがしすぎるし、
新メンも増えて飯田けっこうしんどい時だから、疲れちゃったんだよ。
少し、まともじゃなくなってるんだけど・・すぐ元に戻るから。大丈夫
。だから、年長組、ちょっと飯田の分も頑張って。」

(まともじゃないってどういうこと?圭織はどうなったの?)
やっと、圭織がいつもの倒れかたではないということに気づいたなつみ
は、さきほどよぎった怒りを忘れて、不安、そして心配が心にめぐっていた。
 
「ねえ圭ちゃん、かおり、どうしちゃったんだろうね?」なつみは隣で
険しい表情をしている圭に聞く。
 「さあ・・ちょっとわかんないけど・・でもかおり、最近ほんといろいろ
疲れてたみたいだから・・・。」
いろいろ疲れてた。そうなのだ。中澤がいなくなり、新リーダーに就任してから
の圭織は、妙に頑張りすぎているようだった。リーダーということを意識してか、はしゃぎ
まわることもなくなったし、口数も減った。頑張って頑張って、頑張りすぎて、
息づまっているようにも見えた。『苦しい・・』どことなくそんな叫びが聞こえて
きそうな圭織だったが、年長メンバーとして自分達も大変だったから、助けてやることも
できなかった。重苦しい空気がまわりをとりめく。

「今度休みがあるときに、圭織の様子みにいこ。どうなってんのか見てみないと
わかんないって」そんな空気をとりはらうかの様に、少し明るい声で圭が言った。




2 名前:@@@ 投稿日:2001/10/20(土) 21:04
眠っている圭織は、息をしていないようにも思えた。メンバーは、そんな
圭織をみて言葉もなく立ちつくしていた。ふ、と圭織が目をさます。メンバーと
一緒に圭織の見舞いにやってきた中澤が、率先して声をかける。
「かおり、どしたんや、心配したで」
優しい笑顔で、ごく自然にベッドの隣にあるいすに腰掛ける。
「起きれるか、ん?」中澤が目を開けたままじっとしている圭織の
顔をのぞきこむ。圭織の瞳に、一瞬おびえたような感じになった。
上半身をおどおどと起こし、ふとんを引き寄せながら、ずる、と体
をのけぞらせる。おびえている。圭織の様子が明らかにいつもと違った。


3 名前:@@@ 投稿日:2001/10/21(日) 11:00
「かおり?」
体をぎゅっと縮こまらせ、引き寄せたふとんをにぎりしめる圭織。
見舞いに来ていた9人の視線を浴びて、どうしようもなく、微かに
震えている。

「かおり?大丈夫か?」中澤がたちあがり、圭織の頬に手をあてて
顔を近づけた。

「・・ぁ・・・っ」圭織が小さな声をあげ、縮こまった体がびくっと動いた。
中澤は、ベッドに腰をおろし、圭織の肩を抱きかかえるように、身を
引き寄せる。
「どした、かおり。」中澤に抱き寄せられた圭織の肩が、ふるふると震えて
いる。ふとんの端を口元によせ、おびえきったような表情の圭織は、
何だか子供のようだった。

つっ立っていた圭、なつみ、真里は我に帰り、次々と圭織に近づく。
そんな仲間を、梨華やひとみ、亜依、希美、そして真希は
不安そうにみつめている。

「かおりー大丈夫ー?」
「どうしちゃったんさかおりぃ」
「かお、心配したよぉ」
圭達に声をかけられて、いっそう圭織の表情がこわばる。
今すぐにでもここから逃げ出しそうだ。しかし中澤に抱きかかえられて
いるため、それもままならない。

「いいらさぁん」様子をうかがっていた他のメンバーも、ゆっくり
圭織に近づいていく。
 メンバーに取り囲まれた圭織は、少し潤んだような大きな瞳で、
メンバーの顔を見上げる。

「ちょっと、何が恐いのよ、かおり?」
圭が圭織に顔を近づける。
圭織は、たまらなくなったように、目をぎゅっと閉じた。

「ん・・・ぁあああっ・・」
子供のような声をあげた。
「かお??」
「やあぁああああ」
圭織の目から、涙が溢れた。



4 名前:たぬき 投稿日:2001/10/30(火) 23:59
続きが読みたい。。。


5 名前:名無し娘。 投稿日:2001/11/01(木) 01:48
>>4
禿同。気になる・・。


6 名前:スパム投稿削除 投稿日:スパム投稿削除
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7 名前:@@@ 投稿日:2001/11/11(日) 20:30
カオリの涙。それは既に見慣れたものではあった。
しかしこの泣き方は尋常じゃない。まるで子供の泣き方だった。
泣きじゃくる圭織を見て、メンバーは皆呆然としてしまった。

中澤はそんな圭織をぎゅっと力を込めて抱きしめた。
中澤もどうしたらいいのか全くわからなかったが、そうすることで
圭織をどうにか落ち着かせようとしたのだ。

圭織が中澤をふりほどこうと身をよじる。
おろおろとしていた梨華が、言う。
「せんせい、先生呼んできます・・」


8 名前:@@@ 投稿日:2001/11/11(日) 20:51
-------モーニング娘。が苦しみの種。モーニング娘。が一番の理解者--------
梨華が病室を出てしばらくして、女性の医師が看護婦を連れてやってきた。
看護婦が圭織をなだめ、メンバーは医師に連れられて、圭織の居る病室を去った。

「ストレスですよ。ストレス。元からちょっと神経質な部分のある方なんでしょうね、
仕事でたまるいろんなストレスが自分をおいつめておいつめて・・崩壊したわけですよ」

医師は、メンバーを別室に連れて、淡々とした口調で話した。
「・・・は?」真希が表情をしかめて言う。

「お仕事、大変なんでしょう?リーダーという立場柄もあって、いろんなストレスがたまる
たまりますよね。精神的に追い込まれてたんでしょうね。今のまま生活していく力が
なくなって、ぷっつりと・・きたわけですよ。








9 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2001/11/12(月) 03:38
名作ハケーン!


10 名前:名無し娘。 投稿日:2001/11/13(火) 04:40
こんな辺ぴな板(w にこんな名作が・・・期待してます。


11 名前:スパム投稿削除 投稿日:スパム投稿削除
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12 名前:@@@ 投稿日:2001/11/17(土) 19:14
話の途中がなくなってる・・・書き直すべき?


13 名前:@@@ 投稿日:2001/11/17(土) 19:18
あ、気のせい


14 名前:@@@ 投稿日:2001/11/17(土) 19:46
張り詰めた空気が流れた。「あの・・・」中澤が口を開く。
「あの、あんな、カオリがあんな子どもみたいになっとるんは、、ストレス
・・で心が変になってしもたから、なんですか」

動揺が表れる。

「いいらさんが、わたしたちのこと見てこわがってたのも、すとれす
があるからなんれすか」
医師の話が理解できたのだろうか、希美がおそるおそるたずねた。

「そう・・そう、ですね、あの方のストレスの原因は、やはり
お仕事、つまりモーニング娘。なんですね。だから、そのモーニング娘。
である皆さんを見ると・・ストレスに直面するわけですから、あんな風に
なっちゃうんだと思います」

「私たちがカオリのストレスの原因だっていうんですか?」
真希が少し荒い口調で言った。

医師は、少しも態度を変えずに話を続ける。
「でもね、モーニング娘。は飯田さんのストレスの原因であると同時に、
飯田さんの一番の理解者だと思いますよ」

神妙な、真剣な表情で、医師の話を聞くメンバーたち。

「だっていつも側でお仕事してきたんだから。お仕事の苦しみをわかって
あげられるのは、モーニング娘。であるあなた方なんですよ。わかりますよね?」

(私たちが苦しみの原因、私たちが一番の理解者・・・・)



15 名前:@@@ 投稿日:2001/11/17(土) 20:45
その日は、それで病院をあとにした。
病院を出る直前に、なつみはもう一度圭織の病室をのぞいた。
圭織は、さっき部屋を訪れたときと同じように、静かに眠っていた。

こっそりと、圭織のベッドに近づく。
頬のあたりに、先ほど流した涙のあとが残っている。

何だか胸が痛かった。痛い、というよりも、ずっしりと重かった。
いきなりのことで、ショックで。
(これからどうなるんだろう?モーニング娘。はどうなるの?)

不安が、動揺が、なつみの心にのしかかる。
(ううん、娘。じゃなくて、今はカオリを心配しなきゃいけないの、
カオリが大変なんだから・・・・)

曇った表情で、圭織の長い髪を、そっとなでた。
柔らかな、なめらかな感触が、肌に残った。



16 名前:@@@ 投稿日:2001/11/17(土) 21:27
圭織のいないモーニング娘。では、サブリーダーの圭が臨時リーダーとされた。
ライブやテレビ収録の圭織の分を他メンが埋め、スケジュールの調整がされて、
何となく活動が続けられた。なんとなく。

これだけ人数がいる中の、一人が抜けたぐらいどうってことはない----
何だかそんな感じのする活動だった。



17 名前:@@@ 投稿日:2001/11/20(火) 19:34
圭織のいない楽屋。じゃれあったり、メイクしたり、お菓子を食べたり、
それぞれ好きずきなことをしているメンバーを、なつみはぼうっと眺めていた。

圭織はいつも、この楽屋で何をしていただろう?
そう--一人でゆったりと椅子に座って、雑誌を読んでいたり、
みんなと何気ない話をしたり、メンバーにお説教したりもしてたな。
全員で腕相撲大会なんてしたとき、圭織はいつも一歩引いた感じで、
はしゃぎすぎることなく楽しんでたな。

圭織は昔はもっと・・強かったよな。いや、なんていうか、その、
キャラが・・。自己主張がすごかったし、変なところで燃えやすい
質だからちょっとしたことで火がついて止まらなかったりしてさ。
そのせいで、テレビなんかでいっつもカオリは注目されてて。
いじられまくってたよなあ。ちょっと羨ましいってか、憎らしいなんて
思っちゃったよ。

でも、強い反面、物事に敏感で弱々しいところがあるんだよね。意地っ張りだから、
その弱い部分があんまり表にでない奴だったけど・・。どっかいじらしくて、
ほっとけない、カオリってそんな感じだった。

ああ、懐かしいなあ。うん、あの頃はさ。福ちゃんもいたし、彩っぺも
いたし。最初の頃は、今みたいに曲出したらすぐ一位、なんてもんじゃ
なかったよね。いろんなイベントとかやってさ、今の娘。じゃ絶対ないような
映画出たり、写真集出したりしてたよね。みんながみんな、同じように
悩んだり、おなじことで笑ったり、毎日が必死だった。

変わったよね、娘。は。デビュー当時からは予想もつかないわ。
よくここまできたもんだ。
仕事なんて腐るほどあるし、曲も昔とは全く
違ったをガンガン出してイメージの曲、売れまくってるし。年少の
かわいいメンバーもざくざく入って。そして、福ちゃんも、彩っぺも、
さやかも裕ちゃんも、いなくなった。気づいたら、元メンなんてもう
あたしとカオリだけだよお?あの、愛の種を売ってた時のうちらのこと、
知ってる人たちってどれだけいるの?

うちらは、娘。としてずっと成長してきたよね。娘。の成長とともに、
うちらも変わったんだよね。カオリ。変わったよね。いつからかすっかり
おとなしくなって。大人になった。おちついた雰囲気にじみでててさ。
儚い儚い印象、なんか、最近のカオリ見て、受けた。






18 名前:@@@ 投稿日:2001/11/21(水) 21:25
何だか考え出すと止まらなかった。

カオリ、つらかった?しんどかったの?カオリ・・・・。

「安倍さぁんっ」
亜依が、急に抱きついてきた。びっくり。
「加護ぉ・・・・」

なつみに甘えている亜依を、希美はじっと見つめていた。
その視線に気づくなつみ。
「何?辻、どしたの?」
「・・・・・・・・いいらさんは・・」
「え?」

「いいらさんはいつ治るんれしょぉね・・」
希美は、独り言のようにぼそっと呟いて、なつみの返事を聞くまでもなく、
くるりと身体をそむけてソファに座った。

「辻・・・・・・」
(寂しいのかな。辻は何かっていうとカオリのところに行って甘えてたから。
カオリ辻のことかわいがってしな。)

顔をうつむけて、むっつりと黙っている辻。そんな辻を見ると、抱きしめて
あげたくなる。

甘える人がいないとね。守ってくれる人がいないとね。寂しいんだよね、辻。

-----------カオリには。カオリは、甘えられる人、いたかな。
リーダーになって、メンバーの面倒をみることにいっぱいいっぱいで、
自分の心を人にあずけて、甘えるなんてこと、カオリ自身が許さなかったんじゃ
ないだろうか。

もっと甘えてくれてよかったのに。本当は人一倍寂しがりやなんだから。




19 名前:名無し娘。 投稿日:2001/11/22(木) 00:26
飯田さんが主役の話なんて久しぶりだ(w
期待、してます。


20 名前:@@@ 投稿日:2001/11/22(木) 19:00
「今日は落ち着いてますよ。この前みたいに大人数じゃないから、大丈夫だと
思います。なんかあったら呼んでください。あんまり刺激しないようにお願いします」

看護婦に言われて、中澤は圭織の病室へと向かった。
今日は一人だけでの見舞い。

圭織の病室に入る。圭織は、前と同じように眠っていた。
圭織の眠るベッドに近づき、眠っている圭織の顔を見つめる。
だいぶ顔色がいい。ちゃんと眠っているのだろう、クマ体質の圭織だが、
その寝顔にクマはみられなかった。

すぅすぅと寝息をたてて眠っている圭織。なんだかかわいくて、額のあたりを
そっとなでる。

「んふ・・・・・」小さな声が漏れた。
(やばい。起きたらあかんで・・・・)
目を覚ましたら、前のように自分を見てパニックに陥るかもしれない。
あんな圭織を見るのはごめんだった。

中澤の思いに反して、圭織は目を覚ました。
とまどう中澤。しばらくぼんやりとしていた圭織だったが、中澤を目に留めると、
むくりと起きあがった。

以前のように、おびえた気配はない。中澤をみて、安心したようにふっと笑った。
(良かった。大丈夫みたいや。)
中澤はほっとして、圭織にほほえみかけた。

「カオリ、調子どうや?だいぶええ感じやな」
圭織の返事はなかった。きょんとした顔で、中澤を見上げる圭織。
大きな瞳でじっと見つめるその表情は、やはりどこか幼い子供のようだ。

中澤は優しい笑顔で、圭織のベッドに腰を下ろす。
圭織は別に怖がりもせず、中澤の側に身を寄せた。

「気分ええみたいやな・・その調子ではよ元気になってや」
圭織の髪をかきわけ、長い髪をなでてやる。
圭織は気持ちよさそうにふにっと笑い、中澤の手に頬をすり寄せた。



21 名前:@@@ 投稿日:2001/11/22(木) 19:12
「うちが、わかるか?カオリ・・・」

自分が脱退してから新リーダーとなった圭織。
リーダーとして、抱えきれない悩みを、中澤にうち明けることがよくあった。
涙声で、「裕ちゃん、カオリ、もうだめだよぉ・・・」と自分に助けを求めて
いた。

元リーダーの自分は、どれだけ圭織の助けになれただろう?何度も自分を頼りに
してきた圭織。今こんな風に落ち着いて、甘えてくるのも、自分が頼りにしていた
存在だとわかっているからかも知れない。

新リーダーになって、弱気になる圭織を、きつい言葉で叱ったり、つきはなしたりした
こともあったが、今は、甘えさせてやろう。休むことが圭織には必要なのだ。
心から。

中澤は、圭織を抱き寄せて、小さな子供にするそれのように、白い額にそっと
唇を押し当てた。圭織は、中澤に身をまかせて、しばらくするとうとうとと
眠ってしまった。



22 名前:@@@ 投稿日:2001/11/23(金) 11:13
雑談・・・うたばんのカオリがかわいすぎて鍋の中・・・


23 名前:名無し娘。 投稿日:2001/11/24(土) 03:41
>>22
確かにあの飯田さんは綺麗だった・・・大人になったなぁとしみじみ思ったよ


24 名前:@@@ 投稿日:2001/11/24(土) 14:40
>>23
コメントが大人っぽくなった・・。はああ飯田さん・・
ついでにMステのカオリもかわいすぎて毛糸パンツ・・・


25 名前:@@@ 投稿日:2001/11/24(土) 14:58
自分の膝の上ですやすやと眠る圭織がたまらなく愛おしかった。
やさしくやさしく、圭織をなで続けた。

頬を、温かいものがつたっていった。
    涙。
(何で、何で涙がでてくるんやろう・・・おい、何でや、しっかり
 せな・・・・)

自分に言い聞かせたけど、中澤の涙は止まることなく溢れ続けた。
涙の粒が、ぽたぽたと、眠る圭織の頬に落ちる。

こんなことになるなんて、思いもせんかった。
デビューした時から、うちはリーダーで頑張ってきたんや。
うち一人だけ年増で、周りの人になじられてもからかわれても、
リーダーやってきたんや。
他のメンバーは若くてええなあって、妬ましかったけど、それ以上に
この子らが愛しかった・・・。

中澤の様子に気づき、圭織が再び目を覚ました。
圭織は泣いている中澤をみると、細い腕を伸ばし、中澤を抱きしめた。
温かい。

「カオリ・・・・」

中澤もまた、圭織の背に腕をまわす。細い細い身体。しっかりと
抱きしめた。



26 名前:@@@ 投稿日:2001/11/24(土) 15:12
「カオリ、カオリごめんな・・・あたしは、リーダーずっとやって
きたけど、もうみんなしっかりしとるから、娘。抜けて、一人でやって
行こうと思って・・・カオリに、リーダーたくしたけど・・・」

涙声で、圭織に語りかける。

「こんな風になるなんて思ってなかったんや・・・。カオリ・・・」

気づくと、圭織の目からも涙が零れていた。
ぼんやりとした顔で、ぽろぽろと涙を流している。

それをみて、我に帰る中澤。
「ああ、ごめんカオリ、取り乱した、ごめん、泣くな。」
圭織の涙を拭く。

「ゆ・・・・・ちゃん・・・・・」
圭織の口から、小さな声が漏れた。
「え・・・・・?」

「ゆ・・・ちゃ・・・・」
無表情で涙を流す圭織の唇から漏れる、聞き取れないような小さな
声。
--------『裕ちゃん』-------


27 名前:@@@ 投稿日:2001/11/24(土) 15:25
「裕ちゃん、て言ったんかカオリ。うちがわかるんかカオリ。」
カオリの肩をつかむ。

すると、カオリが、また以前のようにおびえた表情になった。
(やば、またパニックになる・・・・)
そう感じた。

案の定、中澤に掴まれた圭織の肩が、ぶるぶると震えだした。
「あ・・・・あぅ・・・・・」
中澤が肩を掴んだ手を離すと、圭織はそのまま崩れるように
うずくまった。前と同じだ。身体をぎゅっと縮こめて、震えている。

(ああ・・・・・・)
中澤は、圭織の側を離れた。暴れたりする様子はなかったので、
小さくなって震えている圭織をあとに、病室を出た。

涙が止まらない。病院の廊下に立ちつくした。
「どうかしましたか?」
声をかけたのは、この前の女医だった。


28 名前:@@@ 投稿日:2001/11/24(土) 15:37
「裕ちゃんって言ったんです。聞き取れないような小さな声だったけど、
裕ちゃんって言ったんですよ。カオリ、あたしのこと裕ちゃんって呼んで
たんです。言ったんですよ、裕ちゃんって・・・・」

誰もいない病院の個室。中澤は泣きながら、すがるように女医に言う。

「そうですか・・・・。」
中澤に温かいお茶を差し出し、自分もお茶を口にしながら、女医が言う。

「中澤さんの名前を呼ぶことで、自分が今までいた世界のことを一時的に
思い出したのかも知れませんね。自分がたえきれなくなって逃げ出した世界
のことを。」

女医が続ける。
「でもね、休んだら、また闘わなきゃいけないんですよ。いつまでも
逃げて居るんじゃいけないから。ある程度休んだら、自分を苦しめた
現実と向き合って、闘って、うち勝たなきゃいけないんです。それには
いい傾向ですよ。」

「はあ・・・」

「飯田さんと、一緒に闘ってあげてくださいね。それができるのは、
あなたがたなんですよ。」

もう、自分が何で泣いているのかもわからない程だった。
女医の言葉を聞いて、さらに涙が溢れてくる。それでも、中澤は
こくこくとうなずきながら言った。

「はい・・・・カオリと・・カオリと闘います・・・・・」


29 名前:名無し娘。 投稿日:2001/11/25(日) 22:16
人の少ない場所のようですが、読んでますよ。
すごくいい感じですね。応援してます。


30 名前:名無し娘。 投稿日:2001/12/06(木) 05:58
更新まってます


31 名前:@@@ 投稿日:2001/12/08(土) 14:44
事務所にある、小さな部屋のテレビに、初々しい五人の少女達が
映っている。知っているけど、面識のない人。知っていて、付き合いも
あるけど、今とは違う人。それぞれがひたむきな目をしていて、純粋な
笑顔をこぼしている。

それを梨華は、じーっと、見つめていた。
「何みてんの、石川。」
いつの間にか、部屋に人が入ってきたようだ。

「あ、安倍さん・・・」
なつみだった。なつみは、梨華が見入っていたテレビ画面を見る。

「うひゃあっ何みてんだあ〜。はっずかしいなあ。こんなのどっから
持ってきたんだべーーーーー」
赤面して、しかしちょっと嬉しそうになつみが言った。

「あ、事務所のビデオ、借りたんです・・・・」
梨華が見ていたのは、事務所の棚にずらりと並んでいる、モーニング娘。
の出演番組を録画したビデオテープだった。中でも古い、デビュー初期の
ビデオを、梨華は選んだ。

なつみは、梨華の座っているソファの隣に腰を下ろす。
「うっわ〜恥ずかしいなぁ〜見てよなっちこぉんな眉毛太いよぉー?」
自分の眉毛を指しながら言うなつみを見て、梨華が笑顔をこぼす。
「みんなかわいいです。初々しいです!石川、ずっと見てました。
懐かしいなあ・・・・」

そう、梨華はモーニング娘。のインディーズ時代からのファンである。
モーニング娘。が大好きで、大好きで、オーディションを受けたのだ。

「うん・・懐かしいねぇー・・。うちらこの頃はどんな事するにも
緊張しまくってたもん。あー、でも楽しかったなあ。いっぱい悩み事も
あったけどさぁー・・・。」
梨華は、笑みを浮かべながら、何とも言えない表情で画面に見入るなつみを
見ると、ちょっと切なくなった。

私は、ずっとモーニング娘。のファンだったけど、この時のモーニング娘。には
私なんて存在しないんだ。私なんかには入り込めない世界なんだ。
私はこの頃の安倍さんを見てたけど、安倍さんは私なんて知らなかった。
この5人だけの、時代なんだ。




32 名前:@@@ 投稿日:2001/12/08(土) 15:24
私が今いるのはモーニング娘。私が今見てるのも、私が今まで見てきたのも、モーニング
娘。モーニング娘。であることには変わりないのに、今のモーニング娘。とは全然
違う。切ないなあ・・・・・。

「変わりましたねぇ・・・・・・・・」
「へ?」
「モーニング娘。は今と全然違いますね・・・・」

寂しそうな表情で呟いた梨華に、なつみが振り向く。
暫く沈黙が続いて、テレビ画面から聞こえる少女達の声が、小さな部屋に
やけに響く。
「そうだね」
なつみは一言言って、また画面に見入った。

画面を見ていた二人が同時に笑ったのは、圭織がしゃべっている場面だった。
「違います、違うんですよぉー、カオリが言いたいのはぁ・・・・」
今よりも幼い顔つきと声で、一生懸命話す圭織。しかしその言葉はどこかおかしくて、
独特で、かわいかった。

「あはぁー・・・飯田さんかわいいです」
「カオリ、カオリねえ、おっかしいよねえ、もう・・・・」
二人とも、テレビに映る圭織を見つめながら、笑い声をあげる。
「カオリもすっかり大人になっちゃったからねえ、こんなカオリはもう貴重だねぇ〜」
笑って言うなつみ。そんななつみをじっと見つめて、梨華がふっと問いかけた。

「安倍さんは、この頃の娘。と、今の娘。と、どっちが好きですか?」
急な質問に、一瞬なつみの表情が固まった。が、すぐに笑顔。
「この頃も今もないよぉー。なっちは娘。がずっと好きだよぉ」
梨華の肩を叩いて言う。

「飯田さんは、どっちなんだろう・・・・。」
しゅんとしたように梨華は顔をうつむける。
「カオリは・・・・・」なつみの笑顔が消えた。

「石川、どうかしたの?おい、またネガティブになってんじゃないだろなー」
「・・・・・・・・・・」
「石川?」

「石川たちが入ってきて、モーニング娘。が全然変わっちゃって、それで、みんな
ストレスとかたまっちゃって・・」
「それで、それで飯田さんも嫌になっちゃって、倒れちゃって、あんなになっちゃって
・・・だから、石川のせいで・・・・・・・」

うつむいた梨華の口から、次々に言葉がこぼれる。それを聞いたなつみは、
少し驚いたような、困ったような顔をしたが、そのあと、ふっとため息をついて、
笑った。


33 名前:@@@ 投稿日:2001/12/08(土) 15:37
「何言ってんの、石川はぁ」
なつみは、梨華の肩を抱き寄せて、その頭にこてんと顔を寄せた。

「だって、だって、私、タンポポまで壊しちゃったんです。石川と加護がタンポポ
入るって聞いたとき、飯田さんは泣いたんです。それまでタンポポは飯田さんセンターで、
歌だってセクシーでぇ、すごい、すごい、今とは違くて、飯田さんは変わっちゃうの
嫌だったのに、石川たちが入ったから・・・・」

止まらない。




34 名前:@@@ 投稿日:2001/12/08(土) 16:09
「ばっかだねえ、石川。」
なつみの、優しい声。
いつの間にか溢れていた涙をぬぐう梨華の、震える肩をぎゅっと抱き
しめる。

「確かにモーニング娘。は変わったけどね、そんなの誰のせいでも
ないんだよ。それに、変わることがいけないワケじゃないでしょ?
圭織は、タンポポが新しくなるとき、そりゃ、ちょっとへこんでた
けどね、わかってるんだよ、石川も加護も、音楽が好きで、
歌が好きで、モーニング娘。が大好きだってこと。だから、認めた
んだよ。石川たちのこと。」

「圭織は、モーニング娘。が好きだよ。ずっと。圭織はモーニング娘。
と一緒に成長したんだもん。なっちもね。そんで、石川たちのことも、
好きなんだよ。わかる?」

梨華は、ぽろぽろと涙を流しながら、じっとなつみの話を話を聞いている。

「ただね・・・・・」なつみが、伏し目がちに言った。
「ただね、なっちもだけど、ちょっと、居場所がなくなっちゃったというか・・
いろいろ、割り切れなくて、苦しんでるんだよ。圭織は。でも、戻ってくる。
戻ってくるよ。圭織はね。」

「安倍さん・・・・・」

「なっち、わかるもん。だって圭織とはくされ縁だからねっ。
生まれたときから、ずっと一緒にいる運命なんだよっ。」
へへっと笑うなつみと、梨華は目を合わせて、笑った。

「私・・・もうおばちゃんとか呼びません・・」
二人は、顔を合わせて、にこっと笑った。


35 名前:@@@ 投稿日:2001/12/08(土) 16:25
「かおりぃーーー来たよぉーー」
そういって、圭織の病室に現れたのは圭だった。
と、思ったら、圭の後ろから、ひょっこりとおだんご頭の少女が顔を
のぞかせた。希美だった。

「ん、今日は二人で見舞いに来たんだ。裕ちゃんから聞いたけど、
割と調子いいんだってね?あんまり無理せずにゆっくり休みな、ね。」
圭がそういいながら近づく。

圭織は起きていた。ベッドの背もたれにもたれかかって、座っていた。
側に座る圭を、瞬きしながらじっと見つめている。
希美は、無言で圭の後ろにぴったりとくっついている。
「こら、辻。」
圭に腕を引っ張られて、希美はおずおずと圭の隣に座った。

以前の圭織の姿を見て、ショックだったのかもしれない。
圭織のほうを見ようとしない希美。



36 名前:@@@ 投稿日:2001/12/08(土) 16:47
「元気?」
圭に、頭をぽんぽんと軽く叩かれて、圭織はふにっと笑った。
圭の手に、甘えるように頬をなすりつける。
それを見た希美は、笑顔になって言った。
「いいらさんが笑ってるぅ」

安心したのか、立ち上がって圭織の側に近づいた。
「辻も、なでなでしていいれすかぁ?」
てへてへと笑いながら、圭織に笑いかけた。

圭織は、圭には見せた笑顔を、希美には見せなかった。
「いいらさん・・・・?」
希美が、圭織に差し伸べようとした。

ぺち、と力無い音がした。
圭織が、希美の手を払ったのだ。
希美の表情が、こわばる。「いいらさぁん」
再び希美が圭織に手を差しのばすと、圭織は身体をのけぞらせて、
圭に抱きついた。

「カオリ、どうしたの?」
それを見て、希美は、きゅっと唇をむすんだ。

「いいらさんは、辻がいやなんれす・・・・」




37 名前:@@@ 投稿日:2001/12/08(土) 16:57
希美の目が、すこしうるんだ様に見えた。

倒れる前は、甘える自分を抱きしめてくれた温かい手に、払われた。
本当は、圭織がいなくなってからとても寂しくて、だから今すぐにでも
この細い、温かそうな身体に抱きつきたかった。
でも、その圭織に避けられたのだ。

「辻、カオリは疲れてるんだから」
圭が圭織を抱いて言った。

圭織は、希美を見ようとしない。

悲しくなった。希美の小さな身体が震え、目からは涙が零れた。
「ちょっと、辻、泣いたらダメだよ」
圭があわてて言う。

「辻、そとで待ってます・・・・」
希美は、そのままとぼとぼと部屋を出ていった。


38 名前:ななし 投稿日:2001/12/09(日) 00:46
う〜ん、いずれも心が痛む切ないシーンだね・・・(;;)。
でも、これからますますの盛り上がり期待します!


39 名前:@@@ 投稿日:2001/12/09(日) 10:57
読んでくれてる人がいると書きたくなりますね。
誤字脱字目立ちまくりですみません(^^;)
しかしとことん暗い話だなあ・・。毎回誰か泣いてるし・・。
どうなるか自分でもわからん。年越しは確実。


40 名前:@@@ 投稿日:2001/12/09(日) 11:11
「辻・・・・・・」
圭は、圭織を抱きしめたまま、途方に暮れた。

放っておいて大丈夫だろうか?あの、圭織に手を払われた時の辻の顔。
なんて顔をしていただろう。相当ショックだったろうな。
圭織に拒まれるなんて。

そんな想いが頭のなかをぐるぐると巡る。
抱きしめていた圭織が、「んぅぅ・・・・・・」と小さな声をあげた。

「カオリ・・」
圭織は、くふん、と、子犬のように息をして、顔をぐりぐりと圭に
押しつける。

「カオリ、どうして?辻、カオリに会いたがってたんだよ・・?」
そんな圭織をなでさすりながら、言う。

圭織は、んぅー・・・・と小さく声を漏らして、ぎゅうっと圭に抱きついてくる。
ぐずっている子供のようだ。

圭は何も言わずに、圭織を抱きしめてやった。そのまましばらく時間がたった。
ふっと圭織の顔をのぞき込んだ圭は、思わず息をのんだ。


41 名前:@@@ 投稿日:2001/12/09(日) 11:21
「カオリ!」

圭織から身を離し、手で圭織の顎をくいっと持ち上げる。

圭織のぽっちゃりとした唇から、紅い血が、つつーっ・・と流れ出ている。
よく見ると、下唇が切れていた。

「どうしたのよ、もう・・」
圭は、圭織を座らせて、後ろの棚に手を伸ばす。
ティッシュを取って、また圭織に向き直ったとき、その光景をみて、
また、息をのんだ。

無表情で、自分の唇をぎりぎりと噛み締める圭織。
すでに自らが傷つけた唇が、さらに深く裂けていく。
血は、とめどなく滴る。


42 名前:@@@ 投稿日:2001/12/09(日) 11:32
圭織の大きな瞳は、どこを見ているのかわからないが、一点をにらみつけて
いるような、凍えきったような雰囲気で、ぞくりとした。

圭は、はっと我に返って、叫んだ。
「カオリ、やめて!」
勢いで、圭織の口のなかに自分の指を突っ込んで、噛み締めている唇を
押し開こうとした。

「痛っ・・・・・・・・!」
圭織の歯が、圭の指をぎりっと噛み締めたのだ。
「痛い、カオリ、やめ・・っ」

圭は、指を振りほどこうとしたが、やめた。
圭織の歯が、指にくい込む。圭織の赤い血で、圭の指も染まる。
圭織の姿をじっと見つめた。

痛い。こんな力で自分を傷つけられるものだろうか。
どうして、自分を傷つけたりするのだろうか。


43 名前:@@@ 投稿日:2001/12/09(日) 17:43
圭織の口に指をいれたまま、圭は黙っていた。
すると、圭織は我に返ったらしい。目が覚めたような、はっとした顔をした。
圭の指にかかっていた力がふっと抜ける。

圭織は、叱られた子犬のようにしゅんとした。

「いいんだよカオリ。」
圭は、さっきまで噛み締められていた指で、傷ついた圭織の唇をさすりながら
言った。

「いいんだよ。苦しかったら、ぶつけてもいいから。一人で苦しまなくてもいい
んだよ。」
その声は、とてつもなく優しかった。

「苦しいこともつらいことも、圭織は全部自分のなかに閉じこめちゃうんだから。
そんなんだから、今の圭織、ぼろぼろだよ。いっぱい傷ついてるよ。もっと
自分をいたわってあげなきゃ」

座っている圭織の高さまで、目線を落とし、白い手を両手でつつみこんで、
語りかける。

「ねえ、圭織、わかる・・?あたしがいるよ。一人で苦しまないでよ。
あたしにぶつけていいから。側にいるから・・・・・」



44 名前:@@@ 投稿日:2001/12/09(日) 17:57
「側にいるから・・・・・」

圭織の瞳から涙が流れ出た。その表情は、安心しきったような表情だった。
圭織に、圭の思いが伝わったのだろうか。

-----よかった・・・。
圭はほっとして、圭織の唇をそっとぬぐってやった。

そして、また圭織に語りかける。
「辻のことだけど・・・・」

ぴくっ、と圭織が動いたような気がした。

「カオリ、辻のことかわいがってたよね。教育係だったし。カオリは、辻が
娘。の中でのびのびできるように、いろいろ気ぃ使ってた。
いいお姉さんしてるなぁ〜って、思ったよ。」




45 名前:@@@ 投稿日:2001/12/09(日) 20:30
「頑張ってたよね。けじめ示さなきゃいけないから、いろんなこと我慢してた
もんね。おかげで辻はキャラだしまくって、活躍できるようになった。」

圭織は、圭から目をそらした。
かまわずに続けた。

「でもさぁ、年少メンバーの面倒見るのって大変だよねぇ。少々のことは目ぇ
つぶって我慢しなきゃいけないし、叱ったら叱ったでこっちが悪く言われるし
・・。嫌になるよね。」

確かに、そう。面倒をみられてる方は、かわいさで、何したって周りから
許される、みたいなとこある。でも、面倒みなきゃいけない方は、大変なんだ。
特にカオリはまじめで一生懸命な奴だから、辻の教育係任されて、今まで自分の
ことで精一杯だったのにもかかわらず、辻のことも頑張って抱えてた。

そんで、背負ってる荷物が多くなりすぎて、しんどくなる。悩む。
カオリのことだから、うまくいかないことがあると全部自分を責めていたんだろう。




46 名前:@@@ 投稿日:2001/12/09(日) 21:01
「で、悩みもいっぱい抱えて、頑張って、辻が娘。ん中で確立したら、次は自分の
居場所がわかんなくなっちゃうんだよね」

辻が娘。として確立した時点で、それまでの様に過剰に面倒を見ることはない。
そしたら、今度はもっと自分がのびのびしていいんだけど、面倒を見てきた
メンバーがいる手前、はずしたこともできないし、結局自分の居場所が
わかんなくなる。



47 名前:@@@ 投稿日:2001/12/13(木) 18:13
ナマタマゴミタカッタ涙


48 名前:名無し娘。 投稿日:2001/12/15(土) 04:15
>>47
俺も見れない。
全国公演を待つよ・・・


49 名前:@@@ 投稿日:2001/12/15(土) 21:21
苦しかっただろう。これはちょっと、前々からのメンバーにしかわからない
かもなあ。新人の、「はやくみんなに追いつかなきゃ」とかいうのとは
全然違う苦しみだよ。

カオリの苦しみは、辻にはわからない。

「辻のこと、見てるの、苦しかった?」
圭織が、ぎゅっとこぶしを握ったのがわかった。
圭の言っていることが、圭織に伝わっているのかどうかわからないが、
圭織の行動は、圭の言葉に反応している気がする。

圭織の力を抜くように、握ったこぶしにそっと手をそえる。

「わかるよ。辻のこと、嫌いじゃないよね。好きだよね。だけど、
苦しいんだよね。」




50 名前:名無し娘。 投稿日:2001/12/18(火) 18:20
愛の種からきました。
めっちゃ切ないですね。
がんばれいいらさん&@@@さん


51 名前:@@@ 投稿日:2002/01/01(火) 16:10
しんねぇんあっけましてぇおーめでっとぉー


52 名前:@@@ 投稿日:2002/01/02(水) 12:48
圭織が、少し潤んだ瞳を圭に向ける。

(きれいな瞳だなあ・・・・)
何となくそんなことを考えた。

その瞳を、じっと見据えながら話した。

「辻のことはね、守るとか守られるとかそんなんじゃなくて、うちらみたいに、
対等なメンバー同士として考えてみ。守らなきゃって気張っても、疲れるだけ
じゃん」

カオリも、あたしの目を見てる。

「守らなきゃいけない人、じゃなくてさ。ただの辻希美として見てあげて。
カオリ言ってたよね?辻を見てると癒されるって。それでいいんだよ。
辻はそりゃまだまだ子供で、頼りなくて、守ってあげなきゃって気になるけどさ。
でも意外と芯は強い奴だから。何より、天使みたいにあの笑顔でうちらを癒して
くれるじゃない。」


53 名前:@@@ 投稿日:2002/01/02(水) 12:53
「辻はそういうパワーがあるんだよ。カオリだって辻を守るばかりじゃなくて、
辻に甘えたっていんだよ。」

きらきら。きらきら。吸い込まれそうな大きな瞳に、光が戻ってきたよ。
そんな感じがした。

「辻が好きでしょ・・・・・?」

張り詰めていた圭織の表情が、ふっとゆるんだ。

伝わってるんだ。ちゃんとわかってるんだ。あたしの言ってること。
カオリ、わかってるんだ・・・・よかった・・・


54 名前:@@@ 投稿日:2002/01/02(水) 13:12
とてとて、と、足音が近づいてきた。
圭と圭織は、その足音のする方に顔を向ける。

「あ、辻ぃ」
足音の主は希美だった。圭は希美のほうに歩みよって行った。
「や、保田さん・・・・」
希美は、はぁはぁと息を切らして言った。

「どこ行ってたの?辻。」
「あの、これ、売ってて、いいださんが好きだから・・」

希美の両手には、どこで買ってきたのか知らないが、ソフトクリームが
握られてた。

希美が、圭をすり抜けて圭織の側にかけていった。
「あっ・・ちょっと待っ・・」

希美と圭織は向き合って、見つめ合っている。それを見て、圭は引き留め
ようとした手を引っ込めた。

「あ、あのね、つじね、いいださんにこれあげます」
さっき涙を零した顔は、それを忘れたかのようににっこりと笑っている。

圭織は逃げなかった。希美の天使の様な笑顔をじっと見つめて、
それから、希美の胸に顔をうずめた。

「いいらさん・・・・・?」
圭織が辻に甘えてる。圭はそう思った。
圭織は、希美に顔をすりよせて、ふにふにと笑った。

圭織に甘えられるなんて、経験したこともなかった希美は、照れたように、
でも嬉しそうにてへてへと笑っていた。


55 名前:@@@ 投稿日:2002/01/02(水) 13:22
圭はその光景を見ていて、いつのまにか自分も笑顔になって
いるのに気づいた。二人の側に自分も近づいていく。

「ほらぁ、辻、ソフトクリーム溶けちゃうよっ」
「あっ・・・」

辻は両手に握ったソフトクリームの、片方を圭織に手渡した。
圭織は嬉しそうに受け取って、それをぺろんと嘗めた。
それを見た辻は、また嬉しそうに、残ったもう片方のソフトクリーム
を自分でなめた。

(そっちはお前のかい!)
・・なんていう圭の思いは、二人並んでにこにことソフトクリームを
なめている圭織たちを見ていてふっとんでしまった。


56 名前:@@@ 投稿日:2002/01/02(水) 13:24
ふー。ふー。続きは。。どうしよ。。


57 名前:名無し娘。 投稿日:2002/01/09(水) 14:54
(・∀・)イイ !
とても イイ!


58 名前:@@@ 投稿日:2002/01/10(木) 14:34
ワオ!
読んでくれてるんだネ!


59 名前:@@@ 投稿日:2002/01/10(木) 14:47
ここはどこ??
なんだか、とってもあったかい。。

だれかいるよ。

誰?だれ?こっちを見て、ふくよかに笑ってるの。

わかった。明日香だ。明日香!

明日香。明日香。あたし、明日香に会いたかったの。
明日香大好きだよ、明日香、明日香・・・


60 名前:@@@ 投稿日:2002/01/10(木) 14:53
あたしの肩を叩いた人がいる。

誰?

ふりむくと、忘れもしない、印象的なあの笑顔。

彩っぺ!!!

あたし、思わず抱きついちゃったよ。
彩っぺ、彩っぺ、彩っぺだ、あたしの愛する彩っぺ・・


61 名前:@@@ 投稿日:2002/01/10(木) 14:58
彩っぺの後ろに、、誰か立ってる。

誰?顔をあげると、優しい微笑みのあの人。

あたし、泣いてるの?

だって、目の前に、さやか。

嘘でしょう?
ううん、嘘じゃない。

あたしの大好きな人が、ここにいるの。


62 名前:@@@ 投稿日:2002/01/10(木) 15:01
そしたら、誰かがあたしを後ろから抱きしめた。

誰?ううん、わかった。

裕ちゃん。裕ちゃんでしょう?

振り向くと、ほら、やっぱりね、当たった。

あたしの愛しの姐さん、あったかい人。


63 名前:@@@ 投稿日:2002/01/10(木) 15:30
みんな笑ってるね。あたしも笑ってるよ。

あったかいね。あったかい。
あたしの、愛する人たち。

ここが、あたしの場所。



64 名前:@@@ 投稿日:2002/01/10(木) 15:33
いきなり、冷たい風が吹く。

どうしたの?

あったかかった世界が、霧で包まれていく。

何?どうして?

待って。みんなが見えない。
待って。ひとりぼっちにしないで。
待って。あたしをおいていかないで。

ひとりにしないで・・・・
消えていかないで・・・・


65 名前:@@@ 投稿日:2002/01/10(木) 15:37
泣かなかった。
側に、なっちが立ってたから。

なっち。なっちはあたしの手を握って、霧の中を
歩いていく。

なっち、ありがとう、ここに居てくれて、ありがとう。
あたし、なっちが大好きよ。




66 名前:@@@ 投稿日:2002/01/10(木) 15:43
どうしたの、なっち。
なっちの足が、急に速まった。

どんどん、どんどん、速くなっていく・・・・。

ちょっと待って。なっち待って。ついていけない。

何かに引っかかった。あたしは転んだ。
なっちとつないでいた手が離れる。

やだ、なっちやだ。行っちゃやだ。
なっちはどんどん前に進んでいく。

いや、なっちが見えなくなっちゃう。
いや、いや、待って、待って、待って・・・・



67 名前:@@@ 投稿日:2002/01/10(木) 15:47
「なっち!!!!」「カオリ!」




ここはどこ?ここは、ここは白い病室。
白いベッド。ここに寝ているのは、、、あたし?

はぁはぁと、息が荒い。さっきのは、夢・・・?

「カオリ、大丈夫?」
はぁはぁ、はぁはぁ、はぁはぁ。
冷や汗が額をつたう。

なっちだ、なっちが目の前にいる・・・・。


68 名前:@@@ 投稿日:2002/01/10(木) 15:54
思わず抱きついた。

「カオリ??どうしたの??」

あったかい。なっちの体温だ。ここにいる。なっちは
ここにいる。

「カオリ・・・。」

「・・・・・・・・・・」
「え、何?かお、なんか言った?」

うまく喋れない。

「・・なち、いっひゃやら・・・」
「へ?カオ、何?」
「なっち、どこにも言っちゃやだ・・・
 カオリを一人にしちゃやだ・・・」


69 名前:名無しっ娘。 投稿日:2002/01/16(水) 17:46
いいッス!!
良く出来てるッス!!


70 名前:LOVE 投稿日:2002/01/17(木) 16:26
続きに期待!!


71 名前:名無しっ娘。 投稿日:2002/01/18(金) 13:52
初めて読ませていただきました。
引き込まれました。
続き期待しております!


72 名前:名無し娘。 投稿日:2002/01/18(金) 21:23
           http://1.????
         http://1.????????
        http://1.??.._?.._?????
       http://1.??.._.._????????
       http://1.??.._?????????
      http://1.??????????????
      http://1.?.._????????????
     http://1.??????.._??.._???.._??
     http://1.?????.._?.._.._?.._???.._?
    http://1.???????.._??.._?????.._?
    http://1.??????????????????
    http://1.??????????????????
     http://1.????????????????
      http://1.???.._?.._?.._?.._?.._??
     http://1.?.._?.._?.._?.._?.._?.._?.._.._?
    http://1.?.._?.._??.._?.._?.._?.._?.._?.._?
     http://1.??.._?.._?.._?.._?.._?.._?.._?

AA test


73 名前:名無し娘。 投稿日:2002/01/22(火) 10:18
続きが待ち遠しいッス!


74 名前:名無し娘。 投稿日:2002/01/22(火) 10:20
続き待ってます!


75 名前:名無し娘。 投稿日:2002/02/04(月) 21:45
超期待してますsage


76 名前:@@@ 投稿日:2002/02/05(火) 18:36
なつみの体に、圭織の震えが伝わる。圭織はなつみの服をぎゅっと
掴んで離そうとしない。
「カオリ?」

「カオリ、なっちがわかるの?」

「カオリすっごくうなされてたよ。怖い夢でも見たの?」

なつみが話し掛けても、圭織は返事をしなかった。ただ、子供のように
なつみにしがみついて、震えている。

なつみは話し掛けるのをやめて、自分にすがりついている圭織を抱きしめた。
圭織と同じくらいの力で、ぎゅっと包み込んだ。

「カオリ、なっちはここにいるよ、どこにも行かないよ。」
母親のように、優しくなだめる。
「カオリ、ほら、なっちを見て。ここにいるよ。」

なつみは圭織の頬に手を当て、顔をあげさせた。
圭織はすがるような目でなつみを見つめる。
「なっち・・・・・・・・」
「ここにいるよ。」

「カオリ、怖い夢見た。みんなみんないなくなって、なっちもいなく
なっちゃうの。カオリ、すごく怖かった・・・」


77 名前:名無し娘。 投稿日:2002/02/06(水) 14:31
続きだ!(喜
お待ちしておりました
これからもよろしくです@@@さん
(もちろんのんびりで!)


78 名前:@@@ 投稿日:2002/02/06(水) 17:34
更新遅くてすみません;
自分も続きがよく見えてないんで迷走しながらやってますが
こんなんでも見てくれる人がいて嬉しいです(^^)
がんばっていきまっしょい


79 名前:名無し娘。 投稿日:2002/02/12(火) 13:52
とても(・∀・)イイ ! 感じです。


80 名前:@@@ 投稿日:2002/02/17(日) 20:32
-----------------------------------------------------------
「順調に回復してってると思うよ。こっちの言ってることも理解できるみたいだし」
何となく見舞いに行くのにとまどっていたなつみだが、圭の言葉を聞いて、
病院へ訪れた。

圭織は眠っていた。みんなの言うとおり、顔色がだいぶ良かった。
なつみは圭織を起こさないように、飾られた花を換えて、静かに隣に座っていた。
眠っている圭織は、すごく幸せそうな笑みを浮かべていた。

「何か夢でも見てんのかな〜カオリ・・寝ながら笑ってるよぉ」
そんな圭織を見ていると自分も思わず笑みを浮かべてしまう。
なつみはしばらく圭織の寝顔を眺めていた。

突然、圭織が顔をしかめる。「ん??」

「・・・ぁ・・・ぃや・・っ」
「へ?カオ、どーした?」

苦しそうにうなされる圭織。なつみは驚いて立ち上がった。
「カオリ、カオリ。」

「・・ゃ、だ、みんな、置いてかないで、ゃ、なっち、なっち、、」
「カオリ、なっちここだよ、ここにいるよ」

「なっち!!!!」「カオリ!」









81 名前:@@@ 投稿日:2002/02/17(日) 20:44
------------------------------------------------------------------
圭織ははぁはぁと肩で息をしている。
「怖かったね、カオリ。もう大丈夫だからね、なっちここにいるからね」

そう言われて、ようやく落ち着いたのか、なつみを掴む圭織の力が緩んだ。
なつみは圭織から体を離す。

圭織は、ぼんやりと白い病室を眺め渡した。

「ここ・・・・・・どこ・・・・?」
カオリだ。カオリが戻ってきたんだ。なつみは心の奥でそう思った。

「なっち、ここ、病院???何でカオリ、ここにいんの・・?」



82 名前:@@@ 投稿日:2002/02/17(日) 20:51
------------------
頭の中の整理がつかない。頭の中で、ぐるぐるといろんなものが回っている。

頭の中で、途切れ途切れに浮かんでくる記憶。
何かたくさんの大きなものに囲まれて、すごく怖かった記憶。あれは、
あたしの周りに立っていたのは、何だっただろう。

あたしを抱きしめて、泣いていた人がいた。とてもあたたかい人がいた。
あれは、あれは、、、祐ちゃん・・・だった・・?



83 名前:@@@ 投稿日:2002/02/17(日) 20:55
それから、あたしの目をじっと見つめていた強い光があった。
それから、小さな温かい天使が、いた。天使は、冷たくて甘いソフトクリームを
持って・・・・いた・・?   

圭ちゃん・・・・・辻・・・・・・・

たくさんの、断片的でうつろな記憶が、圭織の中を駆け巡る。
急にとてつもなく大きな不安が圭織を襲った。


84 名前:名無し娘。 投稿日:2002/02/19(火) 14:15
やった、復活ーっ!


85 名前:もうむすいいすねぇ。 投稿日:2002/02/19(火) 23:04
もう最高っす!!感動です!!早くつづきがよみたい〜〜〜!!
@@@さん頑張ってください!!応援してます!!


86 名前:@@@ 投稿日:2002/02/21(木) 18:18
こんなもん応援してくれてほんと感謝です。いやほんと


87 名前:@@@ 投稿日:2002/02/21(木) 18:29
「カオリ、、、、ずっとここにいたの・・・・?いつからここにいたの・・・・?」
曇った瞳でなつみを見つめる圭織。
「ねぇ、なっち・・・」

その声はとても弱々しい。ずっと起き上がっていた圭織は、ふらりとしてなつみに
寄りかかる。それもこれも全部、長いことろくな運動もしていなかったからだ。

カオリが倒れてから、既に5か月近くたっていた。

「カ、カオ、大丈夫?」
よりかかる圭織を支えて、なつみはかなり困惑していた。

「カ、カオ、大丈夫?」



88 名前:@@@ 投稿日:2002/02/21(木) 18:41
どうしたらいいものか。そんなに長い間仕事を休んでいたことを知ったら、相当
のショックを受けるだろう。責任感の強い圭織は、自分を責めることだろう。弱って
いるカオリに、そんなこと、させるわけにはいかない。

「カオ、何も心配いらないよ」
「なっち・・」
なつみは圭織を優しく抱いて、横たわらせた。
「今は眠りな。いっぱい眠っていいよ。起きたら、ごはん食べれるからね」
小さな子供に話しかけるような甘い声。なつみは圭織の額をそっと撫でた。
急に興奮して疲れたのか、圭織はそのなつみの体温に吸い込まれるように
素直に目を閉じた。

「・・・・ごめん・・・・みんなにめいわ・・・・・く・・・・」
圭織は呟いて、眠りについた。その小さな呟きは、なつみの心をちくりと痛めた。


89 名前:もうむすいいっすねぇ。 投稿日:2002/02/22(金) 21:19
頑張ってください!!



90 名前:@@@ 投稿日:2002/02/22(金) 23:00
-----------------------------------
「即退院させよう。」
その言葉は、なつみの心を怒りで燃え上がらせた。

「すぐに退院させて、仕事に復帰してもらう。」

それは心無い社長の言葉だった。
「無理に決まってます!まだ休まなきゃだめです!」
なつみが反抗しても、社長は毅然とした態度で言い放った。

「君が見舞いに行った時、飯田はいつもの飯田に戻ってたんだろ?
ならもう入院してたって意味がない。飯田だってそうしたいはずだ」

「そんな、いつものカオリとか、そういうんじゃなくて・・・」

何て人だろう。なつみは怒りを通り越して恐ろしさを感じた。
この人はカオリの見舞いに行ったのだろうか?
この前のカオリは確かに、いつものカオリが戻ってきた感じがした。
でもまだ無理だ。カオリはまだ完全に元気になどなっていない。
今の状態でいきなりあのハードなスケジュールに戻ったりしたら、
たちまち壊れてしまうだろう。


91 名前:@@@ 投稿日:2002/02/22(金) 23:09
なつみがいくら伝えても、社長は取り合おうとしない。さっそく病院に
連絡を取ろうとしている有様だ。

なつみは、社長が手にした電話の受話器を奪い上げて言った。
「お願い、もっと考えてあげてください、無理ですよ社長!」

社長がなつみを睨んで言う。「しかし、一刻も早く復帰してもらわな
きゃ困るじゃないか。飯田は仮にもリーダーだぞ。これ以上休んでいたら
完全に世間から忘れられてしまうに決まってる」

「そんなこと・・・・・」


その後、なつみの必死の懇願で、社長は圭織の退院を延ばした。
しかしやっとのことでなつみが社長室を出る時の、社長が言い放った言葉
を、なつみは忘れないだろう。そして、許さないだろう。

「飯田も、いっそのことこのままずっと復帰しないでいてくれたら、
お荷物がいなくなってさっぱりするだろうになぁ」

なつみは、社長室のドアを思い切りバタンと閉めたあと、とてつもない
悔しさに涙を零した。


92 名前:@@@ 投稿日:2002/02/22(金) 23:11
社長ごめんなさい


93 名前:@@@ 投稿日:2002/02/23(土) 19:38
「サイッテーー!!!」
なつみの話を聞いた矢口は、高い声を上げて、目の前のテーブルをばん、と叩いた。

「ほんっとに・・飯田さんのこと、ちっとも考えてあげてないですよね!!」
梨華も、声を荒げて言った。

ここは楽屋。年少メンバー達は、学校の都合でまだ来ていない。

吉澤と後藤は、無言で下を向いていた。
なんともいえない空気だ。

「、、、、、でも、しかたがないよ」
みんなが一斉に圭のほうを向いた。

「しかたがないことなんだよ。社長の言うことだって、まちがってるわけじゃない。
グループってのは、全員揃ってなきゃいけないもんなんだよ。それはわかるでしょ?
このまま、カオリのいない状態がずっと続いて、カオリのいないモーニングが
世間に見慣れてしまわれたら、カオリのいないモーニングになんの違和感も
なくなっちゃったら、本当に、カオリ忘れ去られちゃう。」

圭の言う言葉には、妙に重みがある。みんな、心のどこかでは思っていた
ことかも知れなかった。


94 名前:@@@ 投稿日:2002/02/23(土) 19:50
「そうかも知れないけど、でも、カオリには今ゆっくり休むことが
大切なんだよ・・・・・・カオリの心は、、、今弱ってるんだよぉ」

か細い声で、なつみが言った。

「それはそうだよ。あたしもそう思う。でも、回復をゆっくり待って
られる状況でもないんだよ。カオリはちゃんと最後のコンサートやって
卒業した、とかじゃなくて、いきなりみんなの前から姿を消したんだから。
ファンの人だって、なんか割り切れなくてもやもやした状態だと思う。
このままじゃ、娘。もろともぶっ潰れちゃう可能性だってある。」


みんな、重い表情で黙りこくった。

「・・・難しいですね・・・・・・」
吉澤が、ぼそりと言った。

「そうだね。だけどうちらは、そういう厳しい世界に生きてるんだよ。
それが現実。強くならなきゃ。うちらも、カオリも」
圭の瞳は、悲しげで、怒っているようで、それでもまっすぐにどこかを
見つめているようだった。

なつみは、何となく、今ここに年少メンバーがいなくて良かったな、
と思った。-----あのこたちには、まだ、明るいきれいな世界を見ていて
欲しいから。純粋な、光の中を、今はただ、走っていて欲しいから・・・


95 名前:@@@ 投稿日:2002/02/24(日) 15:02
ねーはずかしいーわーねーうれしいーのーよー
あーなたのこーぉとーぉばーぁ
もーにんこぉーひのもーぉよーーーーーーーふたーーーりでーーーー

・・誰か飯田の小説紹介してくれ


96 名前:名無し娘。 投稿日:2002/02/27(水) 14:39
モーコー2002でうかれちゃいました?
私もそうです。

>・・誰か飯田の小説紹介してくれ

超有名どころしか知りません。「カテキョ」
http://members.tripod.co.jp/a24_box/index.html


97 名前:( ゜皿 ゜) 投稿日:2002/03/01(金) 22:24
更新中の小説にレスするのは初めてだけどさ、この話し、好きだよ。
保田達の訪問の回は涙が出た。まじで。
がんばってな! 楽しみにしてるよ。 …で、飯田の小説の紹介ね。

大河なっち(● `へ´ ●)
http://teri.2ch.net/mor2/kako/985/985422045.html
  忠臣蔵ベースの娘。達。痛くなく壊れてもおらず(w、圭織主人公の
  小説の中では今のところ個人的に一番好きだ。
なしのはな
http://mseek.obi.ne.jp/kako/yellow/985024126.html
  シュールなお笑いの短編集。基本的に石川(いじられ役)が主人公
  だけど、圭織主演の回も何編かありいずれも笑える。オススメ。
リーダー、冬を越す。
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Hemingway/7323/hozon/step/ri-da-fuyuwo.html
  リーダー圭織のぼけっぷりが。笑うけど少しホロリ。
イイダさん観察記 (愛の種板「糞娘マジウザイ!〜〜」スレ)
http://tv.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1010320948/144-223
  辻視点による飯田さんならぬイイダさんウォッチング。最近の作品。 
ビスケット(愛の種板「二十歳のころ」スレ)
http://tv.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1011368635/14n-
  リーダー圭織の痛々しさが。市井との絡み有り。連載中。

あと、『娘。小説保存庫』──人物別目次 でいくつか拾える。
ttp://isweb41.infoseek.co.jp/novel/kaorin00/index002.html

他に、小説じゃなくてネタスレだけど、これもイイぞ。
ノ( ゜皿 ゜)ノ<コウ、シン、チュウーッ!! [MARS屋](狩板)
http://www.metroports.com/test/read.cgi?bbs=morning&key=001116248&ls=50




98 名前:( ゜皿 ゜) 投稿日:2002/03/01(金) 22:26
更新中の小説にレスするのは初めてだけどさ、この話し、好きだよ。
保田達の訪問の回は涙が出た。まじで。
がんばってな! 楽しみにしてるよ。 …で、飯田の小説の紹介ね。

大河なっち(● `へ´ ●)
http://teri.2ch.net/mor2/kako/985/985422045.html
  忠臣蔵ベースの娘。達。痛くなく壊れてもおらず(w、圭織主人公の
  小説の中では今のところ個人的に一番好きだ。
なしのはな
http://mseek.obi.ne.jp/kako/yellow/985024126.html
  シュールなお笑いの短編集。基本的に石川(いじられ役)が主人公
  だけど、圭織主演の回も何編かありいずれも笑える。オススメ。
リーダー、冬を越す。
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Hemingway/7323/hozon/step/ri-da-fuyuwo.html
  リーダー圭織のぼけっぷりが。笑うけど少しホロリ。
イイダさん観察記 (愛の種板「糞娘マジウザイ!〜〜」スレ)
http://tv.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1010320948/144-223
  辻視点による飯田さんならぬイイダさんウォッチング。最近の作品。 
ビスケット(愛の種板「二十歳のころ」スレ)
http://tv.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1011368635/14n-
  リーダー圭織の痛々しさが。市井との絡み有り。連載中。

あと、『娘。小説保存庫』──人物別目次 でいくつか拾える。
ttp://isweb41.infoseek.co.jp/novel/kaorin00/index002.html

他に、小説じゃなくてネタスレだけど、これもイイぞ。
ノ( ゜皿 ゜)ノ<コウ、シン、チュウーッ!! [MARS屋](狩板)
http://www.metroports.com/test/read.cgi?bbs=morning&key=001116248&ls=50


99 名前:( ゜皿 ゜) 投稿日:2002/03/01(金) 22:29
うわっ。二重カキコ、スマソ!


100 名前:@@@ 投稿日:2002/03/04(月) 22:03
>名無し娘。さん
ありがとうごじゃいます。カテキョはいいですね、、何度読んでも・・
永遠の名作だべや

>( ゜皿 ゜) さん
うはぉっいっぱいありがとっす!
まだ「なしのはな」と「ビスケット」しか読めてないけど、
いいっすねぇ。しかし飯田の小説はいずれも痛みを伴うもんが
多いなあ


101 名前:名無し娘。 投稿日:2002/03/04(月) 23:37
サイト系でも飯田の主役、あるいは主に活躍する小説(長/中/短編いずれも)は
ありますが、ここでは、とりあえず>>97さんのご紹介されたもの以外で、
板系小説にしぼって紹介をさせていただきます。

「Dear…」(短編)
http://mseek.obi.ne.jp/kako/white/963736488.html
かおのの。圭織と辻のちょっぴり甘いお話。ほのぼの系。

「青のじゅもん」(短編)(元、名作集旧青板)
http://www.geocities.co.jp/HeartLand/8524/ao.html
市井が去ったあとのとある日、圭織の切ない心が泣かせる。

「葉っぱののんちゃん」(短編)
http://sapporo.cool.ne.jp/nonokaowota/hozem/988533928.html
多分、元ネタは童話。とっても哲学的な、葉っぱの飯田がとても良い。

「のののためにできること」(短編)
http://sapporo.cool.ne.jp/nonokaowota/hozem/979328410.html
57-78まで。これも、元ネタは絵本。何度見てもつい涙目になっちゃいます。

「曲の内容を素にして小説書いてみてください」(短編集)
http://sapporo.cool.ne.jp/nonokaowota/hozem/988533928.html
これの90-98がののかお。辻の視点からの話だが優しい飯田がマル!

「元祖飯田圭織伝説」(中編)
http://www.interq.or.jp/yellow/hiuga/novel/legendiida.html
安倍との数奇な運命を描いた作品。21から読んでください。

「飯田鉄道999」(1話完結/全7話/中編)
http://sapporo.cool.ne.jp/nonokaowota/hozem/990000505.html
辻=鉄郎、圭織=メーテルというお約束の「999」パロディだが、基本設定以外は
ほとんどオリジナルストーリーで、良く出来た作品。結構知的?で時々天然な飯田が見られる。

「チャイルドプラネット」(長編)
http://mseek.obi.ne.jp/kako/blue/977064496.html
名作。主役ではないが、主役を食うほどの活躍。辻との絡みとその生き様に哀しみが漂う。

「カオリンクエスト」(2/3/4/5)(長編)
http://m-seek.on.arena.ne.jp/cgi-bin/read.cgi?dir=tane&thp=1001117288(←とりあえず「4」)
「2」が殿堂入りまでした異世界ファンタジーの名作。戦士飯田の成長と、個性的な仲間たちの織り成す
笑いあり涙あり冒険ありのエピソード満載。現在5が連載中。

「夜明けを待ちながら」(中編)
http://www.interq.or.jp/yellow/hiuga/novel/sunrise.html
圭織視点のホラー系作品。オチは読んでのお楽しみ。

「夜に目覚めて」(中編)
http://www.interq.or.jp/yellow/hiuga/novel/mezame.html
同じく、飯田主役。少しここの話と被る部分があるかも知れませんので、読んでおかれると良いと思います。

「十二支物語」(連載中)
http://m-seek.on.arena.ne.jp/cgi-bin/read.cgi?dir=purple&thp=1008772651
最近始まった新作。異世界ファンタジー。主役は矢口っぽいが、心優しくちょっとシスコン?
(妹役=石川)の戦士役飯田が普通っぽくて良い。

「Stop the World」(連載中)
http://m-seek.on.arena.ne.jp/cgi-bin/read.cgi?dir=gold&thp=1015007757
今月になって始まった新作。圭織主役の「かおよし」恋愛(絡みあり)もの。心理描写が深くてこれから期待できそう。

ざっとですが、私のお奨めはこんな所です。HPモノでもかなり自分的にはイイ!と思う飯田主演・メイン作品があるのですが、
全部挙げるときりがないので…。続き、がんばってください^^!


102 名前:名無し娘。 投稿日:2002/03/05(火) 20:01
訂正 >>101

スマソ!「曲の内容を素にして小説書いてみてください」(短編集) のリンクに間違いありました。
http://mseek.obi.ne.jp/kako/green/981803562.html
これの90-98がののかおです。

あと、殿堂入りした「カオリンクエスト2」
へは、ここからいけます。
http://www.ah.wakwak.com/~yosk/meicos/kaorin/index.html


103 名前:@@@ 投稿日:2002/03/05(火) 20:49
まじでまじでありがとうございます。。。
全部こう・・ぐいぐい心にくるもんが・・ううんいいねえ

自分の小説のほうもがんばりまっす


104 名前:@@@ 投稿日:2002/03/09(土) 19:43
----------------------------------------------
柔らかな色の芝生。風は、緑のにおいを運んできて。
ぽかぽかとした日差しが、圭織の背中をあたためていた。

病院の庭の、小さな池。圭織は芝生にしゃがみこんで、長いことそれを見ていた。
水面に映る空は、恐いくらいに青かった。


105 名前:@@@ 投稿日:2002/03/09(土) 19:51
水面から、圭織の瞳はじっと見つめ返されている。
圭織も、その瞳をじっと見つめている。

これはなに

これは

これはあたし


106 名前:@@@ 投稿日:2002/03/09(土) 19:54
水面に映る、自分の姿。いつしかそれに吸い込まれるように、圭織は
水面を見つめ続けていた。

これは、ほんとうにあたしなの?

「あたし」     って  何

あたしは、あたし。  あたしは、圭織。
あたしは飯田圭織。


107 名前:@@@ 投稿日:2002/03/09(土) 20:05
いいだかおり、いいだかおり、いいだかおり、、、、
それがあたし?ほんとうにあたし?

「い、い、だ、か、お、り」
口に出して言ってみても、しっくりこない。
「いいだかおり」
「いいだかおり」

聞こえてくる音。それは自分が発したものだ。
自分の肩を抱きしめる。これはあたしの体。
あたしはここにいる、ここにいる、ここにいる・・・・・・


108 名前:@@@ 投稿日:2002/03/13(水) 18:47
「あたし」は、「あたし」の意識を取り戻した。
今は自分でも、あたしがおかしくなっていたことが理解できる。
だから、ここにいることも。

あたしの中にある、ぼんやりとした、それでいて心に染みるように
残っている記憶。あたしがまともな意識を取り戻すまでの記憶。


109 名前:@@@ 投稿日:2002/03/13(水) 19:01
みんなが、来てくれたのを覚えてる。
裕ちゃんが、あたしを抱きしめて泣いていた。
圭ちゃんの言葉も、ちゃんと覚えてる。あたしはそれに救われて、
辻を素直に受け止められた。

ちゃんとわかっている。もう、「あたし」は戻ってきた。
わかってる。そう、あたしはモーニング娘。なんだ・・・。



110 名前:名無し娘。 投稿日:2002/03/24(日) 20:54
 や〜素晴らしい作品ですね。
この作品を読んで、飯田さんが前よりも好きになったかも(照


111 名前:@@@ 投稿日:2002/03/26(火) 21:59
>110
にまにま(^^)


112 名前:@@@ 投稿日:2002/03/26(火) 22:14
すごく不思議な気分。ちょっと前までのあたしは、「あたし」だけど
「あたし」じゃなくて。まともな意識が戻った今、それを思うと、すごく
不思議。不思議っていうより、、奇妙。なんか、すごく、すごく、、、
怖い。。。。


だめ、やばい。

圭織は抱え込んだ自分の膝に、顔をうずめた。体が震える。
圭織は、「完治」にはまだ至っていなかった。
発作的に、以前の状態に戻ることがある。

普段は正常な意識であるために、その「発作」が圭織にとって非常な
恐怖だった。


113 名前:@@@ 投稿日:2002/03/26(火) 22:36
ゆっくりと息を吸って、ゆっくりと吐く。圭織は、「発作」が起こりそう
になるたびに、こうやって自分を落ち着かせようとしていた。
体の震えが収まる。急に全身の力が抜けて、圭織はへなへなと芝生に
座り込んだ。

やだなあ、もう、カオリ、どうしてこうなんだろう・・・・

自分が情けなくて、涙が滲んでくる。

入院なんて。モーニングの仕事は確かに超ハードだけど、みんな頑張って
こなしてるのに。リーダーだって、裕ちゃんならこんなことはなかった。

だめだなあ。。弱いなあ、あたしは・・。カオリは、、弱虫だなあ・・。
早く復帰しなきゃ。こんなに休んじゃって、みんなにいっぱい迷惑
かけてる。がんばらなきゃ。がんばらなきゃ。がんばれ、がんばれ、
がんばれ、がんばれカオリがんばれカオリ。



114 名前:@@@ 投稿日:2002/03/26(火) 22:45
・・・・・・違う、だめ、こんな風に自分をせきたてちゃだめ。
こうやって、まだがんばれるまだがんばれるってやってたから、カオリ
限界こえちゃったんだよ。圭ちゃん言ってたじゃない。あたしは一人
じゃないんだ。そう、甘えてもいいって、言ってくれたじゃない。

圭ちゃん。
頭ではわかってる。わかってるけど、どうしていいかわかんないよ。
あせっちゃうよ。圭ちゃん。みんな。
カオリは弱いです。もっと強くなれたらいいのにね。
強くなりたいよ。





誰か助けて。


115 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2002/03/28(木) 23:37
早く誰か助けてあげて。


116 名前:@@@ 投稿日:2002/03/31(日) 13:40
------------------------------------------------------------
圭織は、ベッドの上から窓の外を眺めていた。きれいな青空だ。
今日は気分が落ち着いていて、発作が起きる様子もなかった。

コンコン、とドアを叩く音がした。圭織が、「どうぞー」と言うと、
ゆっくりとドアが開いて、人影が見えた。

「カオリ」
「ご・・・・・っちん・・」
現れたのは、真希一人だった。真希は、微妙な笑顔を浮かべて
圭織に歩みよってくる。

「あ、どぞ、ここ座って」
圭織はベッドの脇の小さな椅子を指す。真希は手に持った紙袋を
下に置いて、椅子に座った。

「一人?」圭織が聞く。正直、メンバー内でもそれほど仲がいいわけ
でもない真希が、一人で見舞いにくるというのは驚きだった。

「うん」
真希は頷いた。

しばし沈黙が続く。圭織は何となく気まずくなって、真希に話しかける。

「あ、みんな、元気?」
「ん、元気だよ」
「ん、そか」

真希の方はいつもの調子で淡々としている。

「カオリは、調子どう?」
「あ、もう大分いいんだ。いっぱいみんなに迷惑かけちゃったし、
早く復帰しないとね」

真希が、ちらりと横にある小さな棚に目をやる。
そこには、ほとんど手のつけられていない圭織の朝食が置かれていた。


117 名前:@@@ 投稿日:2002/03/31(日) 13:49
「あ・・」
圭織は真希の視線の先に気づき、苦笑いを浮かべた。

「カオ、食べてないの?」

「え、や、なんか今日食欲なくて」

「今日だけ?」
真希が、圭織の手首を握った。それは、とても細い。
「や、あの」

「病院食はおいしくなくってさぁ」
圭織がへらっと笑って言うと、真希は急に大きな声をあげた。
「そう思ってさぁー」
さっき下に置いた紙袋を持ちあげる。

真希が持ってきた紙袋の中身は、プリンだった。
「買ってきたの。これおいしいよっ」


118 名前:@@@ 投稿日:2002/03/31(日) 13:55
「食べる?カオリ。まだ冷たいよぉ」
圭織の返事を待たず、真希はプリンを取り出して、付属の小さなスプーン
の入った袋を破く。

自分を喜ばせようとしている真希の姿がかわいくて、圭織はとても嬉しく
なった。実際食欲はなかったのだが、笑顔を浮かべて、
「食べるっ。カオリ、ここのプリン大好き!」

圭織の明るい声に、真希もにっこりと笑顔で答える。
「へへ、あーん」
真希がプリンをスプーンですくって、圭織の口元に近づける。





119 名前:@@@ 投稿日:2002/03/31(日) 14:03
圭織はそれをぱくっと口に含んで、もぐもぐと味わった。
プリンはとてもおいしかった。ほとんど食欲のなかった自分の体が、
食べ物というものを思い出した感じがした。

「おいしい・・・・・」
圭織がいうと、真希は嬉しそうに、
「もっと食べて」
と、スプーンにプリンをのせて圭織に差し出す。

なんだろう、ごっちんが、めちゃくちゃ優しい。

真希にプリンを食べさせてもらって、圭織は胸のあたりがほかほか
と温かくなっていくのを感じた。

嬉しいなあ・・・・。


120 名前:ななし。。。 投稿日:2002/04/02(火) 01:43
最近、後藤も飯田位に髪を伸ばしてるから、
MUSIXなんかで2人がスーツ着て並ぶとちょっと姉妹っぽく見える時があるんだよね。
俺的には2人とも好きなんで、この組み合わせは嬉しい。
今夜始まった「美少女教育2」でも一緒に出ていたし。


121 名前:@@@ 投稿日:2002/04/02(火) 21:31
へい、ごまかお大好きです


122 名前:名無し娘。 投稿日:2002/04/02(火) 21:39
 ごまかおイイっすねぇ。
この二人といしよしを加えて、娘。ビジュアル最強ユニットを見てみたい


123 名前:@@@ 投稿日:2002/04/03(水) 10:57
なる・・・


124 名前:@@@ 投稿日:2002/04/03(水) 11:19
「ごっちんも食べなよ、好きでしょ?」
「いーの、あたしはカオリに食べてもらいたいの」
真希は、次々と圭織の口にプリンを運ぶ。

「カオリこんないっぱい食べれないよお」
「まだちょっとしか食べてないじゃ〜ん」
「もうっ」

圭織は、そんな真希の手からスプーンとプリンを取り上げた。
「ほら、ごっちん、あ〜ん」
真希の真似をして、プリンを食べさせようとする。
「カオリが全部食べてよぉっ」
真希がまた、プリンを取り返そうとする。

笑いながらそんなことをしている二人は、じゃれあっているように見えた。



125 名前:@@@ 投稿日:2002/04/03(水) 11:26





真希が、圭織を抱きすくめていた。

二人が食べさせあって、もう中身がちょっとしか残っていないプリンの
容器とスプーンが、音も立てずにシーツの上に転がり落ちた。


126 名前:@@@ 投稿日:2002/04/03(水) 11:34
真希は、圭織をぎゅっと抱きしめる。
圭織の顔が、真希の胸に押し付けられた。

いきなりのことで、声も出なかった。真希も、何も言わなかった。
窓の外から、風の音が聞こえる。

自分の顔を、圭織の頭に擦り付ける真希。

「・・・ごとー、泣いてる・・・・・?」



127 名前:@@@ 投稿日:2002/04/03(水) 11:52
圭織を抱きしめる真希の体が、小さく震えているような気がした。
聞こえる真希の胸の鼓動が、早く感じられた。

「・・・・泣いてないよ」
頭上から聞こえる真希の声は、僅かにかすれていた。
「ごとー・・・・、ごっちん・・・・・?」

真希の手が、圭織の背中を撫でさする。
「細いね、カオリ」
「・・・・・・・」

「カオリ、吐いてるでしょ」

---------何でこんなに勘がいいんだろう。



128 名前:@@@ 投稿日:2002/04/03(水) 11:59
「カオリごめん、ごめんカオリ、ごめん」
どんどん潤んでいく真希の声。

圭織は自分の腕を真希の背中にまわした。
「ごっちん・・・・・・・?」


「泣いてないよ・・・・・・・・・」
喉から搾り出したような涙声。
「わけわかんないよぉ・・・・・」

ごっちんの胸があったかくって、何だかあたしも泣きたくなった。



129 名前:@@@ 投稿日:2002/04/04(木) 12:08
顔を上げる。 
ごっちんの、涙で濡れた顔が、目の前にあった。

「なんで泣くのよぉ・・」

「ごとー、自己中だから、いっぱいカオリに迷惑かけてたよね」

「もっとちゃんと、いろいろ考えて、年下のメンバーの面倒とか、
見るべきだったよね」

「ごっちん」

「ごめんねカオリ、カオリ、つらかった?しんどい?カオリ、ごめん」



130 名前:@@@ 投稿日:2002/04/04(木) 12:12
ごっちんは、ぽろぽろ涙を流しながら、次々と喋った。
こんなごっちん見るの、初めてだった。

ごっちんは何度もカオリを抱きしめながら、いっぱい、「ごめん」って
言った。



131 名前:@@@ 投稿日:2002/04/04(木) 12:18
「ちがうよぉ・・・・ごっちんのせいじゃないよぉ・・・」

胸が、じゅんと熱くなった。

ごっちんの感触。ごっちんの匂い。こんなに、あったかかったなんて
知らなかった。ごっちんの涙はすごく綺麗で、あたしまで泣けてしまった。









132 名前:@@@ 投稿日:2002/04/04(木) 12:26
「カオが・・・こんなんだから」
圭織の涙に、真希はハッとした表情を浮かべた。

「カオリが弱いから、リーダーつとまんなくて、こんなんで倒れちゃって」
真希が、小さく首を振る。

「カオリ、皆のことは大好きなの」
圭織の涙は止まらなかった。

「でも、何かね、何か、ついてけなくて」



133 名前:@@@ 投稿日:2002/04/04(木) 12:30
「いっぱい・・・変わっちゃって・・・」

「明日香とか、、彩っぺとか、、いたときの、、、」

「いたときの頃には、、、、、、、、」





「戻れないんだょね・・・・・・・・・・・・・・・」


134 名前:@@@ 投稿日:2002/04/04(木) 12:39
そのまま圭織は、しくしくと泣き出してしまった。

真希は、黙って圭織を抱いていた。
やがて、圭織の長い髪を撫でながら、言った。

「あたしは、途中っから入ってきたからさ」
「最初の頃の、皆の苦しさとか、嬉しかったこととか、わかれない」

「ほんとは、わかりたい」

すん、すん、と泣きながら、圭織は真希の言葉を聞いていた。

「わかんなくて、つらいと思う」





135 名前:@@@ 投稿日:2002/04/04(木) 12:48
「ごとー、人の相談とかのるの、得意じゃないし」

真希は両手で圭織の顔を包んで、自分の方に向けた。

「・・・・・でも、カオリが一人で悩んでるのはつらいよ・・・」


ごっちんの言葉を聞いてて、何かがカオリの中でふっきれた気がした。
今まで、心の中にたまってた、悲しいこととか、全部、どぉって、
涙といっしょに溢れ出てきた。


136 名前:@@@ 投稿日:2002/04/04(木) 13:25
「つらかったよぉ、モーニング、どんどん変わってっちゃうし、カオリ
ついてけなくて、怖くなって、頭ん中ごっちゃのまんまで仕事は増えて
いくし、一緒にいたメンバーも次々やめてっちゃって、とまどってたのに
リーダーになっちゃうし、すごいプレッシャーで、そんであたし自身も
変わっちゃって、どうしていいのかわかんなくて、もう、もう、」

自分でも、何言ってるかわかんなくなってたけど、
ごっちんは、うんうんって頷きながら、受け止めてくれた。

カオリはそのままうわーって、子供みたいに、ごっちんの胸で泣いた。


137 名前:@@@ 投稿日:2002/04/04(木) 13:33
いっぱい泣いて、その分、すっきりした。心の中でずっともやもやしてた
ものが、消えていく。

考えてみれば、カオリの心の苦しみは、モーニングのメンバーである
皆のおかげでどんどん癒されていってる。カオリは、モーニングのこと
でいろいろ苦しんで、倒れちゃったのに、そのモーニングのみんなに
助けられてる。

もっと早く気づいてれば良かった。カオリ、一人じゃなかったのに。


138 名前:@@@ 投稿日:2002/04/04(木) 13:44
「ありがとね、ごっちん」

圭織がそう言ったのは、二人とも泣きつかれて、ぼんやりとしている
時だった。

「てか、ごとー、何もしてないけどね」
真希がふっと笑って言う。

「ううん、何か、すっごいすっきりした」
「そか」


「カオリ、ごっちん好きだわ」
圭織が言うと、真希はちょっとはにかんで、
「ごとー、カオリ好きだわ」
と言った。




139 名前:@@@ 投稿日:2002/04/04(木) 14:18
----------------------------------------------------------------------
「そんなの、やだっ!!!」
凍りついた空気を、希美の高い声がやぶった。

「いーださんがやめちゃうなんて、ぜっったいにやだぁっ!!!!」
希美の小さなこぶしはぶるぶると震えていて、瞳は涙で潤んでいた。

「うそでしょ?ねえ、うそだよね?」
中澤にすがりつく希美を、ほかのメンバーは呆然と見つめていた。

「決定ってわけじゃないんや」
中澤は、希美の手を取って言った。

「ただ、カオリが復帰したとして、このままモーニングにおることが、ほんとに
カオリにとって一番ええことなんかなって。カオリだけじゃなくて、うちらに
とっても。」

「そんなの、それが一番いいに決まってますよ!」
梨華が言う。
「そうだよ」「そうだよ」
他のメンバーも、次々と言った。

「ほんまにそうか?カオリは、モーニングが原因で倒れたんやで。確かに、今
どんどん回復していっとるとはいえ、モーニングに戻って、また苦しむことに
なるんとちゃうか?」

「そんなことないよ、もうカオリは大丈夫だよ」
真希が言う。



140 名前:@@@ 投稿日:2002/04/04(木) 14:30
「ん・・・・・でもな」
中澤は、しんみりとした表情で言った。
「モーニング娘。が成長するんとともに、カオリも成長したんや。今の
カオリは、モーニングていう鞘ん中に収まっとかんでもええんと違うか。
カオリは、今、そういう転機なんやないか」

「でも、でもいいださんは歌が好きだもん!」
希美は必死だった。

「何も歌をやめるとは言ってないで。モーニングを卒業して、ソロとして、
歌うたったり、絵とか、詩とかやったり。一人の飯田圭織として、カオリ
のペースでやっていくことができるんやで」

「・・・・・・・ゃだあっ、いやだ、いいださんがやめちゃうなんて、
つじが、つじが寂しいんですよぉ・・・・」
「辻」
泣き出した希美を、なつみが引き寄せて、なだめる。



141 名前:@@@ 投稿日:2002/04/04(木) 14:36
「あたしは、この話聞いて、それで、カオリが自分のペースでやってける
ならええと思う。実際そう希望するファンも増えとるんや」


「・・・・それで、カオリは・・・・?」
今まで厳しい表情で黙りこくっていた圭が言った。

「昨日、マネージャーが話しに言った。カオリは、考えさせてください、
て言うたんやって」

「やだ、やだ、いいださん、何で断ってくんないのぉ、いやだぁ・・」

「辻、カオリも、いろいろ考えとるんや。わかってやってくれ」

希美は、ずっと泣いていた。



142 名前:@@@ 投稿日:2002/04/06(土) 18:58
------------------------------------------------------------
家のドアを開ける。真っ暗な部屋。
なつみは、電気もつけずにソファに転がりこんだ。

「カオリ・・・・・・」

今日の中澤の話は、なつみに大きな衝撃を与えた。
今まで一緒にやってきたメンバーが、やめると言う話を聞いたとき、
いつもこんな衝撃に襲われる。

しかし今回のは、本当に、目の前が真っ暗になったような気分だ。

(カオリが、モー娘。をやめるかもしれない・・・)



143 名前:@@@ 投稿日:2002/04/06(土) 19:09
クッションに顔をうずめる。

カオリの顔ってどんなだったっけ。
カオリの声ってどんなだったっけ。
カオリの長い髪・・・・大きな目・・・・
カオリがいなくなるなんて信じられない。

ずっと一緒だった。一番最初のオーディションの時から、ずっと。
いろんな思い出がありすぎる。
あたしのカオリに対する想いは、いろいろとありすぎる。

初めてカオリに出会った時。カオリはすっごい美少女で、スタイルも
良くて、ほっそりしてて。合宿の時、おんなじ北海道出身で、年も
おんなじだったから、すぐに仲良くなった。そう、うちらは誕生日
だって二日違いで、びっくりしたのを覚えてる。

それからはずっと一緒にいた。好き、楽しい、ムカつく、嫌い、
カオリにはいろんな感情を覚えた。



144 名前:@@@ 投稿日:2002/04/06(土) 19:17
弱いカオリ、強いカオリ、たくさん知ってる。
 
あたしは、カオリが卒業するって話、進んで賛成することはできない。
でも。
頭の奥では、それが一番いいことなんだって、思ってるのかも。
カオリにとって、娘。にとって。
今のカオリっていう人間が、今のモーニングの中では表現しきれない
のかもしれない。

カオリは、マネージャーの話を聞いて、何を思っただろう。
今、何考えてるだろう。


145 名前:@@@ 投稿日:2002/04/22(月) 20:35
写真集待ち


146 名前:名無し娘。 投稿日:2002/04/23(火) 16:28
続きは写真集出てからって事ですか?
楽しみにしてます。


147 名前:@@@ 投稿日:2002/04/23(火) 19:45
ぃゃそういうわけでもなんだべけど・・
頭が働かなくて・・
写真集楽しみです。トロトロですみません。ちゃんと更新します。


148 名前:名無し娘。 投稿日:2002/05/03(金) 14:39
写真集、最高に綺麗でしたね。作者様もこれ見てかおりんからパワーもらって頑張ってください。


149 名前:@@@ 投稿日:2002/05/06(月) 16:40
綺麗でした。。。。。。。。感激。。。。。。。
頑張ります。ありがとございます


150 名前:@@@ 投稿日:2002/05/06(月) 17:11
------------------------------------------------------------


きたか。。。。。。とうとう。。。。。

もうすっかり慣れた病室のベッドの上で、圭織はじっと考えていた。
昨日の夜はほとんど眠れなかった。眠れるような気分じゃなかったのだ。

「なんとなく覚悟はしてたけど・・・・・さ」

出された朝食も、胸がいっぱいで食べられなかった。

昨日、マネージャーがやって来た。

マネージャーの話の内容を聞いても、驚くことはなかった。
ただ、薄々思っていたことが、ついにやって来た、という、身を
貫かれるような感覚だった。




151 名前:@@@ 投稿日:2002/05/12(日) 11:39
『飯田もそろそろモーニングの枠から抜けて・・・・・・・・』

『飯田個人でやったら・・・・・・・』
 
マネージャーの言葉が頭の中で、何度も何度もこだまする。

「考えさせてください」
それしか言えなかったあたし。何を考えるって言うの。
わかってる。これはもう既に決定なんだ。あたしはモーニングを
卒業する。卒業しなくちゃいけないんだ。

ねえ。カオリ、もう終わりなのかな。


152 名前:@@@ 投稿日:2002/05/12(日) 12:53

圭織は相当深く考え込んでいて、すぐ側に立っていた人影に、長いこと気づかなかった。

ふと、人の気配を感じて顔をあげると、そこには見慣れた顔があった。
「ふぁ、なっち!」
驚く圭織とは逆に、なつみは怒ったような表情で立ち尽くしていた。

「いつからいたの?声かけてくれたらよかったのに・・・あ、もしかしてかけてくれてた?
ごめんカオリぼーっとしてて・・・・」







「なっち?」


153 名前:名無し娘。 投稿日:2002/05/12(日) 13:14
なつみは少しも動かずに、ただ圭織を見つめていた。
その視線に、何となく察しがついた圭織は、なつみから目をそらして、
言った。

「聞いたんだ。あの・・・・・・そつぎょ、卒業の話・・」
卒業という言葉を口に出すことが、何となくひっかかった。

「聞いたよ」
やっとなつみが口を開いた。
「誰から・・・・・?」
「祐ちゃん」
「みんな、聞いたの?」
「うん」
「そっか・・・・・・・」

目を合わせないままの会話は、どことなく宙をさまよってるかのようだ。

「泣いてたよ」
「え?」
「辻」



「・・・何か言ってた・・?」

「カオリがやめるなんていやだって。寂しいって」




154 名前:@@@ 投稿日:2002/05/12(日) 13:27
辻。カオのことを慕ってくれた辻。ソフトクリームを持ってた辻。
そうか、泣いてたか。辻は、泣き虫なんだから。

「なっち、髪、のびたね」
辻も少しは大きくなっただろうか。みんな今何してんだろ。そういや、
この前会ったごっちんはあんまり変わってなかったなあ。

ああ、カオリはこの長いお休みの間、随分といろんなことに気づいたり、
救われたりしたけど、その間にも、あっちの世界は目まぐるしく動いて
いただろう。時が流れた分、カオリが気づいてなくても、確実に何かが
動いていくんだ。





155 名前:@@@ 投稿日:2002/05/12(日) 13:45
「カオリ、どうするつもりなの?」


--------そして今、なっちがあたしに問う。辻が泣いた。カオリも
泣いたよ。みんなが卒業するとき。

「どうするっ・・・・て、、いきなり言われてもさ」

ゆっくりと、確実に、道が作られている。この道は、あたしが自ら
作っているものではないと思うけど。でも後戻りできないんだ。
この道は、卒業に向かっている道。


156 名前:@@@ 投稿日:2002/05/12(日) 15:32
なつみが、隣に座った。

「カオリはね」
圭織は窓の外に目をやりながら話した。

「カオリは、卒業しなきゃいけないんだろうね・・」
「カオリ・・・・・・・・・」

「こんなに休んじゃって、みんなにいろいろ迷惑かけたし」
「カオリ、それは・・・・」

「どっちにしてもさ、カオリはもう、そういう時期なんだよ」
何だろう、自分の言葉が、自分の心に染み込んでいくようで。妙に切ないな。





157 名前:@@@ 投稿日:2002/05/12(日) 15:47
きっとなつみも同じような気分になっているのだろう。きゅっと唇を
噛み締めている。

圭織の頭の中に、「卒業」していったメンバーの顔が浮かんだ。
「今まで卒業してった皆はさぁ、、それぞれ、自分で何かを決意してさ、
卒業してったんだよね。」

「みんな・・・・なんか自分のそういう時期をさ・・・感じて・・・」

なっちが喋らないから、カオリの一人語りみたいじゃん。
まあ、でも今はそういう気分だし・・。下手な言葉で邪魔されたくない。
なっちはわかってんのかな。さすがなっちだな。


「カオリも、早く、気づいておくべきだったなぁ。こんな風になる前に。」




158 名前:@@@ 投稿日:2002/05/12(日) 15:55
あ、でも、こんな風になって、改めてカオリはみんなに支えられてる
ってことに気づいたんだよね。まあ逆に言うとこんな風になるまで気づかなかった
んだけどさ。いっつも一人で抱えこんで、悩んじゃってさぁ。

「カオリ、皆のこと大好きだよ。ほんとに。だから皆と別れんのは
寂しいけどね、やっぱ、出会いがあれば必ず別れはくるし、始まり
があれば終わりもあるんだよね。そう、今、カオリ、終わらせなきゃ
いけないんだよね」

終わらないものなんて、ない。カオリは今終わりを迎えようとしてる。



159 名前:@@@ 投稿日:2002/05/12(日) 16:10


「終わりなんてないよ」
その声は、小さかったけれど、力強い響きだった。
 
圭織は、ちょっとどきんとして、なつみのほうを振り返った。
なつみの光を持った瞳が、圭織の視界に飛び込んでくる。

「カオリ、終わりじゃない、終わりなんてないの。終わりは始まりなの。」

なつみの瞳から目をそらせなくて、カオリはじっとしていた。

「明日香だって彩っぺだって、さやかだって裕ちゃんだって、何も
終わりを感じて卒業したわけじゃない。終わらせたくて卒業したわけじゃない。
次のスタートを切る決意をして、卒業したんだよ。」

「なっち・・・・・」

「カオリだって、終わりなんかじゃない。今、次のスタートを切るための
転機なんだよ」




160 名前:@@@ 投稿日:2002/05/12(日) 16:21
次のスタートへの、転機。だったら。

「だったら・・・・カオリに次のスタートなんてあるの・・?
カオリに確実な未来なんて無いじゃない」
拳に力が入る。

「確実な未来なんて誰にもないよ。自分で作っていくんだよ」

なっちが、眩しい。

「思い出してよ。うちらが愛の種の手売りしてたときに、確実な未来
なんてなかったよ。でも、頑張ったじゃない」

そう、あの頃は、あの頃は、確かなものなんてなくても、未来を信じ
てた。いや、未来を手に入れるために、がむしゃらに頑張ってた。
ぶつかり合っても、傷ついても、立ち上がって、歩いてきた。



161 名前:@@@ 投稿日:2002/05/12(日) 16:27
あの頃は、今のモーニングみたいな立場に憧れて、眩しくて。
でも今は、あの頃のあたし達が、眩しい。






----------------------どうしてそんなに、あの頃と同じ瞳をしているの?
----------------------カオリもあの頃、そんな瞳をしていたの?

ねえなっち。


162 名前:@@@ 投稿日:2002/05/12(日) 20:46
「カオリとは、最初っからずっと一緒に頑張ってきたよね」

うん。ずっと一緒だったね。カオリにとって、一番近い存在だった。
ライバルで、友達で、家族で。

「カオリは、あたしと出会ったこと、運命だって」
「あたしのこと、かけがえのない人だって」

うん。

「言ってくれたよね?」

なっちは、笑顔で言った。カオリは、なっちのその笑顔が羨ましかった。
愛くるしくって魅力的で、みんながなっちのことをかわいいって言ったね。
カオリは、怖い顔とか、いっつも怒ってるとか言われてたから、なっちが
そう言われるたびに、羨ましくて。なっちはステージの上でも、中心
に立って歌ってたね。カオリは、羨ましくて。悔しくて。


163 名前:@@@ 投稿日:2002/05/12(日) 20:51
喧嘩もいっぱいあった。ぎくしゃくしてた時もあった。
だけど。

かけがえのない人だ。苦しいときも嬉しいときも、一緒だった人だ。
運命の人だ。それは信じてる。

「いろんなことが、変わっていくけどね」

うん。

「変わらないものもあるんだよ」

・・・・・・・・

「なっちにとっても、カオリはかけがえの無い存在だよ。なっちは
カオリをいつまでも大切に思ってる。それはずっと変わらないよ」

・・・・・・・・

「ずーっと、ずーっとだよぉ」

・・・・・・・・


164 名前:@@@ 投稿日:2002/05/12(日) 20:55
圭織は俯いた。




___________神様。信じてもいいですか。

終わらないものがあると。永遠があると。

未来があると。光があると。

信じてもいいですか。あの頃のように。

かみさま。


165 名前:@@@ 投稿日:2002/05/13(月) 19:25
-----------------------------------------------------------
病室から出たとたん、なつみはその場に崩れた。
ぽたっ、ぽたっ、と、瞳から落ちる雫が廊下を濡らす。

出会った頃からの圭織の姿が走馬灯のように駆け巡っていく。

とうとう、この時がきたんだね。
今までいろんなことがあったね。
えらそうなこと言ってごめんね。あんなこと言えるほど、ほんとは
なっちは強くない。今だってほら、こんなに、涙が。

カオリは言ったんだ。昔と変わらない笑顔で。


『次のスタートを切ることにするよ』


166 名前:@@@ 投稿日:2002/05/13(月) 19:28
頑張れカオリ。はばたいてけ。なっちはもう少し、ここで頑張ってみるよ。



167 名前:名無し娘。 投稿日:2002/05/14(火) 10:58
おわっ…ちゃうの?
飯田も安倍も頑張れ、そんで作者さんも頑張れっ。


168 名前:@@@ 投稿日:2002/05/14(火) 20:11
>名無し娘。さん
何だかクライマックスもなにもない話ですが・・・。
そろそろ、終わりに近づいてます。
応援してくれてほんとにありがとうございます。
皆さんの応援レスが無かったらほんと放置になってたと思う。。



169 名前:名無し娘。 投稿日:2002/05/14(火) 23:13
初カキコします。読んでますよ。頑張ってください。


170 名前:名無し娘。 投稿日:2002/05/17(金) 17:36
大量更新に乗り遅れてしまった----!
ほんとイイです。
みんなに明るい未来をお願いします!!


171 名前:@@@ 投稿日:2002/05/17(金) 20:03
なんか妙なペースで進んでってしまって・・。
自分でも読み返してみてわけわからんくなってるんですが。
もうすぐ、ラストなんで、最後まで頑張りますね。
ほんとにありがとうございます


172 名前:@@@ 投稿日:2002/05/19(日) 19:35
目が覚めると、空気が湿っぽい。ざぁざぁと雨の降る音がしていた。

雨か・・・・・。

あたしは、雨の日が嫌い。心の中まで暗くさせてしまうから。


不安定な精神状態、それからくる体の不調もやっと落ち着き、
あたしは今日、この病院を退院する。ほんとはもっと早く退院できても
良かったんじゃないかと思うんだけど、こんなに長く病院に入れられて
いたのは、そっちのほうが都合が良かったからかも知れないな。

圭織はふっと笑って、鏡に映る自分を覗いた。

顔色、だいぶよくなった。吐いたり、発作に襲われたりしたせいで、
ちょっと痩せちゃったけど。髪の毛がのびて、染める前の黒い髪に
戻ってきている。今日、美容院行って、髪の毛ちゃんとしてこないと。
だって明日、久しぶりにテレビに出るんだから。



173 名前:@@@ 投稿日:2002/05/19(日) 19:46
そう、明日は、あたしの復帰会見。
そしてあたしの、卒業会見。

ラストコンサートはやらない。体力的にも、都合的にも、無理があるしね。
だから、明日が、あたしのモーニング娘。としての最後の仕事。
・・こんな形で卒業することになって、ファンの人にも、メンバーにも、
皆に悪いと思ってる。あたしの卒業が決定してから、メンバーの皆に
まだ会ってないし。ああ、皆ごめんね。

マネージャーが迎えに来る。荷物をまとめておかなくちゃ。




174 名前:@@@ 投稿日:2002/05/19(日) 19:56
昼近くなって、圭織が身支度を整え荷物もすべてまとめてしまうと、
ドアをノックする音が聞こえた。

マネージャーが迎えに来たんだ。

「どうぞ」
圭織が言っても、ドアが開く気配がない。


不思議に思って、圭織がドアに近づいていくと、ドアが急にかちゃりと
開いた。


「いいださん・・・・・・・・・・・・・・!!!!」

ドアの外から、急に抱きつかれた。
懐かしいその感覚に、思わず涙がこみあげてきそうになった。

「つじ・・・・・・・・・・・」

病室に飛び込んできた辻希美は、圭織の身体をしっかりと抱きしめ、
顔を押し付けて泣いていた。



175 名前:@@@ 投稿日:2002/05/19(日) 20:07
「いいださん、いいださん、いいださん、、、」

「辻、来てくれたんだ。ありがとうね」
少し大きくなった希美の頭を撫でながら、ドアのほうを見やる。

「みんな・・・・・・!」
そこには、メンバーの皆が揃って立っていた。

「カオリ」
「飯田さん」
「カオリ」

みんな、涙を流していた。哀しい顔、やさしい顔、温かな顔をして、
それぞれが圭織を取り囲んだ。

「みんな・・・・・裕ちゃんも・・・・・来てくれたんだ・・・・・」

久しぶりの皆の顔。やっぱりみんな、髪が伸びたり、髪の色が変わったり、
変わっている。でも、圭織を見つめる瞳は、変わっていなかった。

「カオリぃ」
矢口が、涙でくしゃくしゃの顔をして抱きついてくる。
そしたらみんな次々にカオリに抱きついてきた。

皆の温かい体温が、圭織に伝わってくる。

ああ、あたしの仲間。



176 名前:@@@ 投稿日:2002/05/19(日) 20:21
圭織はみんなを抱き返したあと、ちょっと離れて、みんなに向き合った。

「みんな、こんな風に卒業することになってごめんね。えっと、いっぱい
迷惑かけてごめんなさい。最後まで頼りないリーダーで、ごめんね。」

「もう、ごめんねなんて言わないでよぉ・・・っ」
圭織の言葉に、真里が首を振りながら言った。

「わた、私たちだってもっと、飯田さんの助けに、なってあげられてれば・・」

「石川・・・。」

「加護だって、飯田さんにいっぱい迷惑かけてごめんなさい」

そうやって石川や加護が泣くから、みんなが口々に「ごめん」「ごめん」
と言って泣いてしまった。




177 名前:名無し娘。 投稿日:2002/05/21(火) 15:07
ひょんなことからここを見つけました とてもよいです(少し泣きました)
作者様 頑張ってください 最後まで読みます 


178 名前:@@@ 投稿日:2002/05/21(火) 19:54
ひょんなことから見つけてもらって嬉しいです

ご期待に添えるかどうかわかりませんが良かったら付き合ってやって
ください(^^)


179 名前:@@@ 投稿日:2002/05/21(火) 20:08
この涙は、みんながあたしのために流してくれてる涙で。
なんてあったかいんだろう。この温かさに、もっと早く気づいてれば
良かった。あんな風に、一人で思いつめる前に。

ぐっときてしまって、思わずよろけそうになったあたしを、圭ちゃんが
優しく抱きとめてくれた。

あたしはそのまま、圭ちゃんに身体を預けた。
周りには、まだみんながまとわっていて。

あたしはこうやって皆に支えられていたんだ。




180 名前:@@@ 投稿日:2002/05/21(火) 20:23
「ぁのね・・・・・・」

圭織は、圭の肩に顔をうずめたまま、小さな声で言った。

「カオリ、弱いんだ、すごく」


「でも、それ、認めないように、頑張ろう頑張ろうってしてた」
圭が、ぽんぽんと圭織の頭を撫でる。
真希は涙が零れないように上を向いて、圭織の言葉を聞いていた。

「だけどさあ、違うんだよね、、弱い分、皆で支えあっていけば
いいんだよね、何も、一人だけで、頑張ってくこと、ないんだよね。
そのこと、カオリ、ちゃんとわかってなかったのかも。」

圭織は、顔を上げて、へへっと笑って言った。
「今更気づくのも、おかしいんだけどさっ」
その顔は、涙で濡れていた。






181 名前:@@@ 投稿日:2002/05/21(火) 20:34
その顔を見て、皆、笑ったり、泣いたり。

「いや、みんな全体の問題やなあ。そういう、皆で支えあっていける
環境を作れなかったんやからなあ」

ちょっと後ろで、みんなを包み込むようにして立っていた中澤が言った。

「でも、これからは、ね」
ひとみが言うと、みんながこくんと頷いた。



「・・・・・・・・・・・・・・・みんなで、ささえあっていけるようにしますから、
だから、だから、・・・・・安心してください、いいださん」

ずっとカオリに抱きついて泣いていた辻が、やっぱり泣きながらそう
言ったとき、カオリは思わず辻をぎゅっと抱きしめていた。

「あんたがそういう風に言えるなんて、成長したなぁ辻ぃ」
カオリが泣き笑いの顔で何度も辻を抱きしめると、辻は声をあげて
泣き出してしまった。頑張れ辻。あたしはあんたをずっと見守ってる。
だから。

「カオリも、頑張る。だからみんな、見てて」





182 名前:@@@ 投稿日:2002/05/21(火) 20:43
カオリは、これから、新しい世界に向かって歩き出すことにしました。
そこには何が待ち受けているかわからないけれど、頑張るから、見ていて
ください。カオリを、愛していてください。それだけでカオリは、きっと
強くなれるんだ。

圭織の瞳は、まっすぐな光を燈していた。どれくらいぶりかわからない、
まっすぐな、まっすぐな光を。



183 名前:@@@ 投稿日:2002/05/21(火) 20:57
そんな圭織の瞳を、みんな見とれるように見ていた。

「何か歌おうか、カオ」
いつも盛り上げ役の真里。

「卒業式みたいだなあ」
「卒業式、だよ」

「何歌う?」





「・・・・・・・・愛の種、歌おうかカオ」
なつみが、圭織の目の前に立って言った。
それを聞いて、真里もみんなも黙ってしまった。

「愛の種・・・・・歌おうよ」





184 名前:@@@ 投稿日:2002/05/21(火) 21:03
中澤が、なつみと圭織の手を引いた。
みんな、周りを取り囲んだ。

「歌お、カオ・・・うちらの、歌だよ」
----愛の種。あたしたちの、スタート地点。あんまりに、思い出が
つまりすぎている歌。

「いいださん、つじも、歌いたいです」

涙が、笑顔が、計り知れないほどの思い出がつまった歌。

「・・・ごめん、辻。この歌は、特別なんだ」
圭織の言葉に、希美はちょっと寂しそうな顔をして、頷いた。

大切な歌なの。この歌があるから、今のカオリがいるの。
あたしたちがいるの。モーニング娘。が。



185 名前:名無し娘。 投稿日:2002/05/22(水) 09:26
更新お疲れ様です。ずっと読ませていただいていました。
毎回、つい涙目になっちゃいます。
いよいよラストに進んでいくのですね。終わってしまうのは寂しいですが、
飯田さんや仲間たちにとって希望に満ちた幸せなラストであれば納得です。
ラストまで頑張ってください。


186 名前:@@@ 投稿日:2002/05/22(水) 17:47
感謝です。。。。。。。。


187 名前:@@@ 投稿日:2002/05/22(水) 17:56

  「さぁ出かけよう」

圭織となつみの手をぎゅっと握って、中澤が歌いかけた。

  「きっと届くから」

そしてなつみも。


     「・・・髪を切って、夢をみがく」

圭織も、口を開いた。

     『好きな空を目指すために』

3人の姿を、皆、取り囲むようにして見ていた。真里が、圭に寄りかかって
泣いている。圭の瞳からも、涙が次々と溢れていて。本当は、この3人の
輪に入りたい。でも、この歌は、3人と、ここにはいない二人の歌。その
5人の結晶なのだ。




188 名前:@@@ 投稿日:2002/05/22(水) 18:00
    ねえ風にのり  もっと輝いて
    愛の種をまきちらしたい

    いつのまに  涙はかわいた
    何かを残して

    何度でも笑顔になれるよ
    地球が 回るから

    予感を超え
    始まるから
    新しい季節は
    少しいぢわる

    指先に  思い出をつめて
    マニキュア塗るから


189 名前:@@@ 投稿日:2002/05/22(水) 18:06

    ほら 気づいてよ
    うんと 光る街
    靴を選び かけ出したら
    不安はもう、解けてるから

    もし迷っても そう進もうよ
    自分の道 さぐりだすから

・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・
    


190 名前:@@@ 投稿日:2002/05/22(水) 18:34
「こわれそうな」
「瞳の中」
「ふるわせてた想い」

・・・・・・・・・・
なつみと中澤の声だけが、響いていた。
外に降る雨は、やわらかな音を立てていた。

圭織はうずくまって肩を震わせていた。


---------今日がお天気じゃなくって良かったと思うんだ。
今だって、こんなに胸がいっぱいで、立ってもいられないくらいだから。
青空の下でこの歌をうたうなんて、あんまりにも。

この歌を、5万人の人に手売りできたら、モーニング娘。になれて。
あたしたちは、夢を手にするために、がんばって、がんばって。
そしてやっと、あたしたちのデビューが決定した時、青い青い空の
下で、あたしたちのために来てくれたみんなの前で、この歌を歌ったん
だよ。


嬉しかったよね。
あんなに最高だったことないよね。


どうしてこんなに、あのときの青空が、胸に広がってくるの。
あのときのお客さんの姿が浮かんでくるの。

なっちと、祐ちゃんと、明日香と、彩っぺと、カオリで、みんなで
歌った、あの日のことが、鮮やかにカオリを満たしていくの。



191 名前:@@@ 投稿日:2002/05/22(水) 18:42
あのとき、あの青空の下で、これからずっと5人で道を切り開いて
行くんだって、期待と不安と喜びでいっぱいになってたんだ。

ねえ、あの5人が、こぉんなおっきなグループになっちゃうなんて、
あの時誰が想像できた?
どんな風になっても、どんなに時が経っても、これが、あたしたちの。


「これがあたしたちの原点だからね」
なつみが、みんなのほうをまっすぐ見て言った。
みんな、大きく頷いた。

なっちの言葉が嬉しくて、カオリもみんなのほうを見て、頷いた。

 




192 名前:@@@ 投稿日:2002/05/22(水) 18:47
「ほらカオリ」
「うん・・」

  さあ出かけよう きっと届くから
  髪を切って、夢をみがく 好きな空を、めざすために


ありがとうみんな。今までいっぱい愛してくれてありがとう。
両手に抱えきれないくらい、いっぱい、いっぱいの思い出をありがとう。
愛してるよ。みんなみんな、愛してるよ。

-------------さあ、出かけよう。


193 名前:@@@ 投稿日:2002/05/22(水) 18:56

 あのあと、みんなでたくさんたくさん歌をうたって、圭織の卒業式
は終わった。

 次の日、ひさびさのカメラの前で、圭織は堂々とした姿で卒業会見を
した。やっぱりその会見で、みんな涙してしまったけれど、圭織にも、
みんなにも、輝きがあった。その輝きは、周りにも伝わったらしく、
新聞でもニュースでも大きく取り上げられていた。
圭織は、モーニング娘。としての最後の仕事を、見事にこなしたの
だった。
 


194 名前:@@@ 投稿日:2002/05/22(水) 19:26
------------------------------------------------------------
圭織が卒業してから、一ヶ月が経った。
この一ヶ月、これからの圭織の活動の方針を決めていくためと、ソロ
活動するための充電期間として、圭織は表に出ていない。


「そろそろ出番だよ、行かなくちゃ」
皆が次々と楽屋を出て行く中、机の上に置かれた携帯の着信音が鳴り、
一人、踏みとどまった。

 『Eメール受信あり』
---カオリのソロのデビュー曲発売が決定しました。
  明日から、本格的な活動開始!

「カオリ・・・・・・」
頑張っているカオリの姿が目に浮かぶようだ。口元がほころぶ。

「あたしも頑張らなきゃ、な」



行かなくちゃ。仲間が待っている。

「なっちぃ!早く!」
「はーい」

仲間がいれば、永遠に光を見つづけることができる。どんな道を歩んで
行っても、旅立って行っても、あなたが仲間で居続けることには
変わりないよ。あなたを見てる。あたしを見ていてね。

ずっと、終わりない光を目指していけるように。




                           終わり


195 名前:@@@ 投稿日:2002/05/22(水) 19:27
-------------------------


196 名前:@@@ 投稿日:2002/05/22(水) 19:37
ええと、これで、「りーだー」は終わりです。
この話を書き始めたのは、何となく弱った飯田さんが書いてみたく
なったからなので、先のことも何も考えていなくて、正直ちゃんと
終わらせられるとも思っていませんでした。だからあんま人気のない
板にコソコソ書こうと思ったわけで。

でもこんなめちゃくちゃな話に応援レスを下さったり、読んでくださったり
する人がいてくれたおかげで、なんとか最後までたどりつきました。

先に言った通り書き始めた当初「先のことは何も考えてなかった」ので、
かなり苦戦しながら書き進めていって、見苦しいところばかりですが、
それにおつきあいしていただいて本当に感謝してますです。

ラストも皆さんのご期待にそえるようなものに上がらなかったし、
自分の力の無さにため息です。本当に、読者さんには感謝しています。
長いことありがとうございました。





197 名前:177 投稿日:2002/05/22(水) 22:36
完結おめでとうございます 足かけ7ヶ月間お疲れ様でした
一言、よかったです!
偶然にもこの小説に出会えたこと、感謝しています




198 名前:名無し娘。 投稿日:2002/05/23(木) 13:00
おめでとうございます。
どうやって、ここを見つけたのか忘れちゃったけど、
ホント感動させてもらいました。いい小説でした。

また、始めるときはここで知らせて頂けるとうれしいです。


199 名前:@@@ 投稿日:2002/05/23(木) 19:15
ありがとうございます。。。
自分もどうやってこの板を見つけたのか忘れましたが(爆)
偶然にもこの板を見つけて書き始め、偶然に見つけてくれた方に読んでいただけて、
その偶然に感謝。 

また、どこかで小説を書くかもしれません。その時は今よりかは上手くなってたら
いいなと思います。その時はここでお知らせしますね。てか多分ここで書きそうですね


200 名前:名無し娘。 投稿日:2002/06/01(土) 11:46
今更ですが、御脱稿おめでとうございました。
紹介系のスレで知ったとき以来、
毎回胃の痛くなるおもいがありつつ、
更新を楽しませていただきました。
次作も期待(プレッシャーにならない程度に)してますので、
どうぞ思案をめぐらせてください。


201 名前:中澤 投稿日:2002/06/02(日) 01:22
念のため言うとくけど
うちの名前は裕子やでぇ。


202 名前:@@@ 投稿日:2002/06/02(日) 08:19
久々に来て見ればレスが増えている(嬉)

>200
胃の痛くなるようなところは自分が完全に自分の世界に入って酔ってた
とこですね(笑)次はまたいつか書くと思います。何にも考えてないですが
ふといきなり書きたい衝動にかられて書くかも知れないです。
あ、カップリング小説とかでもいいなぁ。。。。。。

>201
う、うんごめんね・・・わかってるんだけどいっぺん間違って苗字で
表記しちゃったからそのままつらつらとさぁ・・。ほんとは皆名前で
統一しようと思ってたんだけどさぁ・・・。ごっごめんねほんと・・



203 名前:n 投稿日:2002/06/05(水) 18:29
aa


204 名前:名無し娘。 投稿日:2002/06/21(金) 18:03
そろそろ、新作の構想はできましたでしょうか?
と言ってみたりして・・


名前: E-mail(省略可)

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