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りーだー

1 名前:@@@ 投稿日:2001/10/20(土) 20:21
真っ白い病室。真っ白なベッドに、透き通るような白い顔があった。
長い髪が陽にあたってきらきらと輝いていた。しかし、目を閉じたその
顔には生気が感じられなかった。「飯田圭織」−−−ベッドのそばにかけ
られた名札の名前が、何だかとてつもなく異様な物に思えた。

______「圭織が倒れた?」メンバーが知らせを聞いたのは、二日
前。テレビ収録もプロモ撮影も、スケジュールがおした中での知らせ。
「過労だと思うんですが、、少し様子を見なくちゃいけないんで、飯田は
しばらく休みます。」マネージャーが言う。

知らせを聞いたなつみに一瞬こみあげた感情は、ちょっとした怒りだった。
(こんなに忙しいのに。1人でも抜けるといろいろスケジュール変わって
大変なんだから・・・)
 それは他のメンバーも同じだったかも知れない。正直、圭織が倒れるなんて
珍しいことではなかったのだ。少し体が弱いらしく、忙しい毎日が続くとよく
ふらっと倒れることがあった。また、いつものそれだろうと思っていた。

そのあと、なつみと圭はマネージャーに呼び出された。
「え・・・・?」
マネージャーが言うことが理解できず、二人は動揺した。
「圭織が、精神病ってことですか?」
圭がいう。その直接的な言葉にマネージャーは困惑の表情を見せた。
「精神病・・ってワケじゃないけど、ちょっとここんとこいそがしすぎるし、
新メンも増えて飯田けっこうしんどい時だから、疲れちゃったんだよ。
少し、まともじゃなくなってるんだけど・・すぐ元に戻るから。大丈夫
。だから、年長組、ちょっと飯田の分も頑張って。」

(まともじゃないってどういうこと?圭織はどうなったの?)
やっと、圭織がいつもの倒れかたではないということに気づいたなつみ
は、さきほどよぎった怒りを忘れて、不安、そして心配が心にめぐっていた。
 
「ねえ圭ちゃん、かおり、どうしちゃったんだろうね?」なつみは隣で
険しい表情をしている圭に聞く。
 「さあ・・ちょっとわかんないけど・・でもかおり、最近ほんといろいろ
疲れてたみたいだから・・・。」
いろいろ疲れてた。そうなのだ。中澤がいなくなり、新リーダーに就任してから
の圭織は、妙に頑張りすぎているようだった。リーダーということを意識してか、はしゃぎ
まわることもなくなったし、口数も減った。頑張って頑張って、頑張りすぎて、
息づまっているようにも見えた。『苦しい・・』どことなくそんな叫びが聞こえて
きそうな圭織だったが、年長メンバーとして自分達も大変だったから、助けてやることも
できなかった。重苦しい空気がまわりをとりめく。

「今度休みがあるときに、圭織の様子みにいこ。どうなってんのか見てみないと
わかんないって」そんな空気をとりはらうかの様に、少し明るい声で圭が言った。




2 名前:@@@ 投稿日:2001/10/20(土) 21:04
眠っている圭織は、息をしていないようにも思えた。メンバーは、そんな
圭織をみて言葉もなく立ちつくしていた。ふ、と圭織が目をさます。メンバーと
一緒に圭織の見舞いにやってきた中澤が、率先して声をかける。
「かおり、どしたんや、心配したで」
優しい笑顔で、ごく自然にベッドの隣にあるいすに腰掛ける。
「起きれるか、ん?」中澤が目を開けたままじっとしている圭織の
顔をのぞきこむ。圭織の瞳に、一瞬おびえたような感じになった。
上半身をおどおどと起こし、ふとんを引き寄せながら、ずる、と体
をのけぞらせる。おびえている。圭織の様子が明らかにいつもと違った。


3 名前:@@@ 投稿日:2001/10/21(日) 11:00
「かおり?」
体をぎゅっと縮こまらせ、引き寄せたふとんをにぎりしめる圭織。
見舞いに来ていた9人の視線を浴びて、どうしようもなく、微かに
震えている。

「かおり?大丈夫か?」中澤がたちあがり、圭織の頬に手をあてて
顔を近づけた。

「・・ぁ・・・っ」圭織が小さな声をあげ、縮こまった体がびくっと動いた。
中澤は、ベッドに腰をおろし、圭織の肩を抱きかかえるように、身を
引き寄せる。
「どした、かおり。」中澤に抱き寄せられた圭織の肩が、ふるふると震えて
いる。ふとんの端を口元によせ、おびえきったような表情の圭織は、
何だか子供のようだった。

つっ立っていた圭、なつみ、真里は我に帰り、次々と圭織に近づく。
そんな仲間を、梨華やひとみ、亜依、希美、そして真希は
不安そうにみつめている。

「かおりー大丈夫ー?」
「どうしちゃったんさかおりぃ」
「かお、心配したよぉ」
圭達に声をかけられて、いっそう圭織の表情がこわばる。
今すぐにでもここから逃げ出しそうだ。しかし中澤に抱きかかえられて
いるため、それもままならない。

「いいらさぁん」様子をうかがっていた他のメンバーも、ゆっくり
圭織に近づいていく。
 メンバーに取り囲まれた圭織は、少し潤んだような大きな瞳で、
メンバーの顔を見上げる。

「ちょっと、何が恐いのよ、かおり?」
圭が圭織に顔を近づける。
圭織は、たまらなくなったように、目をぎゅっと閉じた。

「ん・・・ぁあああっ・・」
子供のような声をあげた。
「かお??」
「やあぁああああ」
圭織の目から、涙が溢れた。



4 名前:たぬき 投稿日:2001/10/30(火) 23:59
続きが読みたい。。。


5 名前:名無し娘。 投稿日:2001/11/01(木) 01:48
>>4
禿同。気になる・・。


6 名前:スパム投稿削除 投稿日:スパム投稿削除
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7 名前:@@@ 投稿日:2001/11/11(日) 20:30
カオリの涙。それは既に見慣れたものではあった。
しかしこの泣き方は尋常じゃない。まるで子供の泣き方だった。
泣きじゃくる圭織を見て、メンバーは皆呆然としてしまった。

中澤はそんな圭織をぎゅっと力を込めて抱きしめた。
中澤もどうしたらいいのか全くわからなかったが、そうすることで
圭織をどうにか落ち着かせようとしたのだ。

圭織が中澤をふりほどこうと身をよじる。
おろおろとしていた梨華が、言う。
「せんせい、先生呼んできます・・」


8 名前:@@@ 投稿日:2001/11/11(日) 20:51
-------モーニング娘。が苦しみの種。モーニング娘。が一番の理解者--------
梨華が病室を出てしばらくして、女性の医師が看護婦を連れてやってきた。
看護婦が圭織をなだめ、メンバーは医師に連れられて、圭織の居る病室を去った。

「ストレスですよ。ストレス。元からちょっと神経質な部分のある方なんでしょうね、
仕事でたまるいろんなストレスが自分をおいつめておいつめて・・崩壊したわけですよ」

医師は、メンバーを別室に連れて、淡々とした口調で話した。
「・・・は?」真希が表情をしかめて言う。

「お仕事、大変なんでしょう?リーダーという立場柄もあって、いろんなストレスがたまる
たまりますよね。精神的に追い込まれてたんでしょうね。今のまま生活していく力が
なくなって、ぷっつりと・・きたわけですよ。








9 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2001/11/12(月) 03:38
名作ハケーン!


10 名前:名無し娘。 投稿日:2001/11/13(火) 04:40
こんな辺ぴな板(w にこんな名作が・・・期待してます。


11 名前:スパム投稿削除 投稿日:スパム投稿削除
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12 名前:@@@ 投稿日:2001/11/17(土) 19:14
話の途中がなくなってる・・・書き直すべき?


13 名前:@@@ 投稿日:2001/11/17(土) 19:18
あ、気のせい


14 名前:@@@ 投稿日:2001/11/17(土) 19:46
張り詰めた空気が流れた。「あの・・・」中澤が口を開く。
「あの、あんな、カオリがあんな子どもみたいになっとるんは、、ストレス
・・で心が変になってしもたから、なんですか」

動揺が表れる。

「いいらさんが、わたしたちのこと見てこわがってたのも、すとれす
があるからなんれすか」
医師の話が理解できたのだろうか、希美がおそるおそるたずねた。

「そう・・そう、ですね、あの方のストレスの原因は、やはり
お仕事、つまりモーニング娘。なんですね。だから、そのモーニング娘。
である皆さんを見ると・・ストレスに直面するわけですから、あんな風に
なっちゃうんだと思います」

「私たちがカオリのストレスの原因だっていうんですか?」
真希が少し荒い口調で言った。

医師は、少しも態度を変えずに話を続ける。
「でもね、モーニング娘。は飯田さんのストレスの原因であると同時に、
飯田さんの一番の理解者だと思いますよ」

神妙な、真剣な表情で、医師の話を聞くメンバーたち。

「だっていつも側でお仕事してきたんだから。お仕事の苦しみをわかって
あげられるのは、モーニング娘。であるあなた方なんですよ。わかりますよね?」

(私たちが苦しみの原因、私たちが一番の理解者・・・・)



15 名前:@@@ 投稿日:2001/11/17(土) 20:45
その日は、それで病院をあとにした。
病院を出る直前に、なつみはもう一度圭織の病室をのぞいた。
圭織は、さっき部屋を訪れたときと同じように、静かに眠っていた。

こっそりと、圭織のベッドに近づく。
頬のあたりに、先ほど流した涙のあとが残っている。

何だか胸が痛かった。痛い、というよりも、ずっしりと重かった。
いきなりのことで、ショックで。
(これからどうなるんだろう?モーニング娘。はどうなるの?)

不安が、動揺が、なつみの心にのしかかる。
(ううん、娘。じゃなくて、今はカオリを心配しなきゃいけないの、
カオリが大変なんだから・・・・)

曇った表情で、圭織の長い髪を、そっとなでた。
柔らかな、なめらかな感触が、肌に残った。



16 名前:@@@ 投稿日:2001/11/17(土) 21:27
圭織のいないモーニング娘。では、サブリーダーの圭が臨時リーダーとされた。
ライブやテレビ収録の圭織の分を他メンが埋め、スケジュールの調整がされて、
何となく活動が続けられた。なんとなく。

これだけ人数がいる中の、一人が抜けたぐらいどうってことはない----
何だかそんな感じのする活動だった。



17 名前:@@@ 投稿日:2001/11/20(火) 19:34
圭織のいない楽屋。じゃれあったり、メイクしたり、お菓子を食べたり、
それぞれ好きずきなことをしているメンバーを、なつみはぼうっと眺めていた。

圭織はいつも、この楽屋で何をしていただろう?
そう--一人でゆったりと椅子に座って、雑誌を読んでいたり、
みんなと何気ない話をしたり、メンバーにお説教したりもしてたな。
全員で腕相撲大会なんてしたとき、圭織はいつも一歩引いた感じで、
はしゃぎすぎることなく楽しんでたな。

圭織は昔はもっと・・強かったよな。いや、なんていうか、その、
キャラが・・。自己主張がすごかったし、変なところで燃えやすい
質だからちょっとしたことで火がついて止まらなかったりしてさ。
そのせいで、テレビなんかでいっつもカオリは注目されてて。
いじられまくってたよなあ。ちょっと羨ましいってか、憎らしいなんて
思っちゃったよ。

でも、強い反面、物事に敏感で弱々しいところがあるんだよね。意地っ張りだから、
その弱い部分があんまり表にでない奴だったけど・・。どっかいじらしくて、
ほっとけない、カオリってそんな感じだった。

ああ、懐かしいなあ。うん、あの頃はさ。福ちゃんもいたし、彩っぺも
いたし。最初の頃は、今みたいに曲出したらすぐ一位、なんてもんじゃ
なかったよね。いろんなイベントとかやってさ、今の娘。じゃ絶対ないような
映画出たり、写真集出したりしてたよね。みんながみんな、同じように
悩んだり、おなじことで笑ったり、毎日が必死だった。

変わったよね、娘。は。デビュー当時からは予想もつかないわ。
よくここまできたもんだ。
仕事なんて腐るほどあるし、曲も昔とは全く
違ったをガンガン出してイメージの曲、売れまくってるし。年少の
かわいいメンバーもざくざく入って。そして、福ちゃんも、彩っぺも、
さやかも裕ちゃんも、いなくなった。気づいたら、元メンなんてもう
あたしとカオリだけだよお?あの、愛の種を売ってた時のうちらのこと、
知ってる人たちってどれだけいるの?

うちらは、娘。としてずっと成長してきたよね。娘。の成長とともに、
うちらも変わったんだよね。カオリ。変わったよね。いつからかすっかり
おとなしくなって。大人になった。おちついた雰囲気にじみでててさ。
儚い儚い印象、なんか、最近のカオリ見て、受けた。






18 名前:@@@ 投稿日:2001/11/21(水) 21:25
何だか考え出すと止まらなかった。

カオリ、つらかった?しんどかったの?カオリ・・・・。

「安倍さぁんっ」
亜依が、急に抱きついてきた。びっくり。
「加護ぉ・・・・」

なつみに甘えている亜依を、希美はじっと見つめていた。
その視線に気づくなつみ。
「何?辻、どしたの?」
「・・・・・・・・いいらさんは・・」
「え?」

「いいらさんはいつ治るんれしょぉね・・」
希美は、独り言のようにぼそっと呟いて、なつみの返事を聞くまでもなく、
くるりと身体をそむけてソファに座った。

「辻・・・・・・」
(寂しいのかな。辻は何かっていうとカオリのところに行って甘えてたから。
カオリ辻のことかわいがってしな。)

顔をうつむけて、むっつりと黙っている辻。そんな辻を見ると、抱きしめて
あげたくなる。

甘える人がいないとね。守ってくれる人がいないとね。寂しいんだよね、辻。

-----------カオリには。カオリは、甘えられる人、いたかな。
リーダーになって、メンバーの面倒をみることにいっぱいいっぱいで、
自分の心を人にあずけて、甘えるなんてこと、カオリ自身が許さなかったんじゃ
ないだろうか。

もっと甘えてくれてよかったのに。本当は人一倍寂しがりやなんだから。




19 名前:名無し娘。 投稿日:2001/11/22(木) 00:26
飯田さんが主役の話なんて久しぶりだ(w
期待、してます。


20 名前:@@@ 投稿日:2001/11/22(木) 19:00
「今日は落ち着いてますよ。この前みたいに大人数じゃないから、大丈夫だと
思います。なんかあったら呼んでください。あんまり刺激しないようにお願いします」

看護婦に言われて、中澤は圭織の病室へと向かった。
今日は一人だけでの見舞い。

圭織の病室に入る。圭織は、前と同じように眠っていた。
圭織の眠るベッドに近づき、眠っている圭織の顔を見つめる。
だいぶ顔色がいい。ちゃんと眠っているのだろう、クマ体質の圭織だが、
その寝顔にクマはみられなかった。

すぅすぅと寝息をたてて眠っている圭織。なんだかかわいくて、額のあたりを
そっとなでる。

「んふ・・・・・」小さな声が漏れた。
(やばい。起きたらあかんで・・・・)
目を覚ましたら、前のように自分を見てパニックに陥るかもしれない。
あんな圭織を見るのはごめんだった。

中澤の思いに反して、圭織は目を覚ました。
とまどう中澤。しばらくぼんやりとしていた圭織だったが、中澤を目に留めると、
むくりと起きあがった。

以前のように、おびえた気配はない。中澤をみて、安心したようにふっと笑った。
(良かった。大丈夫みたいや。)
中澤はほっとして、圭織にほほえみかけた。

「カオリ、調子どうや?だいぶええ感じやな」
圭織の返事はなかった。きょんとした顔で、中澤を見上げる圭織。
大きな瞳でじっと見つめるその表情は、やはりどこか幼い子供のようだ。

中澤は優しい笑顔で、圭織のベッドに腰を下ろす。
圭織は別に怖がりもせず、中澤の側に身を寄せた。

「気分ええみたいやな・・その調子ではよ元気になってや」
圭織の髪をかきわけ、長い髪をなでてやる。
圭織は気持ちよさそうにふにっと笑い、中澤の手に頬をすり寄せた。



21 名前:@@@ 投稿日:2001/11/22(木) 19:12
「うちが、わかるか?カオリ・・・」

自分が脱退してから新リーダーとなった圭織。
リーダーとして、抱えきれない悩みを、中澤にうち明けることがよくあった。
涙声で、「裕ちゃん、カオリ、もうだめだよぉ・・・」と自分に助けを求めて
いた。

元リーダーの自分は、どれだけ圭織の助けになれただろう?何度も自分を頼りに
してきた圭織。今こんな風に落ち着いて、甘えてくるのも、自分が頼りにしていた
存在だとわかっているからかも知れない。

新リーダーになって、弱気になる圭織を、きつい言葉で叱ったり、つきはなしたりした
こともあったが、今は、甘えさせてやろう。休むことが圭織には必要なのだ。
心から。

中澤は、圭織を抱き寄せて、小さな子供にするそれのように、白い額にそっと
唇を押し当てた。圭織は、中澤に身をまかせて、しばらくするとうとうとと
眠ってしまった。



22 名前:@@@ 投稿日:2001/11/23(金) 11:13
雑談・・・うたばんのカオリがかわいすぎて鍋の中・・・


23 名前:名無し娘。 投稿日:2001/11/24(土) 03:41
>>22
確かにあの飯田さんは綺麗だった・・・大人になったなぁとしみじみ思ったよ


24 名前:@@@ 投稿日:2001/11/24(土) 14:40
>>23
コメントが大人っぽくなった・・。はああ飯田さん・・
ついでにMステのカオリもかわいすぎて毛糸パンツ・・・


25 名前:@@@ 投稿日:2001/11/24(土) 14:58
自分の膝の上ですやすやと眠る圭織がたまらなく愛おしかった。
やさしくやさしく、圭織をなで続けた。

頬を、温かいものがつたっていった。
    涙。
(何で、何で涙がでてくるんやろう・・・おい、何でや、しっかり
 せな・・・・)

自分に言い聞かせたけど、中澤の涙は止まることなく溢れ続けた。
涙の粒が、ぽたぽたと、眠る圭織の頬に落ちる。

こんなことになるなんて、思いもせんかった。
デビューした時から、うちはリーダーで頑張ってきたんや。
うち一人だけ年増で、周りの人になじられてもからかわれても、
リーダーやってきたんや。
他のメンバーは若くてええなあって、妬ましかったけど、それ以上に
この子らが愛しかった・・・。

中澤の様子に気づき、圭織が再び目を覚ました。
圭織は泣いている中澤をみると、細い腕を伸ばし、中澤を抱きしめた。
温かい。

「カオリ・・・・」

中澤もまた、圭織の背に腕をまわす。細い細い身体。しっかりと
抱きしめた。



26 名前:@@@ 投稿日:2001/11/24(土) 15:12
「カオリ、カオリごめんな・・・あたしは、リーダーずっとやって
きたけど、もうみんなしっかりしとるから、娘。抜けて、一人でやって
行こうと思って・・・カオリに、リーダーたくしたけど・・・」

涙声で、圭織に語りかける。

「こんな風になるなんて思ってなかったんや・・・。カオリ・・・」

気づくと、圭織の目からも涙が零れていた。
ぼんやりとした顔で、ぽろぽろと涙を流している。

それをみて、我に帰る中澤。
「ああ、ごめんカオリ、取り乱した、ごめん、泣くな。」
圭織の涙を拭く。

「ゆ・・・・・ちゃん・・・・・」
圭織の口から、小さな声が漏れた。
「え・・・・・?」

「ゆ・・・ちゃ・・・・」
無表情で涙を流す圭織の唇から漏れる、聞き取れないような小さな
声。
--------『裕ちゃん』-------


27 名前:@@@ 投稿日:2001/11/24(土) 15:25
「裕ちゃん、て言ったんかカオリ。うちがわかるんかカオリ。」
カオリの肩をつかむ。

すると、カオリが、また以前のようにおびえた表情になった。
(やば、またパニックになる・・・・)
そう感じた。

案の定、中澤に掴まれた圭織の肩が、ぶるぶると震えだした。
「あ・・・・あぅ・・・・・」
中澤が肩を掴んだ手を離すと、圭織はそのまま崩れるように
うずくまった。前と同じだ。身体をぎゅっと縮こめて、震えている。

(ああ・・・・・・)
中澤は、圭織の側を離れた。暴れたりする様子はなかったので、
小さくなって震えている圭織をあとに、病室を出た。

涙が止まらない。病院の廊下に立ちつくした。
「どうかしましたか?」
声をかけたのは、この前の女医だった。


28 名前:@@@ 投稿日:2001/11/24(土) 15:37
「裕ちゃんって言ったんです。聞き取れないような小さな声だったけど、
裕ちゃんって言ったんですよ。カオリ、あたしのこと裕ちゃんって呼んで
たんです。言ったんですよ、裕ちゃんって・・・・」

誰もいない病院の個室。中澤は泣きながら、すがるように女医に言う。

「そうですか・・・・。」
中澤に温かいお茶を差し出し、自分もお茶を口にしながら、女医が言う。

「中澤さんの名前を呼ぶことで、自分が今までいた世界のことを一時的に
思い出したのかも知れませんね。自分がたえきれなくなって逃げ出した世界
のことを。」

女医が続ける。
「でもね、休んだら、また闘わなきゃいけないんですよ。いつまでも
逃げて居るんじゃいけないから。ある程度休んだら、自分を苦しめた
現実と向き合って、闘って、うち勝たなきゃいけないんです。それには
いい傾向ですよ。」

「はあ・・・」

「飯田さんと、一緒に闘ってあげてくださいね。それができるのは、
あなたがたなんですよ。」

もう、自分が何で泣いているのかもわからない程だった。
女医の言葉を聞いて、さらに涙が溢れてくる。それでも、中澤は
こくこくとうなずきながら言った。

「はい・・・・カオリと・・カオリと闘います・・・・・」


29 名前:名無し娘。 投稿日:2001/11/25(日) 22:16
人の少ない場所のようですが、読んでますよ。
すごくいい感じですね。応援してます。


30 名前:名無し娘。 投稿日:2001/12/06(木) 05:58
更新まってます


31 名前:@@@ 投稿日:2001/12/08(土) 14:44
事務所にある、小さな部屋のテレビに、初々しい五人の少女達が
映っている。知っているけど、面識のない人。知っていて、付き合いも
あるけど、今とは違う人。それぞれがひたむきな目をしていて、純粋な
笑顔をこぼしている。

それを梨華は、じーっと、見つめていた。
「何みてんの、石川。」
いつの間にか、部屋に人が入ってきたようだ。

「あ、安倍さん・・・」
なつみだった。なつみは、梨華が見入っていたテレビ画面を見る。

「うひゃあっ何みてんだあ〜。はっずかしいなあ。こんなのどっから
持ってきたんだべーーーーー」
赤面して、しかしちょっと嬉しそうになつみが言った。

「あ、事務所のビデオ、借りたんです・・・・」
梨華が見ていたのは、事務所の棚にずらりと並んでいる、モーニング娘。
の出演番組を録画したビデオテープだった。中でも古い、デビュー初期の
ビデオを、梨華は選んだ。

なつみは、梨華の座っているソファの隣に腰を下ろす。
「うっわ〜恥ずかしいなぁ〜見てよなっちこぉんな眉毛太いよぉー?」
自分の眉毛を指しながら言うなつみを見て、梨華が笑顔をこぼす。
「みんなかわいいです。初々しいです!石川、ずっと見てました。
懐かしいなあ・・・・」

そう、梨華はモーニング娘。のインディーズ時代からのファンである。
モーニング娘。が大好きで、大好きで、オーディションを受けたのだ。

「うん・・懐かしいねぇー・・。うちらこの頃はどんな事するにも
緊張しまくってたもん。あー、でも楽しかったなあ。いっぱい悩み事も
あったけどさぁー・・・。」
梨華は、笑みを浮かべながら、何とも言えない表情で画面に見入るなつみを
見ると、ちょっと切なくなった。

私は、ずっとモーニング娘。のファンだったけど、この時のモーニング娘。には
私なんて存在しないんだ。私なんかには入り込めない世界なんだ。
私はこの頃の安倍さんを見てたけど、安倍さんは私なんて知らなかった。
この5人だけの、時代なんだ。




32 名前:@@@ 投稿日:2001/12/08(土) 15:24
私が今いるのはモーニング娘。私が今見てるのも、私が今まで見てきたのも、モーニング
娘。モーニング娘。であることには変わりないのに、今のモーニング娘。とは全然
違う。切ないなあ・・・・・。

「変わりましたねぇ・・・・・・・・」
「へ?」
「モーニング娘。は今と全然違いますね・・・・」

寂しそうな表情で呟いた梨華に、なつみが振り向く。
暫く沈黙が続いて、テレビ画面から聞こえる少女達の声が、小さな部屋に
やけに響く。
「そうだね」
なつみは一言言って、また画面に見入った。

画面を見ていた二人が同時に笑ったのは、圭織がしゃべっている場面だった。
「違います、違うんですよぉー、カオリが言いたいのはぁ・・・・」
今よりも幼い顔つきと声で、一生懸命話す圭織。しかしその言葉はどこかおかしくて、
独特で、かわいかった。

「あはぁー・・・飯田さんかわいいです」
「カオリ、カオリねえ、おっかしいよねえ、もう・・・・」
二人とも、テレビに映る圭織を見つめながら、笑い声をあげる。
「カオリもすっかり大人になっちゃったからねえ、こんなカオリはもう貴重だねぇ〜」
笑って言うなつみ。そんななつみをじっと見つめて、梨華がふっと問いかけた。

「安倍さんは、この頃の娘。と、今の娘。と、どっちが好きですか?」
急な質問に、一瞬なつみの表情が固まった。が、すぐに笑顔。
「この頃も今もないよぉー。なっちは娘。がずっと好きだよぉ」
梨華の肩を叩いて言う。

「飯田さんは、どっちなんだろう・・・・。」
しゅんとしたように梨華は顔をうつむける。
「カオリは・・・・・」なつみの笑顔が消えた。

「石川、どうかしたの?おい、またネガティブになってんじゃないだろなー」
「・・・・・・・・・・」
「石川?」

「石川たちが入ってきて、モーニング娘。が全然変わっちゃって、それで、みんな
ストレスとかたまっちゃって・・」
「それで、それで飯田さんも嫌になっちゃって、倒れちゃって、あんなになっちゃって
・・・だから、石川のせいで・・・・・・・」

うつむいた梨華の口から、次々に言葉がこぼれる。それを聞いたなつみは、
少し驚いたような、困ったような顔をしたが、そのあと、ふっとため息をついて、
笑った。


33 名前:@@@ 投稿日:2001/12/08(土) 15:37
「何言ってんの、石川はぁ」
なつみは、梨華の肩を抱き寄せて、その頭にこてんと顔を寄せた。

「だって、だって、私、タンポポまで壊しちゃったんです。石川と加護がタンポポ
入るって聞いたとき、飯田さんは泣いたんです。それまでタンポポは飯田さんセンターで、
歌だってセクシーでぇ、すごい、すごい、今とは違くて、飯田さんは変わっちゃうの
嫌だったのに、石川たちが入ったから・・・・」

止まらない。




34 名前:@@@ 投稿日:2001/12/08(土) 16:09
「ばっかだねえ、石川。」
なつみの、優しい声。
いつの間にか溢れていた涙をぬぐう梨華の、震える肩をぎゅっと抱き
しめる。

「確かにモーニング娘。は変わったけどね、そんなの誰のせいでも
ないんだよ。それに、変わることがいけないワケじゃないでしょ?
圭織は、タンポポが新しくなるとき、そりゃ、ちょっとへこんでた
けどね、わかってるんだよ、石川も加護も、音楽が好きで、
歌が好きで、モーニング娘。が大好きだってこと。だから、認めた
んだよ。石川たちのこと。」

「圭織は、モーニング娘。が好きだよ。ずっと。圭織はモーニング娘。
と一緒に成長したんだもん。なっちもね。そんで、石川たちのことも、
好きなんだよ。わかる?」

梨華は、ぽろぽろと涙を流しながら、じっとなつみの話を話を聞いている。

「ただね・・・・・」なつみが、伏し目がちに言った。
「ただね、なっちもだけど、ちょっと、居場所がなくなっちゃったというか・・
いろいろ、割り切れなくて、苦しんでるんだよ。圭織は。でも、戻ってくる。
戻ってくるよ。圭織はね。」

「安倍さん・・・・・」

「なっち、わかるもん。だって圭織とはくされ縁だからねっ。
生まれたときから、ずっと一緒にいる運命なんだよっ。」
へへっと笑うなつみと、梨華は目を合わせて、笑った。

「私・・・もうおばちゃんとか呼びません・・」
二人は、顔を合わせて、にこっと笑った。


35 名前:@@@ 投稿日:2001/12/08(土) 16:25
「かおりぃーーー来たよぉーー」
そういって、圭織の病室に現れたのは圭だった。
と、思ったら、圭の後ろから、ひょっこりとおだんご頭の少女が顔を
のぞかせた。希美だった。

「ん、今日は二人で見舞いに来たんだ。裕ちゃんから聞いたけど、
割と調子いいんだってね?あんまり無理せずにゆっくり休みな、ね。」
圭がそういいながら近づく。

圭織は起きていた。ベッドの背もたれにもたれかかって、座っていた。
側に座る圭を、瞬きしながらじっと見つめている。
希美は、無言で圭の後ろにぴったりとくっついている。
「こら、辻。」
圭に腕を引っ張られて、希美はおずおずと圭の隣に座った。

以前の圭織の姿を見て、ショックだったのかもしれない。
圭織のほうを見ようとしない希美。



36 名前:@@@ 投稿日:2001/12/08(土) 16:47
「元気?」
圭に、頭をぽんぽんと軽く叩かれて、圭織はふにっと笑った。
圭の手に、甘えるように頬をなすりつける。
それを見た希美は、笑顔になって言った。
「いいらさんが笑ってるぅ」

安心したのか、立ち上がって圭織の側に近づいた。
「辻も、なでなでしていいれすかぁ?」
てへてへと笑いながら、圭織に笑いかけた。

圭織は、圭には見せた笑顔を、希美には見せなかった。
「いいらさん・・・・?」
希美が、圭織に差し伸べようとした。

ぺち、と力無い音がした。
圭織が、希美の手を払ったのだ。
希美の表情が、こわばる。「いいらさぁん」
再び希美が圭織に手を差しのばすと、圭織は身体をのけぞらせて、
圭に抱きついた。

「カオリ、どうしたの?」
それを見て、希美は、きゅっと唇をむすんだ。

「いいらさんは、辻がいやなんれす・・・・」




37 名前:@@@ 投稿日:2001/12/08(土) 16:57
希美の目が、すこしうるんだ様に見えた。

倒れる前は、甘える自分を抱きしめてくれた温かい手に、払われた。
本当は、圭織がいなくなってからとても寂しくて、だから今すぐにでも
この細い、温かそうな身体に抱きつきたかった。
でも、その圭織に避けられたのだ。

「辻、カオリは疲れてるんだから」
圭が圭織を抱いて言った。

圭織は、希美を見ようとしない。

悲しくなった。希美の小さな身体が震え、目からは涙が零れた。
「ちょっと、辻、泣いたらダメだよ」
圭があわてて言う。

「辻、そとで待ってます・・・・」
希美は、そのままとぼとぼと部屋を出ていった。


38 名前:ななし 投稿日:2001/12/09(日) 00:46
う〜ん、いずれも心が痛む切ないシーンだね・・・(;;)。
でも、これからますますの盛り上がり期待します!


39 名前:@@@ 投稿日:2001/12/09(日) 10:57
読んでくれてる人がいると書きたくなりますね。
誤字脱字目立ちまくりですみません(^^;)
しかしとことん暗い話だなあ・・。毎回誰か泣いてるし・・。
どうなるか自分でもわからん。年越しは確実。


40 名前:@@@ 投稿日:2001/12/09(日) 11:11
「辻・・・・・・」
圭は、圭織を抱きしめたまま、途方に暮れた。

放っておいて大丈夫だろうか?あの、圭織に手を払われた時の辻の顔。
なんて顔をしていただろう。相当ショックだったろうな。
圭織に拒まれるなんて。

そんな想いが頭のなかをぐるぐると巡る。
抱きしめていた圭織が、「んぅぅ・・・・・・」と小さな声をあげた。

「カオリ・・」
圭織は、くふん、と、子犬のように息をして、顔をぐりぐりと圭に
押しつける。

「カオリ、どうして?辻、カオリに会いたがってたんだよ・・?」
そんな圭織をなでさすりながら、言う。

圭織は、んぅー・・・・と小さく声を漏らして、ぎゅうっと圭に抱きついてくる。
ぐずっている子供のようだ。

圭は何も言わずに、圭織を抱きしめてやった。そのまましばらく時間がたった。
ふっと圭織の顔をのぞき込んだ圭は、思わず息をのんだ。


41 名前:@@@ 投稿日:2001/12/09(日) 11:21
「カオリ!」

圭織から身を離し、手で圭織の顎をくいっと持ち上げる。

圭織のぽっちゃりとした唇から、紅い血が、つつーっ・・と流れ出ている。
よく見ると、下唇が切れていた。

「どうしたのよ、もう・・」
圭は、圭織を座らせて、後ろの棚に手を伸ばす。
ティッシュを取って、また圭織に向き直ったとき、その光景をみて、
また、息をのんだ。

無表情で、自分の唇をぎりぎりと噛み締める圭織。
すでに自らが傷つけた唇が、さらに深く裂けていく。
血は、とめどなく滴る。


42 名前:@@@ 投稿日:2001/12/09(日) 11:32
圭織の大きな瞳は、どこを見ているのかわからないが、一点をにらみつけて
いるような、凍えきったような雰囲気で、ぞくりとした。

圭は、はっと我に返って、叫んだ。
「カオリ、やめて!」
勢いで、圭織の口のなかに自分の指を突っ込んで、噛み締めている唇を
押し開こうとした。

「痛っ・・・・・・・・!」
圭織の歯が、圭の指をぎりっと噛み締めたのだ。
「痛い、カオリ、やめ・・っ」

圭は、指を振りほどこうとしたが、やめた。
圭織の歯が、指にくい込む。圭織の赤い血で、圭の指も染まる。
圭織の姿をじっと見つめた。

痛い。こんな力で自分を傷つけられるものだろうか。
どうして、自分を傷つけたりするのだろうか。


43 名前:@@@ 投稿日:2001/12/09(日) 17:43
圭織の口に指をいれたまま、圭は黙っていた。
すると、圭織は我に返ったらしい。目が覚めたような、はっとした顔をした。
圭の指にかかっていた力がふっと抜ける。

圭織は、叱られた子犬のようにしゅんとした。

「いいんだよカオリ。」
圭は、さっきまで噛み締められていた指で、傷ついた圭織の唇をさすりながら
言った。

「いいんだよ。苦しかったら、ぶつけてもいいから。一人で苦しまなくてもいい
んだよ。」
その声は、とてつもなく優しかった。

「苦しいこともつらいことも、圭織は全部自分のなかに閉じこめちゃうんだから。
そんなんだから、今の圭織、ぼろぼろだよ。いっぱい傷ついてるよ。もっと
自分をいたわってあげなきゃ」

座っている圭織の高さまで、目線を落とし、白い手を両手でつつみこんで、
語りかける。

「ねえ、圭織、わかる・・?あたしがいるよ。一人で苦しまないでよ。
あたしにぶつけていいから。側にいるから・・・・・」



44 名前:@@@ 投稿日:2001/12/09(日) 17:57
「側にいるから・・・・・」

圭織の瞳から涙が流れ出た。その表情は、安心しきったような表情だった。
圭織に、圭の思いが伝わったのだろうか。

-----よかった・・・。
圭はほっとして、圭織の唇をそっとぬぐってやった。

そして、また圭織に語りかける。
「辻のことだけど・・・・」

ぴくっ、と圭織が動いたような気がした。

「カオリ、辻のことかわいがってたよね。教育係だったし。カオリは、辻が
娘。の中でのびのびできるように、いろいろ気ぃ使ってた。
いいお姉さんしてるなぁ〜って、思ったよ。」




45 名前:@@@ 投稿日:2001/12/09(日) 20:30
「頑張ってたよね。けじめ示さなきゃいけないから、いろんなこと我慢してた
もんね。おかげで辻はキャラだしまくって、活躍できるようになった。」

圭織は、圭から目をそらした。
かまわずに続けた。

「でもさぁ、年少メンバーの面倒見るのって大変だよねぇ。少々のことは目ぇ
つぶって我慢しなきゃいけないし、叱ったら叱ったでこっちが悪く言われるし
・・。嫌になるよね。」

確かに、そう。面倒をみられてる方は、かわいさで、何したって周りから
許される、みたいなとこある。でも、面倒みなきゃいけない方は、大変なんだ。
特にカオリはまじめで一生懸命な奴だから、辻の教育係任されて、今まで自分の
ことで精一杯だったのにもかかわらず、辻のことも頑張って抱えてた。

そんで、背負ってる荷物が多くなりすぎて、しんどくなる。悩む。
カオリのことだから、うまくいかないことがあると全部自分を責めていたんだろう。




46 名前:@@@ 投稿日:2001/12/09(日) 21:01
「で、悩みもいっぱい抱えて、頑張って、辻が娘。ん中で確立したら、次は自分の
居場所がわかんなくなっちゃうんだよね」

辻が娘。として確立した時点で、それまでの様に過剰に面倒を見ることはない。
そしたら、今度はもっと自分がのびのびしていいんだけど、面倒を見てきた
メンバーがいる手前、はずしたこともできないし、結局自分の居場所が
わかんなくなる。



47 名前:@@@ 投稿日:2001/12/13(木) 18:13
ナマタマゴミタカッタ涙


48 名前:名無し娘。 投稿日:2001/12/15(土) 04:15
>>47
俺も見れない。
全国公演を待つよ・・・


49 名前:@@@ 投稿日:2001/12/15(土) 21:21
苦しかっただろう。これはちょっと、前々からのメンバーにしかわからない
かもなあ。新人の、「はやくみんなに追いつかなきゃ」とかいうのとは
全然違う苦しみだよ。

カオリの苦しみは、辻にはわからない。

「辻のこと、見てるの、苦しかった?」
圭織が、ぎゅっとこぶしを握ったのがわかった。
圭の言っていることが、圭織に伝わっているのかどうかわからないが、
圭織の行動は、圭の言葉に反応している気がする。

圭織の力を抜くように、握ったこぶしにそっと手をそえる。

「わかるよ。辻のこと、嫌いじゃないよね。好きだよね。だけど、
苦しいんだよね。」




50 名前:名無し娘。 投稿日:2001/12/18(火) 18:20
愛の種からきました。
めっちゃ切ないですね。
がんばれいいらさん&@@@さん


51 名前:@@@ 投稿日:2002/01/01(火) 16:10
しんねぇんあっけましてぇおーめでっとぉー


52 名前:@@@ 投稿日:2002/01/02(水) 12:48
圭織が、少し潤んだ瞳を圭に向ける。

(きれいな瞳だなあ・・・・)
何となくそんなことを考えた。

その瞳を、じっと見据えながら話した。

「辻のことはね、守るとか守られるとかそんなんじゃなくて、うちらみたいに、
対等なメンバー同士として考えてみ。守らなきゃって気張っても、疲れるだけ
じゃん」

カオリも、あたしの目を見てる。

「守らなきゃいけない人、じゃなくてさ。ただの辻希美として見てあげて。
カオリ言ってたよね?辻を見てると癒されるって。それでいいんだよ。
辻はそりゃまだまだ子供で、頼りなくて、守ってあげなきゃって気になるけどさ。
でも意外と芯は強い奴だから。何より、天使みたいにあの笑顔でうちらを癒して
くれるじゃない。」


53 名前:@@@ 投稿日:2002/01/02(水) 12:53
「辻はそういうパワーがあるんだよ。カオリだって辻を守るばかりじゃなくて、
辻に甘えたっていんだよ。」

きらきら。きらきら。吸い込まれそうな大きな瞳に、光が戻ってきたよ。
そんな感じがした。

「辻が好きでしょ・・・・・?」

張り詰めていた圭織の表情が、ふっとゆるんだ。

伝わってるんだ。ちゃんとわかってるんだ。あたしの言ってること。
カオリ、わかってるんだ・・・・よかった・・・


54 名前:@@@ 投稿日:2002/01/02(水) 13:12
とてとて、と、足音が近づいてきた。
圭と圭織は、その足音のする方に顔を向ける。

「あ、辻ぃ」
足音の主は希美だった。圭は希美のほうに歩みよって行った。
「や、保田さん・・・・」
希美は、はぁはぁと息を切らして言った。

「どこ行ってたの?辻。」
「あの、これ、売ってて、いいださんが好きだから・・」

希美の両手には、どこで買ってきたのか知らないが、ソフトクリームが
握られてた。

希美が、圭をすり抜けて圭織の側にかけていった。
「あっ・・ちょっと待っ・・」

希美と圭織は向き合って、見つめ合っている。それを見て、圭は引き留め
ようとした手を引っ込めた。

「あ、あのね、つじね、いいださんにこれあげます」
さっき涙を零した顔は、それを忘れたかのようににっこりと笑っている。

圭織は逃げなかった。希美の天使の様な笑顔をじっと見つめて、
それから、希美の胸に顔をうずめた。

「いいらさん・・・・・?」
圭織が辻に甘えてる。圭はそう思った。
圭織は、希美に顔をすりよせて、ふにふにと笑った。

圭織に甘えられるなんて、経験したこともなかった希美は、照れたように、
でも嬉しそうにてへてへと笑っていた。


55 名前:@@@ 投稿日:2002/01/02(水) 13:22
圭はその光景を見ていて、いつのまにか自分も笑顔になって
いるのに気づいた。二人の側に自分も近づいていく。

「ほらぁ、辻、ソフトクリーム溶けちゃうよっ」
「あっ・・・」

辻は両手に握ったソフトクリームの、片方を圭織に手渡した。
圭織は嬉しそうに受け取って、それをぺろんと嘗めた。
それを見た辻は、また嬉しそうに、残ったもう片方のソフトクリーム
を自分でなめた。

(そっちはお前のかい!)
・・なんていう圭の思いは、二人並んでにこにことソフトクリームを
なめている圭織たちを見ていてふっとんでしまった。


56 名前:@@@ 投稿日:2002/01/02(水) 13:24
ふー。ふー。続きは。。どうしよ。。


57 名前:名無し娘。 投稿日:2002/01/09(水) 14:54
(・∀・)イイ !
とても イイ!


58 名前:@@@ 投稿日:2002/01/10(木) 14:34
ワオ!
読んでくれてるんだネ!


59 名前:@@@ 投稿日:2002/01/10(木) 14:47
ここはどこ??
なんだか、とってもあったかい。。

だれかいるよ。

誰?だれ?こっちを見て、ふくよかに笑ってるの。

わかった。明日香だ。明日香!

明日香。明日香。あたし、明日香に会いたかったの。
明日香大好きだよ、明日香、明日香・・・


60 名前:@@@ 投稿日:2002/01/10(木) 14:53
あたしの肩を叩いた人がいる。

誰?

ふりむくと、忘れもしない、印象的なあの笑顔。

彩っぺ!!!

あたし、思わず抱きついちゃったよ。
彩っぺ、彩っぺ、彩っぺだ、あたしの愛する彩っぺ・・


61 名前:@@@ 投稿日:2002/01/10(木) 14:58
彩っぺの後ろに、、誰か立ってる。

誰?顔をあげると、優しい微笑みのあの人。

あたし、泣いてるの?

だって、目の前に、さやか。

嘘でしょう?
ううん、嘘じゃない。

あたしの大好きな人が、ここにいるの。


62 名前:@@@ 投稿日:2002/01/10(木) 15:01
そしたら、誰かがあたしを後ろから抱きしめた。

誰?ううん、わかった。

裕ちゃん。裕ちゃんでしょう?

振り向くと、ほら、やっぱりね、当たった。

あたしの愛しの姐さん、あったかい人。


63 名前:@@@ 投稿日:2002/01/10(木) 15:30
みんな笑ってるね。あたしも笑ってるよ。

あったかいね。あったかい。
あたしの、愛する人たち。

ここが、あたしの場所。



64 名前:@@@ 投稿日:2002/01/10(木) 15:33
いきなり、冷たい風が吹く。

どうしたの?

あったかかった世界が、霧で包まれていく。

何?どうして?

待って。みんなが見えない。
待って。ひとりぼっちにしないで。
待って。あたしをおいていかないで。

ひとりにしないで・・・・
消えていかないで・・・・


65 名前:@@@ 投稿日:2002/01/10(木) 15:37
泣かなかった。
側に、なっちが立ってたから。

なっち。なっちはあたしの手を握って、霧の中を
歩いていく。

なっち、ありがとう、ここに居てくれて、ありがとう。
あたし、なっちが大好きよ。




66 名前:@@@ 投稿日:2002/01/10(木) 15:43
どうしたの、なっち。
なっちの足が、急に速まった。

どんどん、どんどん、速くなっていく・・・・。

ちょっと待って。なっち待って。ついていけない。

何かに引っかかった。あたしは転んだ。
なっちとつないでいた手が離れる。

やだ、なっちやだ。行っちゃやだ。
なっちはどんどん前に進んでいく。

いや、なっちが見えなくなっちゃう。
いや、いや、待って、待って、待って・・・・



67 名前:@@@ 投稿日:2002/01/10(木) 15:47
「なっち!!!!」「カオリ!」




ここはどこ?ここは、ここは白い病室。
白いベッド。ここに寝ているのは、、、あたし?

はぁはぁと、息が荒い。さっきのは、夢・・・?

「カオリ、大丈夫?」
はぁはぁ、はぁはぁ、はぁはぁ。
冷や汗が額をつたう。

なっちだ、なっちが目の前にいる・・・・。


68 名前:@@@ 投稿日:2002/01/10(木) 15:54
思わず抱きついた。

「カオリ??どうしたの??」

あったかい。なっちの体温だ。ここにいる。なっちは
ここにいる。

「カオリ・・・。」

「・・・・・・・・・・」
「え、何?かお、なんか言った?」

うまく喋れない。

「・・なち、いっひゃやら・・・」
「へ?カオ、何?」
「なっち、どこにも言っちゃやだ・・・
 カオリを一人にしちゃやだ・・・」


69 名前:名無しっ娘。 投稿日:2002/01/16(水) 17:46
いいッス!!
良く出来てるッス!!


70 名前:LOVE 投稿日:2002/01/17(木) 16:26
続きに期待!!


71 名前:名無しっ娘。 投稿日:2002/01/18(金) 13:52
初めて読ませていただきました。
引き込まれました。
続き期待しております!


72 名前:名無し娘。 投稿日:2002/01/18(金) 21:23
           http://1.????
         http://1.????????
        http://1.??.._?.._?????
       http://1.??.._.._????????
       http://1.??.._?????????
      http://1.??????????????
      http://1.?.._????????????
     http://1.??????.._??.._???.._??
     http://1.?????.._?.._.._?.._???.._?
    http://1.???????.._??.._?????.._?
    http://1.??????????????????
    http://1.??????????????????
     http://1.????????????????
      http://1.???.._?.._?.._?.._?.._??
     http://1.?.._?.._?.._?.._?.._?.._?.._.._?
    http://1.?.._?.._??.._?.._?.._?.._?.._?.._?
     http://1.??.._?.._?.._?.._?.._?.._?.._?

AA test


73 名前:名無し娘。 投稿日:2002/01/22(火) 10:18
続きが待ち遠しいッス!


74 名前:名無し娘。 投稿日:2002/01/22(火) 10:20
続き待ってます!


75 名前:名無し娘。 投稿日:2002/02/04(月) 21:45
超期待してますsage


76 名前:@@@ 投稿日:2002/02/05(火) 18:36
なつみの体に、圭織の震えが伝わる。圭織はなつみの服をぎゅっと
掴んで離そうとしない。
「カオリ?」

「カオリ、なっちがわかるの?」

「カオリすっごくうなされてたよ。怖い夢でも見たの?」

なつみが話し掛けても、圭織は返事をしなかった。ただ、子供のように
なつみにしがみついて、震えている。

なつみは話し掛けるのをやめて、自分にすがりついている圭織を抱きしめた。
圭織と同じくらいの力で、ぎゅっと包み込んだ。

「カオリ、なっちはここにいるよ、どこにも行かないよ。」
母親のように、優しくなだめる。
「カオリ、ほら、なっちを見て。ここにいるよ。」

なつみは圭織の頬に手を当て、顔をあげさせた。
圭織はすがるような目でなつみを見つめる。
「なっち・・・・・・・・」
「ここにいるよ。」

「カオリ、怖い夢見た。みんなみんないなくなって、なっちもいなく
なっちゃうの。カオリ、すごく怖かった・・・」


77 名前:名無し娘。 投稿日:2002/02/06(水) 14:31
続きだ!(喜
お待ちしておりました
これからもよろしくです@@@さん
(もちろんのんびりで!)


78 名前:@@@ 投稿日:2002/02/06(水) 17:34
更新遅くてすみません;
自分も続きがよく見えてないんで迷走しながらやってますが
こんなんでも見てくれる人がいて嬉しいです(^^)
がんばっていきまっしょい


79 名前:名無し娘。 投稿日:2002/02/12(火) 13:52
とても(・∀・)イイ ! 感じです。


80 名前:@@@ 投稿日:2002/02/17(日) 20:32
-----------------------------------------------------------
「順調に回復してってると思うよ。こっちの言ってることも理解できるみたいだし」
何となく見舞いに行くのにとまどっていたなつみだが、圭の言葉を聞いて、
病院へ訪れた。

圭織は眠っていた。みんなの言うとおり、顔色がだいぶ良かった。
なつみは圭織を起こさないように、飾られた花を換えて、静かに隣に座っていた。
眠っている圭織は、すごく幸せそうな笑みを浮かべていた。

「何か夢でも見てんのかな〜カオリ・・寝ながら笑ってるよぉ」
そんな圭織を見ていると自分も思わず笑みを浮かべてしまう。
なつみはしばらく圭織の寝顔を眺めていた。

突然、圭織が顔をしかめる。「ん??」

「・・・ぁ・・・ぃや・・っ」
「へ?カオ、どーした?」

苦しそうにうなされる圭織。なつみは驚いて立ち上がった。
「カオリ、カオリ。」

「・・ゃ、だ、みんな、置いてかないで、ゃ、なっち、なっち、、」
「カオリ、なっちここだよ、ここにいるよ」

「なっち!!!!」「カオリ!」









81 名前:@@@ 投稿日:2002/02/17(日) 20:44
------------------------------------------------------------------
圭織ははぁはぁと肩で息をしている。
「怖かったね、カオリ。もう大丈夫だからね、なっちここにいるからね」

そう言われて、ようやく落ち着いたのか、なつみを掴む圭織の力が緩んだ。
なつみは圭織から体を離す。

圭織は、ぼんやりと白い病室を眺め渡した。

「ここ・・・・・・どこ・・・・?」
カオリだ。カオリが戻ってきたんだ。なつみは心の奥でそう思った。

「なっち、ここ、病院???何でカオリ、ここにいんの・・?」



82 名前:@@@ 投稿日:2002/02/17(日) 20:51
------------------
頭の中の整理がつかない。頭の中で、ぐるぐるといろんなものが回っている。

頭の中で、途切れ途切れに浮かんでくる記憶。
何かたくさんの大きなものに囲まれて、すごく怖かった記憶。あれは、
あたしの周りに立っていたのは、何だっただろう。

あたしを抱きしめて、泣いていた人がいた。とてもあたたかい人がいた。
あれは、あれは、、、祐ちゃん・・・だった・・?



83 名前:@@@ 投稿日:2002/02/17(日) 20:55
それから、あたしの目をじっと見つめていた強い光があった。
それから、小さな温かい天使が、いた。天使は、冷たくて甘いソフトクリームを
持って・・・・いた・・?   

圭ちゃん・・・・・辻・・・・・・・

たくさんの、断片的でうつろな記憶が、圭織の中を駆け巡る。
急にとてつもなく大きな不安が圭織を襲った。


84 名前:名無し娘。 投稿日:2002/02/19(火) 14:15
やった、復活ーっ!


85 名前:もうむすいいすねぇ。 投稿日:2002/02/19(火) 23:04
もう最高っす!!感動です!!早くつづきがよみたい〜〜〜!!
@@@さん頑張ってください!!応援してます!!


86 名前:@@@ 投稿日:2002/02/21(木) 18:18
こんなもん応援してくれてほんと感謝です。いやほんと


87 名前:@@@ 投稿日:2002/02/21(木) 18:29
「カオリ、、、、ずっとここにいたの・・・・?いつからここにいたの・・・・?」
曇った瞳でなつみを見つめる圭織。
「ねぇ、なっち・・・」

その声はとても弱々しい。ずっと起き上がっていた圭織は、ふらりとしてなつみに
寄りかかる。それもこれも全部、長いことろくな運動もしていなかったからだ。

カオリが倒れてから、既に5か月近くたっていた。

「カ、カオ、大丈夫?」
よりかかる圭織を支えて、なつみはかなり困惑していた。

「カ、カオ、大丈夫?」



88 名前:@@@ 投稿日:2002/02/21(木) 18:41
どうしたらいいものか。そんなに長い間仕事を休んでいたことを知ったら、相当
のショックを受けるだろう。責任感の強い圭織は、自分を責めることだろう。弱って
いるカオリに、そんなこと、させるわけにはいかない。

「カオ、何も心配いらないよ」
「なっち・・」
なつみは圭織を優しく抱いて、横たわらせた。
「今は眠りな。いっぱい眠っていいよ。起きたら、ごはん食べれるからね」
小さな子供に話しかけるような甘い声。なつみは圭織の額をそっと撫でた。
急に興奮して疲れたのか、圭織はそのなつみの体温に吸い込まれるように
素直に目を閉じた。

「・・・・ごめん・・・・みんなにめいわ・・・・・く・・・・」
圭織は呟いて、眠りについた。その小さな呟きは、なつみの心をちくりと痛めた。


89 名前:もうむすいいっすねぇ。 投稿日:2002/02/22(金) 21:19
頑張ってください!!



90 名前:@@@ 投稿日:2002/02/22(金) 23:00
-----------------------------------
「即退院させよう。」
その言葉は、なつみの心を怒りで燃え上がらせた。

「すぐに退院させて、仕事に復帰してもらう。」

それは心無い社長の言葉だった。
「無理に決まってます!まだ休まなきゃだめです!」
なつみが反抗しても、社長は毅然とした態度で言い放った。

「君が見舞いに行った時、飯田はいつもの飯田に戻ってたんだろ?
ならもう入院してたって意味がない。飯田だってそうしたいはずだ」

「そんな、いつものカオリとか、そういうんじゃなくて・・・」

何て人だろう。なつみは怒りを通り越して恐ろしさを感じた。
この人はカオリの見舞いに行ったのだろうか?
この前のカオリは確かに、いつものカオリが戻ってきた感じがした。
でもまだ無理だ。カオリはまだ完全に元気になどなっていない。
今の状態でいきなりあのハードなスケジュールに戻ったりしたら、
たちまち壊れてしまうだろう。


91 名前:@@@ 投稿日:2002/02/22(金) 23:09
なつみがいくら伝えても、社長は取り合おうとしない。さっそく病院に
連絡を取ろうとしている有様だ。

なつみは、社長が手にした電話の受話器を奪い上げて言った。
「お願い、もっと考えてあげてください、無理ですよ社長!」

社長がなつみを睨んで言う。「しかし、一刻も早く復帰してもらわな
きゃ困るじゃないか。飯田は仮にもリーダーだぞ。これ以上休んでいたら
完全に世間から忘れられてしまうに決まってる」

「そんなこと・・・・・」


その後、なつみの必死の懇願で、社長は圭織の退院を延ばした。
しかしやっとのことでなつみが社長室を出る時の、社長が言い放った言葉
を、なつみは忘れないだろう。そして、許さないだろう。

「飯田も、いっそのことこのままずっと復帰しないでいてくれたら、
お荷物がいなくなってさっぱりするだろうになぁ」

なつみは、社長室のドアを思い切りバタンと閉めたあと、とてつもない
悔しさに涙を零した。


92 名前:@@@ 投稿日:2002/02/22(金) 23:11
社長ごめんなさい


93 名前:@@@ 投稿日:2002/02/23(土) 19:38
「サイッテーー!!!」
なつみの話を聞いた矢口は、高い声を上げて、目の前のテーブルをばん、と叩いた。

「ほんっとに・・飯田さんのこと、ちっとも考えてあげてないですよね!!」
梨華も、声を荒げて言った。

ここは楽屋。年少メンバー達は、学校の都合でまだ来ていない。

吉澤と後藤は、無言で下を向いていた。
なんともいえない空気だ。

「、、、、、でも、しかたがないよ」
みんなが一斉に圭のほうを向いた。

「しかたがないことなんだよ。社長の言うことだって、まちがってるわけじゃない。
グループってのは、全員揃ってなきゃいけないもんなんだよ。それはわかるでしょ?
このまま、カオリのいない状態がずっと続いて、カオリのいないモーニングが
世間に見慣れてしまわれたら、カオリのいないモーニングになんの違和感も
なくなっちゃったら、本当に、カオリ忘れ去られちゃう。」

圭の言う言葉には、妙に重みがある。みんな、心のどこかでは思っていた
ことかも知れなかった。


94 名前:@@@ 投稿日:2002/02/23(土) 19:50
「そうかも知れないけど、でも、カオリには今ゆっくり休むことが
大切なんだよ・・・・・・カオリの心は、、、今弱ってるんだよぉ」

か細い声で、なつみが言った。

「それはそうだよ。あたしもそう思う。でも、回復をゆっくり待って
られる状況でもないんだよ。カオリはちゃんと最後のコンサートやって
卒業した、とかじゃなくて、いきなりみんなの前から姿を消したんだから。
ファンの人だって、なんか割り切れなくてもやもやした状態だと思う。
このままじゃ、娘。もろともぶっ潰れちゃう可能性だってある。」


みんな、重い表情で黙りこくった。

「・・・難しいですね・・・・・・」
吉澤が、ぼそりと言った。

「そうだね。だけどうちらは、そういう厳しい世界に生きてるんだよ。
それが現実。強くならなきゃ。うちらも、カオリも」
圭の瞳は、悲しげで、怒っているようで、それでもまっすぐにどこかを
見つめているようだった。

なつみは、何となく、今ここに年少メンバーがいなくて良かったな、
と思った。-----あのこたちには、まだ、明るいきれいな世界を見ていて
欲しいから。純粋な、光の中を、今はただ、走っていて欲しいから・・・


95 名前:@@@ 投稿日:2002/02/24(日) 15:02
ねーはずかしいーわーねーうれしいーのーよー
あーなたのこーぉとーぉばーぁ
もーにんこぉーひのもーぉよーーーーーーーふたーーーりでーーーー

・・誰か飯田の小説紹介してくれ


96 名前:名無し娘。 投稿日:2002/02/27(水) 14:39
モーコー2002でうかれちゃいました?
私もそうです。

>・・誰か飯田の小説紹介してくれ

超有名どころしか知りません。「カテキョ」
http://members.tripod.co.jp/a24_box/index.html


97 名前:( ゜皿 ゜) 投稿日:2002/03/01(金) 22:24
更新中の小説にレスするのは初めてだけどさ、この話し、好きだよ。
保田達の訪問の回は涙が出た。まじで。
がんばってな! 楽しみにしてるよ。 …で、飯田の小説の紹介ね。

大河なっち(● `へ´ ●)
http://teri.2ch.net/mor2/kako/985/985422045.html
  忠臣蔵ベースの娘。達。痛くなく壊れてもおらず(w、圭織主人公の
  小説の中では今のところ個人的に一番好きだ。
なしのはな
http://mseek.obi.ne.jp/kako/yellow/985024126.html
  シュールなお笑いの短編集。基本的に石川(いじられ役)が主人公
  だけど、圭織主演の回も何編かありいずれも笑える。オススメ。
リーダー、冬を越す。
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Hemingway/7323/hozon/step/ri-da-fuyuwo.html
  リーダー圭織のぼけっぷりが。笑うけど少しホロリ。
イイダさん観察記 (愛の種板「糞娘マジウザイ!〜〜」スレ)
http://tv.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1010320948/144-223
  辻視点による飯田さんならぬイイダさんウォッチング。最近の作品。 
ビスケット(愛の種板「二十歳のころ」スレ)
http://tv.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1011368635/14n-
  リーダー圭織の痛々しさが。市井との絡み有り。連載中。

あと、『娘。小説保存庫』──人物別目次 でいくつか拾える。
ttp://isweb41.infoseek.co.jp/novel/kaorin00/index002.html

他に、小説じゃなくてネタスレだけど、これもイイぞ。
ノ( ゜皿 ゜)ノ<コウ、シン、チュウーッ!! [MARS屋](狩板)
http://www.metroports.com/test/read.cgi?bbs=morning&key=001116248&ls=50




98 名前:( ゜皿 ゜) 投稿日:2002/03/01(金) 22:26
更新中の小説にレスするのは初めてだけどさ、この話し、好きだよ。
保田達の訪問の回は涙が出た。まじで。
がんばってな! 楽しみにしてるよ。 …で、飯田の小説の紹介ね。

大河なっち(● `へ´ ●)
http://teri.2ch.net/mor2/kako/985/985422045.html
  忠臣蔵ベースの娘。達。痛くなく壊れてもおらず(w、圭織主人公の
  小説の中では今のところ個人的に一番好きだ。
なしのはな
http://mseek.obi.ne.jp/kako/yellow/985024126.html
  シュールなお笑いの短編集。基本的に石川(いじられ役)が主人公
  だけど、圭織主演の回も何編かありいずれも笑える。オススメ。
リーダー、冬を越す。
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Hemingway/7323/hozon/step/ri-da-fuyuwo.html
  リーダー圭織のぼけっぷりが。笑うけど少しホロリ。
イイダさん観察記 (愛の種板「糞娘マジウザイ!〜〜」スレ)
http://tv.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1010320948/144-223
  辻視点による飯田さんならぬイイダさんウォッチング。最近の作品。 
ビスケット(愛の種板「二十歳のころ」スレ)
http://tv.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1011368635/14n-
  リーダー圭織の痛々しさが。市井との絡み有り。連載中。

あと、『娘。小説保存庫』──人物別目次 でいくつか拾える。
ttp://isweb41.infoseek.co.jp/novel/kaorin00/index002.html

他に、小説じゃなくてネタスレだけど、これもイイぞ。
ノ( ゜皿 ゜)ノ<コウ、シン、チュウーッ!! [MARS屋](狩板)
http://www.metroports.com/test/read.cgi?bbs=morning&key=001116248&ls=50


99 名前:( ゜皿 ゜) 投稿日:2002/03/01(金) 22:29
うわっ。二重カキコ、スマソ!


100 名前:@@@ 投稿日:2002/03/04(月) 22:03
>名無し娘。さん
ありがとうごじゃいます。カテキョはいいですね、、何度読んでも・・
永遠の名作だべや

>( ゜皿 ゜) さん
うはぉっいっぱいありがとっす!
まだ「なしのはな」と「ビスケット」しか読めてないけど、
いいっすねぇ。しかし飯田の小説はいずれも痛みを伴うもんが
多いなあ


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